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第1話 追放

「子供が産めない無能なオメガは、この王室に必要がない。ただちに去れ!」  僕の二十歳の誕生日パーティー会場。国中の貴族達の目の前で、つい先程まで伴侶だった王が僕に離縁を告げた。 「でも……」  言いかけた時、 「王である俺の決定に、不満でもあるのか?」  遮るように放たれた、傲慢なアルファの威嚇フェロモン。  焦げ付いた鉄のような嫌悪を催す匂いが肺を支配し、身体が凍りつく。  指一本、まつげ一本すら動かすことができない。呼吸の仕方を忘れたように、胸がひどく爆ぜそうに苦しかった。 「顔だけの欠品オメガと王は、白い結婚だったそうよ」 「王もあんな欠陥品、よく見離さずにいらっしゃった」 「王のお慈悲に甘んじていた、出来損ないオメガと一緒にいたら、出来損ないが移ってしまいそうですわ」  会場のあちこちから、隠そうともしない嘲笑が鼓膜を打つ。むしろ王に己の発言が聞こえるように、競い合うような高い声が頭上から降ってくる。  向けられる視線はどれも氷のように冷たく、僕の肌を刺した。味方は誰もいない。  世界から僕という存在をなじられ、否定されているかのような錯覚に、視界が歪む。  胸の奥が、引き裂かれるように熱い。  手を伸ばして何かを掴もうとしても、指先は虚空を掻くだけだった。 「ごめんな……さい……」  それでも身体の底から絞り出した掠れた声は、誰の耳にも届かず、冷徹な大理石の床へと虚しく落ちて消えた。

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