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第一話

葡萄月三日(星の日)  ナージャ族に攻め落とされたフェイツ王国の第一王子、サルファを捕縛したとの連絡を受けた。身柄の移送を手配する。 葡萄月四日(大地の日)  行方不明となっていたサルファ王子は、どうやら国境付近で脱出の機会を窺っていたらしい。私兵からの報告によると、従者もなくひとりで洞に身を潜めていたところを発見されたという。  健康状態は良好であるようだが、衛生状態は良くないようだ。フェイツ王国の陥落から十日が経過している以上は仕方がないが、あの美貌が損なわれているのではないかと思うと気が気ではない。念入りな手入れを命じて、眠りに就く。 葡萄月五日(安息日)  ザルバン王国の使者としてフェイツ王国に赴いた際に目にしたサルファ王子の美貌が忘れられない。  艶やかで滑らかなな黒髪の下から覗く、女と見紛うほどに可憐な瞳。褐色の肌がなめかましい。細身の身体に装飾品と腰布だけの姿で私を出迎えた王子の愛くるしい笑顔は、今も私の瞳に焼き付いている。  その王子が我が館にいる。  あまり眠れずに目を覚ました私は、朝食もそこそこに、王子を軟禁した部屋に様子を窺いに行った。  念入りな手入れを命じただけはあったようだ。あの日のままの姿の王子を目にした私は、彼をこのままこの館で飼うことに決めた。  本来であれば国王の許可を得なければならないところではあるが、幸いまだ報告を上げていない。だんまりを決め込むことにしよう。

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