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第二話

葡萄月六日(月の日)  手枷を嵌められた上で、天井から吊るされていた王子の姿は、例えようもなく煽情的だった。  勿論、私が命じたことだ。  逃げ出されてはことである。多少の不自由は我慢してもらわなければならない。  拘束された直後は反抗的な態度を見せたようではあるが、暴れ過ぎても逃げ出すチャンスを失うと考えたのだろう。今は大人しくしていると聞く。  今日は仕事が忙しく、少ししか彼の顔を拝むことが出来なかったが、お陰で明日からのスケジュールに余裕が出来た。どうやってあの身体を躾けてゆこうか。実に愉しみだ。 葡萄月七日(炎の日)  毎日の手入れは欠かすなと命じたからだろう。今日の王子も実に美しかった。  私は吊るされている彼に手ずから食事を取らせてやった。王子は私の顔を覚えていないようで、最初は口を閉ざして私が差し出した食事を拒否していたが、かつてのフェイツ王国の話をすると少しばかり警戒心を解いたようだ。スープを一杯と、パンを三切れ。あまり動いていないからだろうか。食が進まないようである。  その後に、私はひとつ悲願を果たした。  王子の口唇に触れたのだ。  身動きままならない彼は私に口唇を許さざるを得ないと観念したようだ。抵抗はあったが、僅かばかり。もしかすると体力を消耗しているのかも知れなかったが、欲の前では小さな問題だ。私はひたすらに彼の甘く柔らかい口唇を貪った。  こうやって、少しずつ、私とのスキンシップに慣らしてゆこう。  焦る必要はない。彼はこれからずうっと私に飼われ続けるのだ。 葡萄月八日(水の日)  王子の手入れを命じた私兵に話を聞いたところ、入浴時の彼は重しを付けた足枷を嵌められているからか。大人しく侍女にたちに身を任せているようだ。私はそれでいい。と云った。あの美貌は保たれ続けなければならない。その為には日々綺麗に磨いてやらなければ。  今日の食事はスープを二杯に、パンを五切れ。昨日より増えたのは素直に喜ばしい。  私は今日も王子の口唇を貪った。自分が置かれている環境に観念しているのだろうか。舌を絡めてみたが、驚いた素振りはみせたものの、抵抗はなかった。  王子の口唇はさくらんぼのようだ。何もせずとも瑞々しい。 葡萄月九日(風の日)  少しだけ王子に現在のフェイツ王国の状態を伝えた。  ナージャ族が統治を始めてからのフェイツ王国は、軍拡に力を注ぐようになっている。いずれ我が国とも戦争になるかも知れない。それを聞いた王子は心を痛めたようだ。愁眉を寄せた王子の顔は悩ましくも美しく、私は神に愛された容姿とはこれを指すに違いないと思った。  今日の食事はスープを三杯に、パンを四切れ。  スープの中の鶏団子がお気に召したようだ。何でも祭祀を行う関係上、肉が食べられなかったとのこと。それならそうと早く云ってくれればいいのだ。私は料理長に王子に出す料理の肉の量を増やすように命じた。  今日も彼に口付けた。応じてくることはないが、警戒し過ぎてもいないようだ。素直に私のキスを受け入れている彼を見ていると、今直ぐにでも私のものとしたくなる。だが、焦りはしない。じっくりと育てるのだ。王子の身体を。 葡萄月十日(星の日)  僥倖だ。  王子が私の口付けに応じる様子をみせた。まさかとは思ったし、一瞬ではあったが、私の舌の動きに合わせて舌を動かしたのだ。  この調子でいけば、予定より早く彼の躾に踏み切れるかも知れない。  私の胸は高鳴った。  今日の食事はスープを三杯に、サンドイッチを三切れ。  穀物みの強いパンよりは、具材の豊富なサンドイッチの方が好みなようだ。飽きるまではサンドイッチにしておこう。 葡萄月十一日(大地の日)  矢張り、そうだ。  王子はどうやら私とのキスに性的な興奮を覚えているようで、腰布の股間が膨らみを増すようになった。それだけではない。私の口付けに対して、舌を緩く動かすようにもなった。とはいえ、私を懐柔しようとしている可能性は否めない。吊るしを解くのはまだ先にしておこう。  今日の食事はスープを二杯に、サンドイッチを四切れ。  大体このぐらいで食べる量が頭打ちになる辺り、食が細い性質であるようだ。少ない量でそれなりの栄養が摂取出来る料理を作らせるようにしなければ。 葡萄月十二日(安息日)  キスのついでに王子の乳首に触れてみた。  吊るされているからだろう。嫌がる素振りはみせたが、派手な抵抗はなかった。この様子であれば問題ないと思い、時間をかけて王子の乳首を嬲った。指と舌を使って念入りに愛撫する。少しは感じているようだ。股間の膨らみが増す。いずれはもっと感じるようにしてみせよう。  今日の食事はスープを三杯に、パニーニを二切れ。  今日はあまり肉を食べたい気分ではなかったようだ。穀物入りのスープの進みが良かった。

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