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皇帝家にて 4
伯爵と2人きりにされ、エルメーザは仕方なく彼の近くのソファに腰を下ろした。
「……レンシアくんの時は争奪戦だった。
だがまさか…偽物だなんてな…」
「レンシアのことをご存知で…?」
「もちろんだとも。2人は同じ孤児院出身だ。」
ジョルシヒン伯爵の証言は初耳で、エルメーザは思わず老人の顔を見てしまった。
そんな事リウムは一言も言っていなかったからだ。
「レンシアくんは…癒しの魔法を授かっていると分かった為引き取り手が殺到したのだ…
普段は孤児院になど興味もないような連中がこぞって…まるで、買い付けるようにな…
ところが…リウムには誰も手をあげなかった。
数値が低く、なんの魔法を持っているかすら測れず…危うく魔法を封じられる所だった…」
「………ジョルシヒン伯爵は、どちらが“本物”だと?」
「さぁ…私には分からない…
だが…、命に値段をつけるべきではないと思っている」
レンシアを引き取ったヴァガ伯爵は、孤児院に多額の寄付金を納めてレンシアを獲得したようだった。
そんなやり方にジョルシヒン伯爵は辟易しているのかもしれない。
「あの子は優しい、良い子だ。
だが…とても傷付いている…私にはあまり話してくれないがね。
孤児院出身の子ども達は皆そうだ。心に深い傷を抱えている」
エルメーザはどういう顔をしていいか分からずに真顔のまま老人を見つめた。
「…殿下、老い先短い老人の戯言だと思って聞いていただきたい…失礼を承知なのは重々…分かっている…
だがあの子をどうか…大切に、扱って欲しい…」
今でなくても、割といつでも、エルメーザはどういう顔をしていいか分からず
どう答えていいか分からないと思う時があった。
老人の切なる願いは叶った方がいいと頭では分かっているのにも関わらず適切な言葉が浮かんでこなくて
結局エルメーザは何も言わずただ老人が深々と頭を下げる所作を見守ってしまうのだった。
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