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お前はどうしたいんだ? 2
リウムはここの所ずっとよくない噂をされていたが、どうやら当時も食堂でも過度な嫌がらせを受けたらしい。
聞いた話では熱湯をかけられたとか、なんとか。
ただでさえ最近はリウムはずっと元気がなくて、どうしたと聞いても肩透かしだったのだ。
そんなリウムの様子に、エルメーザの中には焦りのようなものが芽生えていた。
無邪気に振る舞っていたリウムが、段々と口数が少なくなり
気が付くと机に向かって勉学に励んでいて、あまり笑うこともなくなって。
それが、昔のレンシアと重なってしまうのだ。
あの頃エルメーザは、大人しくなって良いくらいに思っていたけど
本当は、“ふつう”だった彼から何かを削いで奪っていったのではと今は思えて仕方がないのだ。
リウムにはわざとそうしたわけじゃなくても、
次期皇帝の婚約者だというだけで世間の見る目は変わってしまう。
以前に“だからこそ支え合うべきなのでは”とイオンに言われたことを思い出すと、エルメーザはまた何か自分に見えていない事があるのではと不安を抱いてしまう。
もしも本当にレンシアの仕業だったとしたら。
レンシアを壊してしまったのも、
あの優しいレンシアを、こんな残虐な事をしでかすような、
本当の化け物に変えてしまったのも。
本当は、自分なのでは?
そう思うと恐ろしくて堪らなくて、行き場のない虚しさと憤りが込み上げてきてしまうのだ。
エルメーザは目覚めてからもずっと、レンシアに引っ叩かれた頬がじんじんと熱を持っていて
ただただその痛みに打ちのめされていた。
『…怒りの矛先を向ける場所を見失うなと言ったでしょう。
あなたがきちんと目を向けるべき人間は誰ですか?
真っ先に、この手を、向けなければならないのは!』
レンシアに言われたことを思い出し、エルメーザは呆然と自分の両掌を見下ろした。
彼の言っている事はいつも分からない。
だけど直感的には“正しい”と思えてしまうのだ。
正しいことを言われている、と。
でもそれを受け入れてしまったら、
自分が何かを間違っているという事になる。
だから、認めたく無いが故に怒りが湧き起こってきてしまうのかもしれない。
でも今は、身体中に虚しさが渦巻いている。
そんなレンシアを疑ってしまっている事も、真実が本当はなんなのか分からない事も。
リウムもレンシアも、エルメーザにとっては結局分からない存在なのだ。
その癖にこんなにも心を掻き乱してくるから。
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