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第16話 見つかる
ドアの外に猫の無惨な死体が置かれていた。
鋭い刃物で真っ二つ、だった。
初めに見つけたリキは蜜の目に触れないように急いで片付けた。
「どうしたの?リキ、怖い顔してる。」
抱きしめた。
「大丈夫だよ。力丸はどこだ?」
ニャーン。廊下に可愛い顔が見えた。
「しばらく力丸を外に出さないようにしろ。」
蜜はサッと青ざめた。
「なんか、あった?
あ、あいつが来たんだ。」
昨日、ポストに猫の餌が突っ込んであった。
玄関にチュールがぶちまけてあった。猫を集めるトラップだったのか。
蜜が可愛がっている猫を、殺してやる,と言う予告のようだった。
見せしめに殺された猫の冥福を祈る。
「蜜、スーツケースを持って来い。」
大事そうに転がしてきたケースを開ける。
スーツケースの底を剥がすとやはりGPSが付けられていた。
「中は全部あるか?」
蜜の大事な物とは、古いヘビードレスだった。
蜜は2才くらいで売られたと言う。その時着ていた物だと言う。それからずっと持っていた。
薄汚れた小さなぬいぐるみもあった。よだれか涙か、ぐちゃぐちゃでボロボロの擦り切れた猫のぬいぐるみ。
「初代、力丸だ。」
蜜を最初に買ったのは、中年のヒステリックなおばさんだった。
可愛い蜜に,着せ替え人形のようにさまざまな服を着せて遊んだと言う。
オムツをしていた。汚れると怒り狂った,と言う。
「売り物の人形のくせに生理現象があるの⁈」
時々食事も忘れられた。人形は、おなか空かないはず。手伝いの女性が不憫がって食べ物をくれた。
「このベビードレスを着てママに抱っこされた事を覚えてる。」
唯一の温かい思い出だと言った。
蜜の成長とともにおばさんは蜜に飽きた。
「返品よ、引き取って。痩せこけて可愛くない。」
あのオークションの関係者に返された。
酷くぶたれてまた、値段が付けられた。
「死なない程度には世話しなくちゃならない。
早く売れてくれ。」
そうやってあの男に蜜は買われた。
このオークションに共通しているのは、みんな金持ちだ、と言う事だった。
あの夜,隙を見つけて、ドアの開く瞬間、力丸と一緒に滑り込んできたのは神様のご加護だった。
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