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第15話 蜜を買った男

 まだ蜜を買った男が特定出来ていない。いまだにオークションが開催されているなんて。  買った子供をなぶり殺しにしていいわけがない。そこまででは無いと思いたい。  蜜を買った男は、金を出した事で、蜜を好きにしていいのだ、と勘違いしている。  まだ、蜜を探しているらしい。 猫を殺す。平気で動物を殺す。こう言う男はやがて、人間を殺したくなる。 「オークションで買ったのは,ゆっくり楽しむためだ。セックスに飽きたら、拷問して楽しもうと思っていたのに、逃げやがった。」  社会不適合者だ。恐ろしいのはそれが外見ではわからない事だ。  なぜか経済力のある男は、金を使って調べていた。探偵を雇い蜜を探していた。  そこへひょっこり蜜は帰って来た。大切なものを取りに戻って来た、という。  スーツケースを転がしながら逃げた。奴は 「ビーズとディルドの痛いお仕置きをしておいたよ。GPSも付けておいた。  どこに逃げたって捕まえるよ。私の好きにしていいんだろ?  高い金を払って買った無戸籍児だ。 誰も助けてくれないよ。」  リキは一刻の猶予もない。相手は変態というだけじゃない。 「人を殺して見たかった。」 と言うサイコパスだ。  恭司が動いた。裏社会を知っているから、本当の危険を察知した。 「リキがヤバい事になってる。」  電話をかけた。 「神谷の叔父貴、チャカが必要なんだ。」  裏ルートで手に入る。 神谷の叔父貴は恭司を車に乗せて北関東のヤードに連れて行った。 「耳当てをしろ。」  目の前に一丁の拳銃が置かれた。 「ロシア製のマカロフだ。 サハリンから網走港に入港する貨物船で入ってくる。S会はチャカは厳しく管理しているから、 腹くくれよ。これは足のつかない俺のだ。  実砲も付けてやる。」  恭司も自分の組を持つ身だ。滅多な事は出来ない。若い頃から目をかけてくれた叔父貴は、母親の男、だった。 「叔父貴、俺の父ちゃんじゃねえよな?」  神谷の叔父貴は笑って頭を小突いてきた。 「弾ってのはなかなか当たるもんじゃねえ。 ここで撃ってみろ。」  恭司に試し撃ちをさせた。 ガキの頃から恭司を可愛がってくれた神谷の叔父貴。S会の若頭補佐だ。  恭司がヤクザになると言った時、殴られた。 「おふくろを泣かせるんじゃねえよ。」  それでも部屋住みから実績を積んで親父に認められ、組を持つと決まった時には尽力してくれた。 「永田組か。男が決めた事だ。 早死にするんじゃねえぞ。」  目の前の拳銃を持ち上げて、離れた所のドラム缶に並んでいる酒瓶を狙って一発撃って見せた。命中した。見事だった。叔父貴は昔、早撃ちのジョーと呼ばれていたのを思い出した。  神谷丈。伝説のヒットマン。 安全装置の外し方。弾の装填の仕方。リボルバーと違って連射が出来る。  恭司も数発撃った。中々当たらない。 叔父貴は一発で瓶を撃ち抜いたのに。 「C国産のトカレフだと稀に暴発する。 ロシア産もいい加減だがまたましだ。  腕が吹っ飛ぶ事はないだろう。」 「叔父貴、銃の腕前はどこで?」  海外で練習したと言う。実際に人を撃った事はあるのか?  傭兵だったと言う噂を聞いた事がある。  数発撃って銃の熱が冷めるのを待って目の前のテーブルで分解した。  見事な手捌きであっという間に分解掃除して組み立てた。 「すげえ。」 「小さな汚れでも弾道が狂うんだ。  分解の仕方も覚えておけ。 でも、時間がなさそうだな。」  叔父貴に組の今後を頼んで、マカロフを持ち帰った。叔父貴に 「おまえ、惚れた奴はいねえのか? そいつのためにも死ぬなよ。」 「ああ、守りたい奴はいるよ。 昔から惚れてる。」 「今度の事もそいつのため、か?」

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