15 / 35
第15話 蜜を買った男
まだ蜜を買った男が特定出来ていない。いまだにオークションが開催されているなんて。
買った子供をなぶり殺しにしていいわけがない。そこまででは無いと思いたい。
蜜を買った男は、金を出した事で、蜜を好きにしていいのだ、と勘違いしている。
まだ、蜜を探しているらしい。
猫を殺す。平気で動物を殺す。こう言う男はやがて、人間を殺したくなる。
「オークションで買ったのは,ゆっくり楽しむためだ。セックスに飽きたら、拷問して楽しもうと思っていたのに、逃げやがった。」
社会不適合者だ。恐ろしいのはそれが外見ではわからない事だ。
なぜか経済力のある男は、金を使って調べていた。探偵を雇い蜜を探していた。
そこへひょっこり蜜は帰って来た。大切なものを取りに戻って来た、という。
スーツケースを転がしながら逃げた。奴は
「ビーズとディルドの痛いお仕置きをしておいたよ。GPSも付けておいた。
どこに逃げたって捕まえるよ。私の好きにしていいんだろ?
高い金を払って買った無戸籍児だ。
誰も助けてくれないよ。」
リキは一刻の猶予もない。相手は変態というだけじゃない。
「人を殺して見たかった。」
と言うサイコパスだ。
恭司が動いた。裏社会を知っているから、本当の危険を察知した。
「リキがヤバい事になってる。」
電話をかけた。
「神谷の叔父貴、チャカが必要なんだ。」
裏ルートで手に入る。
神谷の叔父貴は恭司を車に乗せて北関東のヤードに連れて行った。
「耳当てをしろ。」
目の前に一丁の拳銃が置かれた。
「ロシア製のマカロフだ。
サハリンから網走港に入港する貨物船で入ってくる。S会はチャカは厳しく管理しているから、
腹くくれよ。これは足のつかない俺のだ。
実砲も付けてやる。」
恭司も自分の組を持つ身だ。滅多な事は出来ない。若い頃から目をかけてくれた叔父貴は、母親の男、だった。
「叔父貴、俺の父ちゃんじゃねえよな?」
神谷の叔父貴は笑って頭を小突いてきた。
「弾ってのはなかなか当たるもんじゃねえ。
ここで撃ってみろ。」
恭司に試し撃ちをさせた。
ガキの頃から恭司を可愛がってくれた神谷の叔父貴。S会の若頭補佐だ。
恭司がヤクザになると言った時、殴られた。
「おふくろを泣かせるんじゃねえよ。」
それでも部屋住みから実績を積んで親父に認められ、組を持つと決まった時には尽力してくれた。
「永田組か。男が決めた事だ。
早死にするんじゃねえぞ。」
目の前の拳銃を持ち上げて、離れた所のドラム缶に並んでいる酒瓶を狙って一発撃って見せた。命中した。見事だった。叔父貴は昔、早撃ちのジョーと呼ばれていたのを思い出した。
神谷丈。伝説のヒットマン。
安全装置の外し方。弾の装填の仕方。リボルバーと違って連射が出来る。
恭司も数発撃った。中々当たらない。
叔父貴は一発で瓶を撃ち抜いたのに。
「C国産のトカレフだと稀に暴発する。
ロシア産もいい加減だがまたましだ。
腕が吹っ飛ぶ事はないだろう。」
「叔父貴、銃の腕前はどこで?」
海外で練習したと言う。実際に人を撃った事はあるのか?
傭兵だったと言う噂を聞いた事がある。
数発撃って銃の熱が冷めるのを待って目の前のテーブルで分解した。
見事な手捌きであっという間に分解掃除して組み立てた。
「すげえ。」
「小さな汚れでも弾道が狂うんだ。
分解の仕方も覚えておけ。
でも、時間がなさそうだな。」
叔父貴に組の今後を頼んで、マカロフを持ち帰った。叔父貴に
「おまえ、惚れた奴はいねえのか?
そいつのためにも死ぬなよ。」
「ああ、守りたい奴はいるよ。
昔から惚れてる。」
「今度の事もそいつのため、か?」
ともだちにシェアしよう!

