1 / 6
第1話
光りが眩しかった。
小学生の時から学校へは電車で通っていた。
明るい時は気にならなかったが、帰りが遅くなってしまった時……特に冬は強く感じた。
幾つかの駅を通過する間に幾つもの家に灯る明かりが眩しかった。
家に明かりが灯っているのは誰かが誰かを待っている証拠だから、暖かい感じがして寂しかった。
寂しさを抱えたまま駅から家に向かい、真っ暗な家を見る度に惨めな気持ちになった。
誰も待っていない家。
俺の事など誰も待ってはいない家。
自分は不要なモノの様な気がして惨めだった。
だからずっと憧れていた。
明かりの灯った家に……。
誰かが待っていてくれる家に……。
この二十八年間ずっと……。
ともだちにシェアしよう!