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第1話

 光りが眩しかった。  小学生の時から学校へは電車で通っていた。  明るい時は気にならなかったが、帰りが遅くなってしまった時……特に冬は強く感じた。  幾つかの駅を通過する間に幾つもの家に灯る明かりが眩しかった。  家に明かりが灯っているのは誰かが誰かを待っている証拠だから、暖かい感じがして寂しかった。  寂しさを抱えたまま駅から家に向かい、真っ暗な家を見る度に惨めな気持ちになった。  誰も待っていない家。  俺の事など誰も待ってはいない家。  自分は不要なモノの様な気がして惨めだった。  だからずっと憧れていた。  明かりの灯った家に……。  誰かが待っていてくれる家に……。  この二十八年間ずっと……。

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