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君を忘れぬ花言葉
「本当…ヒドい奴」
病院の屋上を囲う鉄格子に腰掛けて、冬の渇いた寒空を見上げて涙が零れる。
7年。
早いものだ。
春成は、あの日あの姿のまま、ベッドで眠っている。
7年、ほぼ毎日病院に通い詰めて思った。
「……春成、弱かったんだ」
僕はどこかで春成をどこまでも強い存在だと決めつけていた。
…きっと広くて大きなあの背中のせい。
こんなになってしまった春成。
もう離れた方が良い。
もう、彼の人生に関わらない方が良い。
できなかった。
どんな春成でもいい。春成なら何でもいい。
僕の傍の春成がいるなら、僕はそれだけで。
「春成…ブーゲンビリアって知ってる?
僕の大好きな花。知らなかったでしょ。だって言ってないもん、まだ。
ねえ春成。……僕待ってるから。ずっと、ずーっと。
春成が起きるまで、僕死ねないから。
春成が起きて、誰よりも最初に、名前呼んでもらいんだからね。
それまで嫌でも隣にいてあげる。
ねぇ春成……愛してるよ」
今は、彼に繋がれたあの機械が、……あの機械の立てる音が、春成の代わり。
春成が、心電図 を聞かせてくれてるから。
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