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停車した車のカーステレオから、今年一番の猛暑を告げるラジオの声が漏れ聞こえてきたが、重たいドアが閉められた瞬間にそれは断ち切られた。 車内から流れ出た冷風混じりの風圧で舞い上がったアスファルトの熱気は、身体が焼けるほどに熱い。 快晴の空で輝く太陽が、ジリジリと地表を照らし続けているのだ。 「あぶな」 暑さには強いと自負しているが、こう何時間も放置されてはたまったものじゃない。 もういっそのこと、と、全ての放棄を考えたその時、無遠慮な影が頭上を跨いでいった。 「ちょっと。売り物だよ」 なんだ。ただの人間か。 後を追う若い女がそう叱るように窘めたが、跨いだ男は生返事とともに店内の冷気へと消えていく。 女もまた連れていた子供の小さな手を引き「ほら、汚れるから触らないで」と、傍らを通り過ぎていった。 急に、再び巨大な影に覆われ底から持ち上げられる。 逆光の中、僅かに確認できた四つの瞳にジロジロと眺められた。 「え、買うの?」 怪訝そうな隣の青年の声に「なんか可哀想じゃない?こんなに暑いのに」と、もう一人の青年は笑いながら建物を目指す。 自動ドアが左右に割れ、境目から溢れ出した冷えて乾ききった風に表面を背けた。 変わっていく景色に身を揺らされる。 こんな風よりももっと、ぬるく湿った風の方が得意なのだがと、贅沢な文句を並べた。

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