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第29話 長い夜※

  「ん、……ちゅ」 「は、ふ……ん」  覆い被さるクロノス、心地いい重みに身を委ねて、唇を重ね合わせる。 「ん、ぁ」  口内を暴れ回る舌に翻弄される、上顎を掠められ甘えた声が漏れた。離れる唇が惜しくて視線で追った先、2人の間を光る糸が繋いでいた。 「ふふ、気持ち?」 「ん、もっと」 「…………たまんないね」 「ん、ちゅ」  再び重なった唇、味わうように吸いつかれて刺激に背筋がゾクゾクする。舌の動きに夢中になっていた俺の胸に、不埒な指が触れた。周りを優しくさすっていた指が、柔らかくそこをつまんだ。ゆっくり焦らすように先端を擦られて、気持ちよさに声が漏れた。  俺の胸は連日のクロノスのおしゃぶりによって、立派な性感帯に仕上げられている。今のわずかな刺激だけで、既にピンと立ち上がり存在を主張し刺激を待っている。 「……ぁ、そこ」 「ふふ、気持ちいね?」 「ん、舐めて?」 「いいよ」  胸のシャツをたくしあげられる、露出した乳首は予想通り立ち上がり強請っているようで少し恥ずかしい。  クロノスの犬歯がチラリと見える大きな口が俺の乳首を飲み込む、全体を口に含み吸い上げる。先を軽く喰まれ突起の頂点を舌で嬲られる、あまりの刺激に体を逸らして悶えた。 「んやぁ、あ!……つよ……ぃ、い」 「ほぃひぃ」 「ぁは、あ」  打ち上げられた魚みたい、のけぞって震える体。それでも容赦なく追い上げるクロノスの舌に痙攣が止まらない。優しい顔してやることがえげつない。 「勃ってるね」 「……は、ふ…………、お前もじゃん」 「ちょっと、……触んないで」 「ふふ」  当たり前に勃ち上がる俺の性器、だって気持ちいいから。でもお前が勃ってるのは俺が気持ちよさそうだからだろ? 「可愛い」 「……、余裕じゃん」 「そんなことないよ」  悔しそうなその顔も可愛い。 「んちゅ」 「は、んぁ……ふ」  自然と唇が重なる。キスしたいって思ったタイミングが一緒だったみたいで、なんか嬉しい。口付けを続けながら、鎖骨、乳首、脇腹と温かい手が移動していく。勃ち上がった性器に触れ優しく撫ぜられる、先走りが滴るそこに与えられた直接的な刺激に声が抑えられない。 「や、……だめ、いっちゃ」 「いっていいよ?」 「ぅあ、んんっ、おればっか……やぁ」 「……こら」  されっぱなしは性に合わない。お返しとばかりにクロノスの下履きに手を入れる。立ち上がったそれを優しく扱くと、ピンと立ち上がり大きくなる。元気いっぱいだな。 「……ん、こら。いたずら、すんなぁ」 「リヒトが、先にしたでしょ」  タコのある大きな手のひらにギュッと掴まれて、鈴口をいじられる。先走りがトプトプ溢れて滑りが良くなったそこを強く擦られた。 「あぁ!ん、……だめ、いっちゃ!」 「ほら、いって?」 「あ、ぁっ、ぁん!」  我慢できずに精を吐き出す。脱力した俺のそこを名残惜しそうに優しく指でなぞるクロノス。イった直後の敏感な体には強すぎる刺激に、むずがるように離れる。 「や、今、だめ……」 「だめじゃない」  止まらない刺激に体がびくびくと跳ねる。また勃ち上がり出したそこに気を取られていた俺の後ろに、滑り気を帯びた指が触れる。くるくると馴染ませるように動く指、中は魔術で綺麗にしてあるけどこの羞恥心はどうしようもないな。 「……いぃ?」 「いいけど、あんま……みんな」 「それは無理」 「この、バカ犬」  この犬は従順に見えて、結構言うことを聞かない。まぁ、それを許してる俺が文句を言うなって話だよな。 「ぁ、」  とぷ、と指が1本中に潜り込んだ。反射的に体に力が入った俺を宥めるように、クロノスが啄むような優しいキスを繰り返す。胸に触れた指が優しく動き、頭が再び快感に染まっていく。  乳首に性器に、快感を散らされて喘ぎ声が止まらない。乳首を再び吸われ同時に前を扱かれた時には、あまりの快感に頭が真っ白になった。  果てた瞬間、そっと2本目の指が後ろに追加された。痛みはないけどなんとなく感じる圧迫感と違和感、の中に感じるゾワゾワする感覚。快感の余韻で息を整えていた俺は、その未知の感覚になんとなく恐れを抱いた。 「……リヒト、大丈夫?」 「ん、痛くはねぇよ」 「待ってね、今探してるから」 「?」  俺は過去数回、性行為の経験(前世含む)があるが、挿入行為で気持ちよくなった記憶はない。挿れて動かれて最後には出される、これがこいつらは気持ちがいいのかと不思議に思いながら冷えた体で受け止めた。クロノスとの性行為も、挿入による快感は期待していなかったが、それでもクロノスと繋がれるだけでどれだけ心は満たされるだろうかと、期待はしていた。  だから俺は、そんな快感、知らなかったんだ。 「っぁ、ん!、え、な……」 「……ここかな?」 「やっ、あ!、なに……っ!?」  指がそこに触れた瞬間、体が大きくはねた。強い快感に、頭がついていかない。 「やだ、そこ……っ!」 「ふふ、見つけた」  あまりの快感に上半身が逃げを打つ、が許されるわけもなく。追いかけてきたクロノスが体重をかけながら乳首にむしゃぶりつき、逃げ場のない快感にもうどうしようもない。  無様に喘いで、白濁を鳴き散らす。静止の言葉など興奮した狼に届くわけもなく、あまりの快感にただ痙攣を繰り返す俺をうっそり笑ってクロノスは見下ろしていた。その視線にすら快感を覚える俺は、どこかおかしくなってしまったのかもしれない。  クロノスが俺の太ももに腕をかける。足を大きく割広げられる格好に、逃げ出した羞恥が帰ってきた。 「ば、かいぬ……、恥ずかしい、って……」 「……」  ギラギラしたその目と荒い息は、まさに興奮した獣のようだ。それでも俺の声に、なんとか答えようとしている。 「……ぜんぶ、みたい。リヒトを、俺のものにさせて」  なんでそんな顔してんだよ、ばか。 「ぜんぶ、……お前のもんだよ。いいよ、……好きにしろ」    頬に触れ、一瞬触れるだけのキスをする。俺はいつだってコイツのおねだりを、拒否できない。  だってずっと、それこそ出会った時から。お前の目は俺が大好きだって、そう言ってるんだ。  そんなのもう、仕方ねぇじゃん。   「リヒト……、大好き」 「うん、知ってるよ」  再び唇を重ね、密着する体。押し入ってくるクロノスのそれは大きくて、痛みはなくとも圧迫感は指の比ではない。 「リヒト、……力、抜いて」 「ん、ふ……、ぁ」  キスが深くなり、舌を絡ませあう。唾液が混ざり合い、嚥下するたびクロノスを感じて嬉しくなる。そうして時間をかけて少しずつ進んでいった先、指で何度もこねられたそこに到達した。  その瞬間圧迫感を跳ね除ける快感に、体が大きく抜けぞった。 「ん、ぁっ、や!ぁあ、ん」 「リヒト、……好き。大好き……」  ゆっくり抜き差しされるたび、クロノスの硬いそれがしこりを何度も擦る。止まらない快感に翻弄される。どんどん昇っていく快感についていけない身体は、注挿のたびにちょろちょろと無様に液をこぼす。頭がバカになったようで、なにも考えられない。 「好き、大好き。ねぇ、気持ちい?」 「ん、ぁっ!うん、気持ち、イっちゃ」 「はは、リヒト気づいてないの?ずっとイってるよ?」 「あぅ、んあ!、やぁ……っ!」 「はぁ、可愛いね……、好きだよ」  口を合わせ、唾液を混ぜ合わせて嚥下する。上も下も、身体中くっついて混ざり合って、一つになったみたいだ。  快感の切れ目、目を開けて見たクロノスの表情。快感に耐えるように眉を寄せて、汗をかいて頬が赤くなっている。あまりにも可愛くて可愛くて、ついペロリと舐めてみた、食べちゃいたい。  したらお返しとばかりに舐め返された。頬をがじっと甘噛みされて、ぺろぺろ舐め取られる。子犬のような愛情表現に、湧き上がったこの気持ちは。  (愛情以外、ないだろ)   「クロノス、……俺も」 「?」 「愛してるよ」 「っぁ……、」  腹の中でクロノスが震え、吐き出した気配がした。腹の奥、叩きつけられた感覚のあと、じんわり温かい感じがしてなんとなくお腹を撫でてみた。   「リヒトの……バカ……」  泣きそうなクロノスな顔に、もう一回キスをする。 「はは!まだ終わりじゃないだろ?」 「もちろん」    グチュ、グチュ  濡れた後孔は動かすたびに卑猥な音を立てる、でもそれすら快感のスパイスにしかならない。  両足に手をかけられ、腰を押し付けられる。奥まで届くその姿勢は、圧迫感が強いのにそれを軽く凌駕する快感に脳が焼ける。   「手前だけじゃなくて、奥も気持ちいの?」 「んっ、うん。……ぁ、ぜんぶ、気持ち……」 「才能ありすぎ、…だよ」  奥までゆっくり入れて、引き抜かれる。手前のしこりとは別に奥にも気持ちいポイントがあるみたいだ、ずっと気持ちよくてその波が途切れることがない。   「ぁ、あ!だめ、もう……ぁ、また……イっく……!」 「はぁ、……ん、俺も」  口付けたまま、奥まで押し付けられる。奥に叩きつけられる快感に体が震えた。出し過ぎた俺の精液は薄く、水っぽい。  脱力し弛緩した体をクロノスが引き寄せた。ピッタリと体を密着させて、続けてキスをした。  もう何だって、気持ちがいいんだ。   「リヒト、大好き」 「うん………………、俺も」 「ねぇ、もう一回?」 「…………………………、しゃーねぇなぁ」  何度も何度も繰り返しキスをして、飽きるほどに抱き合った。  可愛いおねだりに俺は抗えない、こいつはそれをよく知ってる。  ずるい弟だよ。  声が枯れて、精が尽きても、  愛しい狼が満足するまで、長い夜は続いたのだった。      

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