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第34話
「はい! いきますよー! 10、9……」
離婚届が正式に受理されたあと、俺たちは新しいスタートのために、家族写真を撮り直すことにした。
大人三人、ビシッとしたスーツに着替えて、子どもたちも可愛らしいおめかし服を着たりして。
俺たちの家族の形は、周りから見れば、おかしくて歪な形をしているかもしれない。だけど、俺たちはごく自然に集まった、ただの愛の塊でしかないんや。
「……俺も元宮さんのこと、大好きですよ?」
「へ!?」
新が数を数えながらこちらへ向かって走ってくる、その一瞬の隙を狙ったように空が言った。
いや、気持ちはわかってたけど、いざ真っ直ぐ言葉にされると猛烈に照れ臭い。
「おれもおとうのこと、だいすきやで!」
「こうもだいすきーー!!」
前に並んでいた弦と洸まで一斉に振り向いて、俺のことを満面の笑顔で見つめてくる。
「みんな、カメラ全然見てへんやん!!」
シャッターのタイミングを気にしながら、新が珍しく大きな声でツッコミを入れていた。思わず顔を見合わせて笑う俺たちに、空がニヤリと悪戯っぽく新へ視線を送る。
「新は? 言わんでええの? このチャンス逃したらもうないかもやで?」
「へ……?」
空の突然のパスに、新が珍しく顔を赤くして何かを考えている。そして、少しだけ視線を泳がせたあと、意を決したように口を開いた。
「……僕も。僕も大好きですよ、元宮さんのこと。……洸くんと、弦くんと、空の次に」
「ランク低っ!!」
俺のツッコミに、新はいつもの穏やかで優しい顔に戻って、ふふっと微笑んだ。
「じゃあ、もう一回! 10秒ですよ!」
セルフタイマーを押しに、再びカメラの方へダッシュしていく新の後ろ姿を見つめる。
「どこまでも優しい人ですね。新先生って」
「……空、お前もな?」
空が嬉しそうに、でも少し照れたように俺を見つめてくる。
カメラの前に滑り込んできた新が、俺たちの隣で笑顔を見せた。点滅が早くなってシャッターが下りるその直前、俺たちは声を合わせて叫んだ。
「いくで!」
「「「「「はい、チーズ!!」」」」」
五人の弾けた声が、どこまでも高い大空へ響いていく。
いつまでも、いつまでも、このまま楽しい日々が続いていきますように。
〈 完 〉
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