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第7話-4 *

「……綺麗です」 ぽつりと言葉を零した日野は、心なしか頬を赤らめているように見えた。 男でありながら陶器のように白く滑らかな真宮の肌へ、日野が恐る恐る手を伸ばす。 その手つきがあまりに怖々としているものだから、何だか可笑しくなってしまって思わず笑い声が漏れた。 小さな笑い声に真宮の体を思うままに翻弄していた日野は表情を一変させて、気恥ずかしそうに唇を尖らせる。 「わ、笑わないでくださいよ……」 「いやだって……可愛くて……日野は怖がりだな」 「もう……真宮さんだからですよ」  日野は眉を寄せ、そっと真宮の肌に触れる。 まるで壊れ物に触れるかのように、優しく撫でるような手つき。 その手に心地良さを感じていれば、大きな手は真宮の内腿に触れた。 ぴくりと体を震わせた真宮に口元を緩める日野は、そのまま内腿の上の際どい部分を指の腹で撫でる。 「ん……」 「くすぐったい?」 先程まで和やかだった室内は、一変して甘い雰囲気に満たされた。 くすぐったいと呟いたところで動きが止まることはないと真宮は分かっている。 日野の手はそのまま敏感な部分を指の腹で撫で続け、真宮の体は再び熱を持ち始める。 固さを失っていた真宮の昂りは少しずつその固さを取り戻し、それに合わせるように日野の手もゆっくりと下へ滑っていった。 『ああ、また触れてもらえる』 そう期待したのも束の間、与えられるであろう刺激を待ちわびるようにしていた真宮の期待に反して、その手はさらに下へと進む。 そしてそのまま日野の手は真宮の隠された場所、誰も触れたことのない蕾へと向かった。 「あ……っ?え、う……っそこ……!」 「なんですか?」  蕾には触れず、日野は指の腹で蕾の周辺に触れ始めた。 くるくると円を描くようにに触れられる度に、内腿が震え真宮は小さく声を漏らした。 思わず足を閉じてしまいそうになろうとも、間にいる日野がそれを許してくれない。 触れられる度真宮の体が弛緩していくと、何度も蕾の周りを行き来していた日野の指は音もなくそこから離れる。 息をついたのも束の間、日野は中指を口に含み自分の唾液をたっぷりと纏わせると、濡れた指を蕾へ差し込んだ。 「やぁ……あ……あぅ……」  中へと入り込んでくる日野の指に、全身の肌が粟立つのを感じる。 日野の指はそのまま真っ直ぐに真宮の中へと進んでいき、中指の根元まで収めきってしまった。 味わったことの無い、未知の感覚。 脳の理解がまだ追いついていないというのに指を飲み込んだ真宮の腸壁は、指を離すまいとぴったり吸い付いている。 日野はそれに逆らうように指を引き抜いていくと、爪先が抜けるぎりぎりのところで再び指を真宮の中へと納めた。 「あ……あ……っひぃ……っ」  ぎりぎりまで引き抜いて、再び真宮の中へと指を収める。 何度もそうやって繰り返す度に真宮の腸壁を日野の指の腹が擦り、粘膜の感覚が鋭くなっていく。 初めに感じていた異物感はいつの間にか消え去り、体の余計な力が抜けていった。 そうすれば指を締め付けていた蕾の力も抜けていき、中指の抜き差しは次第に滑らかになっていく。 「う、うぁ……う……っ」  開いたままの口は絶えず甘い声を垂れ流していた。 やがて固く閉じていた蕾が柔らかく解れてくると、中指と共に人差し指が入り込んでくる。 少しの圧迫感を感じても柔らかな腸壁はすぐに順応して、二本の指に吸い付く。 二本の指は真宮の中の出入りを繰り返し、真宮の意識は徐々に蕩けていった。 このままでは体が溶けていってしまいそうだ。 与えられ続ける快楽に、次第に思考がぼんやりと霞んでいく。 何を考えていたのかさえ曖昧になりかけた、その瞬間だった。 「あっ……!?」 まるで電気が走ったかのような衝撃に、真宮の腰が大きく跳ねた。 何が起こったのか分からず、真宮は困惑した表情を日野に向ける。 見つけたと呟いた日野は、満足げに口元を緩める。 再び動いた指がある一点を掠めた瞬間、体に大きな刺激が走り真宮は思わず息を詰めた。 「ま、あ、あぅ……ま……っ!」 「前立腺って言うんですって。ここ、気持ちいいですよね?」 日野が腫れ上がったそこに触れるたび、真宮の体は大きく反応を見せる。 あまりにも強い快楽に思考は追いつかず、何も考えられなかった。 ただ与えられる刺激に翻弄され、真宮はあられもない声を零すことしかできない。 このままでは、本当におかしくなってしまいそうだ。 瞳に涙を滲ませて情けない声で日野の名を呼べば、日野はようやくそっと手を離す。 けれど安堵する間もなく日野は体を起こすと、そのまま真宮の下半身へと顔を埋めた。 「な……っ!え……っ!?」 不意に訪れた刺激に、真宮は思わず目を見開く。 驚きに息を呑み体がびくりと強張った。 突然昂りに感じた熱くぬめった感覚。 反射的に下半身の方へ視線を落とすと、日野はあろうことか真宮の昂りを口に含んでいた。 「あ、ぅ……やだ……きたな……っ」 いやいやと頭を振れど、日野は動きを止めない。 日野の頭は下へと降りていき、真宮の昂りが大きな日野の口内へと収められていく。 日野はすんなりと真宮の昂りを根元まで口に含むと、そのままゆっくりと頭を上下に動かし始めた。 「う、ぅう……あっひ……ぃ……っ」  ぬるぬるとした感覚が暴力的なほど強い刺激となり真宮の体を駆け抜けていく。 全身の意識が少しずつ下半身へと向けられ、もう恥ずかしさを覚える余裕すら無くなっていた。 日野は真宮の鼓膜すら刺激するようにわざと昂りに唾液を絡ませ、頭が上下する度に厭らしい水音が鳴る。 その度に真宮の昂りは日野の口内で震え、あられも無い声がアパートの部屋中に響いていた。 薄い壁では他の人に聞こえてしまうかもしれないというのに、真宮を翻弄する手は止まらない。 そして日野は昂りを刺激したまま、真宮の蕾の中に三本目の指を差し込んだ。 「一緒……だめ……っあ、ぁあ……っ」 散々時間をかけ蕩けさせられた蕾は三本目の指もなんなく飲み込み、日野は指の抜き差しを繰り返しながら頭を動かし続けた。 仰け反った真宮の背をなぞるように指先が這えば、甘い声が部屋に響く。 再び込み上げてくる熱に、足先までぴんと伸びた。 あと少し。 もう少しで、この苦しさから解放される。 そう願った瞬間、体の奥から熱が一気にせり上がり思わず腰に力が入る。 けれど日野は、それを待つことなくふいに体を離し真宮から距離を取った。 「あ、なん、で……っ」  突然突き放された体の中では吐き出し損ねた熱が内側で暴れ回っていた。 涙に濡れた瞳で日野を見つめると日野はまだ駄目だと笑う。 早く、もっと欲しい、もっと気持ちよくして欲しい。 卑しくもそんなことしかもう真宮の頭は考えることが出来ず、思わず昂りに伸びた真宮の手を日野がそっと拒む。 そして昂りに息を吹きかけられると、真宮は体を震わせ声を漏らした。 「ここからは一緒に……ね?」 「……っ」  妖艶な日野の微笑みに目を離せないまま、生唾を飲み込む。 日野のスラックスの中心は先程よりも大きく膨れ上がっていた。 少し性急にベルトを外しファスナーを下ろす日野の姿に、真宮は日野のシャツの端を掴む。 自分も日野の体が見たい。 脱いでくれと顔を上げた真宮に、日野は少し困ったように表情を曇らせる。 でもと言葉を続けようとして、日野はわずかに口を噤んだ。 「……見て、楽しいものじゃないですよ」 「それでもいい……」  俺も日野の本当の姿を見たい。 真宮の言葉に日野は少しだけ悩む素振りを見せて、やがて意を決したのかシャツのボタンに手をかける。 一つ一つ外されていくボタンを、真宮はじっと見つめていた。 シャツとインナーを脱ぎ捨て、スラックスと共にボクサーパンツを床に落とす。 真宮の眼下に晒された一糸纏わぬ姿の日野は同性である自分が惚れ惚れとするような肉体美を持ちながら、その体には大きな古傷が数えられないほど刻まれていた。 「……ほら、楽しくないでしょ」  眉を下げ笑う日野に真宮はその体から目を逸らさずにいた。 きっと真宮と出会う前に、様々な苦難を乗り越えて今ここにいるのだろう。 傷について深くは聞かない。 きっと聞けば日野は教えてくれるだろう。 だがそれは日野を過去の嫌な記憶で傷付けることになると、真宮には分かっていた。 「今、お前が生きていてくれて、出会ってくれて……俺は幸せだ」 『ありがとう』 日野へと腕を伸ばすと真宮はそのまま日野の頭を撫でる。 見た目よりも柔らかくて、ふわふわとしたこの髪が好きだ。 まるで愛でるように撫でていると自然と頬が緩む。 愛してる、大丈夫、ひとりじゃない。 言葉にはせず思いをその手に込めて、初めて出会ったときのように日野の手を握る。 真宮の手を受け入れ握り返し鼻をすする日野は、涙に瞳を濡らして微笑んだ。 「はは、格好つかないです……」 「お前はいつもかっこいいよ」 嘘だと笑う日野につられるように、真宮もまた笑みを零す。 互いに腕を回して抱き寄せ合い体をぴったりと重ねれば、胸越しに伝わる鼓動が確かな生を感じさせた。 幸せなのだと、今ここに生きているのだと、改めて 思えた。 「……いいですか?」 言葉すら必要としない愛の時間の中で、日野の声だけが静かに響いていた。 それに答えると日野は静かに上半身を起こす。 日野の昂りが天高くそそりたっていた。 凶悪にも見えるそれに視線を向けると、少し落ち着いていた熱が再び上がってくるのを感じる。 日野が真宮の内腿に手をかけ足が更に大きく開くと、日野の昂りの先端が真宮の蕾の入口に触れる。 ああ、ついに来る。 待ち侘びた刺激にぐっと思わず息を止めた瞬間、日野の昂りが真宮の蕾の中へ突き立てられた。

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