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第35話 問題集。
ミカエルが学校へ登校していってから一時間経過した頃、今度はセドリックが教会のほうに現れた。
「やぁ、セドリック」
「アルフレッド、少し話したいことが……」
何か言いかけようとした彼に、私は直球で言葉を放った。
「学校はどうしたんですか?」
すると彼はバツの悪そうな苦笑いを浮かべながら、頬を掻いた。
「あー、えっと。最近学校には行きたくなくて……サボってる」
登校拒否は仕方のないことだけれど、その理由は一応聞いておかなくてはいけないだろう。
おそらくその理由もミカエルから聞いているので、今日くらいは見逃そうと思った。
「セド、これは僕が学生の頃に使っていた問題集です。君が来る前に探しておきました」
私は一冊の問題集をセドに差し出す。
「え、いいの?」
「約束でしたからね」
セドはその問題集を受け取ると、嬉しそうに笑った。
「ありがとう、アル。ここでやっていい?」
「何故学校に行きたくないのか、理由が言えたら。あなたをここにいさせてあげます」
『ダニエル教官がこの村に来ているのでしょう?』、とは、あえて聞かなかった。
出来たら私も教官と関わり合いたくないし、会わないで居られたらと思っているから個人名は言わずにさけたのだ。
「……音楽の臨時教師にダニエル教官がこの村の学校に来ています。僕は教官に会いたくないし、出来たらアルにも会ってほしくないんだ」
やはりそうなのか、確認をした私は心の中で深い溜息を吐いた。
「問題集にアルが書いた文字が書かれてないです」
セドは問題集をパラパラとめくりながら、ぼそりと感想を述べた。
「ノートに書き写して使っていたんです。これならば何回も問題集は使えるでしょう」
当時の私は孤児院で育っていた。
アルバイトをしながら勉強をしていたから、お金に余裕もなく、おいそれと問題集を購入出来ずにいた。
「アルは昔も真面目だったんだね」
「打ち込めるものには全力で打ち込む、それが私の蘇生術なのでしょうね」
根本的な部分で私は今と変わらない性格なのだ。
それに物事に打ち込めることがあると、他のことは一切目にはいらないのは私の長所でもあると思っている。
セドははにかむ笑顔で私を見つめてきた。
「今のあなたはそうやって出来た。今またアルの一部が知れて俺は嬉しいよ」
そんな彼の笑顔を見た私の中は熱くなるのを感じた。
一体この感情は何だろう。
「役所に書類を届けてきます。……そ、そそそその間の教会の留守番お願いします!!」
私は茶封筒を持って、村の役所に向かった。
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