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第32話 その後… R-18
◇ ◇ ◇
カチャッ、カタタッと、扉を挟んだ向かい側で立った音に、ぼんやりと意識が呼び覚まされる。馨が帰ってきたのか。日がどっぷりと落ちた時間帯ではあるが、リビングの方で明かりが確認できた。
間もなくして大きな手のひらが前髪を払い、唇を押し付けてくる。額、頬、唇と、連なる愛撫にむず痒さを抱きながらも、まだ睡魔が優位。
利央は薄く瞼を開いては、あどけなく笑みを零し、そっとその身を抱き寄せる。
「……なんだよ、構って欲しいの?」
「ただいま、利央」
「……おかえり、今日は遅かったな」
「前の撮影が押しててさ、予定よりも三時間遅れたんだ」
「ああ、なんか言ってたな。そんなこと……」
拙い舌遣いで会話を続け、意識の半分は夢と現実の世界を行ったり来たり。薄暗い照明の下。いまいち表情が読み取れなくとも、なんとなく構って欲しいことは感じ取れた。
普段はすまし顔の彼が、こうして二人の時だけ、甘えた一面を見せてくる。大変愛らしく、ぐっと心を鷲掴みにされた。しかし、こちらは学期末のレポートを仕上げたばかりの身。連日の夜勤も重なり、体力は限界値。せめてあと一時間は寝させてもらいたいと、枕へ突っ伏し、利央の瞼は自然と元の位置へ戻っていく。
この部屋で馨と暮らすようになり、半年が経過した。ただでさえ狭い空間に、シングルベッドを買い足し、寝室は足の踏み場もない。引っ越しを検討していたが、互いになかなか予定が合わず、物件探しは先延ばしにされている。
ごく有り触れた一般的な賃貸物件のため、手狭さは感じつつも、その分、愛着は湧いていた。必要なものにすぐ手が届き、こうして自然と肌の接触が増えるのもいい。
シャツを脱ぐ音、安いベッドのスプリングが軋む音。それらの一つ一つが室内で反響し、彼の存在を知らせてくれる。
「……馨、悪いけど寝かせて……明日は早いんだ」
「コンビニ?」
「そっちじゃなくて、講義の方……優吾に代返頼むと、面倒いからさ」
ただでさえ、馨と同棲していることに不満を覚え、常に目をギラつかせているのだ。欠席ともなれば、すぐさま鬼電が掛かり、家にまで押し掛けて来るのは、目に見えていた。
じゃれ合いを求める手を制し、利央はごろんっと寝返りを打つ。眠気のあまり、やや荒っぽい態度になってしまったが致し方ない。そのまま「ぐぅ」っと寝息を立て始めると、重なり合った手はキツめに握り込まれ、なにかを意図するように、中途半端な位置で停止する。
「……へえ、朝早いのに、一人で遊ぶ時間はあったんだ?」
「はあ? なんの話?」
「まだ気付かないの? ……今、自分がどんな状態で寝てるかって」
そう低い声で落とすと、馨は利央の身体を翻し、強引に仰向けにさせる。途端に、ぼろんっと股間辺りで大事な部分が大きく揺れ、利央は反射的に脚を閉じた。
腰下まで落ちた柔らかな生地のスウェットパンツ。丸出しの臀部に、半勃ちの男性器。下着の中に収まっているはずのものが、なぜ剥き出しの状態で放置されているのか――。
いまさらになって冴えてきた思考が、朧げな記憶を手繰り寄せ、額に嫌な汗を滲ませる。
――や……ヤっっっバッッ!!!! ちょっと抜いてから寝よって途中までして、そのまま寝落ちたんだ……っ!!!!
同居人がいないことをいいことに、予備知識のためと、スマホで開いたゲイビは垂れ流し。練習用に購入したバイブまで横に転がっている始末。ここまで揃っていれば、誰がどう見ても「自慰の真っ最中」であり、言い訳などできない。
「あ……ぁっ、……あのっ……これはっっ」
「俺とはしたくないのに、おもちゃはいいんだ? 妬けるなあ」
「ち、違うっっ! ごごごご誤解なんだって、馨!」
羞恥と焦りに呂律が回らず、スリープモードから起動したばかりの脳は大パニック。それでも救いだったのは、目前の顔がそれほど怒りを従えてはいないこと。
すりっと鼻先が触れ、はむっと唇を甘く噛まれる。口を開けと催促されれば断る理由もなく、利央は、ぬるりと咥内へ潜り込んだ熱に舌を絡ませた。
「んっぁ……あっ、ふ……っ」
「利央、好きだよ……こっち向いて」
「んぅっ……んっ、んむっっ」
大きな舌がじゅるっと咥内で大きく動き、淫な肉の接触を図ってくる。甘ったるく、囁かれる睦言の糖度は蜜のように濃厚だ。
だからだろう、少しばかり油断していたのかもしれない。情熱的なキスに翻弄される間、利央の両手は上へと持ち上げられ、気が付けばベルトで拘束されていた。
「ま、待って……馨っ、なにして……っ?」
「利央、そこ勃ってるね。さっきは抜かなかったの?」
「……と……途中で、寝落ちたから」
「あははっ、そうなんだ? だから反応がいいのかな〜キスだけで、こんなにガチガチになっちゃって」
ふふっと軽やかに鼻を鳴らし、つーっと、指先で反り返った男性器の先まで伝われる。
前言撤回。憤怒の色は見られないと思ったのは、明らかに誤認識だ。見上げた顔に感情はなく、向けられる視線も冷ややか。瞳孔は完全に開き切り、その内に顰めた興奮を知らしめる。
――こ……これっ、マズいんじゃないか? なんか既視感が……っっ
ふと脳裏を過ったのは、いつの日か馨を助けるために行ったパフォーマンス。あの時も、いつものお綺麗な顔は消え去り、感情の読めない表情を貼り付けていた。
ゴクリッと喉を鳴らしたことで、走った緊張感。腹筋に力を込めてベッドから飛び降りるはずが、脚に巻き付いた脚衣がそれを阻む。ずり這いで逃げるにも、体力ゲージゼロの身では、結果が見えていた。
「か、馨っっ、ちゃんと説明させてくれ。これは……っっ」
「ねえ、もうここパンパンだよ? 亀頭までぷっくり膨れて、本当に感度いいよね」
くちゅッ♡ くちゅッ♡ くちゅッ♡ くちゅッ♡ くちゅッ♡ くちゅッ♡ くちゅッ♡
「ひあッっ、あッっ♡♡」
「ほら、もう先走りが出てきた。いやらしい汁が先っぽから垂れてきて、クチュクチュって、えっちな音してるね」
「……ま、待ってっ♡ もっと、ゆっくり……っっ」
「ん〜? どうだろうなあ、こっちはコレぐらいがイイって言ってるけど?」
ぐちッ♡ ぐちッ♡ ぐちッ♡ ぐちッ♡ ぐちッ♡ ぐちッ♡ ぐちッ♡ ぐちッ♡ ぐちッ♡
「ひうッ”っっ!!♡」
「あはっ、我慢汁ダラッダラ。根元までヌルヌルだ」
「 ……うッっあ゙ッっ♡あ゙っっ……あ゙ぅッ”っ、あ゙ッっあ゙ッっっ♡」
じゅるんっと一度、根元からカリまでを大きく扱かれ、グチグチッ♡と裏筋を重点的に責められる。先走りが溢れ出し、全体がヌルヌルの液体に覆われれば、動きがより大胆になり、声が抑えられなくなった。
馨の手に合わせて腰が揺れ、零れ落ちる喘ぎはどれも、みっともない濁音ばかり。それでも相手にとっては、まだ序の口のようで――馨は静止の声も聞かず、粘着質に弱い部分を弄り続ける。
「利央、見て。後ろの方までずぶ濡れ……ココもヒクヒクしてて、可愛いね」
「か、おる……っ、ソコは、やだっっ」
「でも自分で解したんだろ? 大丈夫だって、余裕で指も挿入るし」
くちゅッ、にゅぷ……っ♡
――……ぐぷぷ〜ッっっ♡
「ひぎッッっ!!♡」
「ね? こっち扱きながら挿れれば、気持ちいいのとごちゃ混ぜになって、後ろも良くなる」
「んあ゙ッっあ゙ッっ……うっ、ぅぐッ”っ、ゔ〜ッ”っ♡」
甘ったるい感覚が次第に腰から下がってきて、疼きを覚えた後孔がヒクつく。ここ最近、毎回このように前と一緒に後ろを弄られるため、反射的にソコが先を期待するようになっていた。
長い指の第二関節まで差し込まれ、ぬぷぬぽっと緩く肉を解される。そこからぐるんっと指を回されたかと思うと、徐々に根元まで埋め込まれた。そうして太さが馴染んでくれば、指の本数を増やし、二本の指で腹側の膨らみを撫でられた。
過保護なAIアシストの監視下で、健全に育てられたはずなのに。なぜ性行為に関する知識はピカイチなのか。元飼い主の偏った教育方針が、こんなところで芽を出すとは……不満が拭えない。
それに加えて、こちらでの社会経験 も影響しているのだろう。不謹慎な生徒は余裕顔で行為を続行し、立場が逆転した指導者の身体を、容易に拓かせる。
「ふ……ぅっ、んッ…んンッっっ♡」
「利央、イきたいの? 先っぽプルプルしてるよ」
「あっ、……も゙、い゙っ、イくっ♡ で、っぢゃゔッっっ……っっ♡」
「そっか、じゃあそのまま俺の顔見ててね。イク時に一緒に挿れてあげるから」
「あ゙っぁ……か、おる゙っ、……い゙…イくぅッ”♡…も゙、出る゙ッっっ……ッッ♡」
びゅぐぅッ”っ♡
びゅびゅッっびゅるるぅう〜ッッ”っ♡
「んあ゙ッっ、あ゙ッっ……あ゙〜〜ッ”っっ♡ あ゙ッっ♡ あ゙ッっ♡」
「イったみたいだから挿れるね」
「ま゙ッっ、待っでッ”……い゙、イ゙ってる゙ッっ♡ イ゙ッてるからっ、今はやめッ……っっ♡」
ぐぐッ……っっ
――……ズップンッッ”っ!!♡
「んあ゙ッッ”!♡♡あ゙ッっ♡…あ゙ッっ、あ゙ッっ……あ゙ッっ♡♡」
「あはっ、中の痙攣エグいなあ〜。でもほら、バイブなんかより全然いいと思わない?」
鬼畜な追い立てに抗えず、勢いよく吐き出された白濁が腹部を汚す。ビクビクッと激しく下肢を痙攣させ、絶頂の余韻を滴らせる中。馨は脱力した利央の腿を押し上げ、一気に男性器を挿入した。
あまりの快感に思考がぶっ飛んでいるところに、容赦なくねじ込むという、エゲツなさ。ガチガチの硬度の亀頭で、しっかりと前立腺まで突き上げ、その所業は最早、鬼畜としか言いようがない。
たった今、達したばかりだというのに、再び射精感が込み上げる。当然抑えることなど、できるはずもなく。挿入時の衝撃で絶頂を迎えてしまい、利央はきゅうぅ〜っと愛らしい動きで、胎内の雄を抱き締めた。
「締め付けすごいね、肉ヒダがきゅうきゅう吸い付いて、精子搾りにくる……そこに転がってるバイブで練習したの?」
「だっ、から……っ、違うって……っっ」
「ん? 聞こえなかった。なに?」
ぱちゅッ♡ ぱちゅッ♡ ぱちゅッ♡ ぱちゅッ♡ ぱちゅッ♡ ぱちゅッ♡ ぱちゅッ♡
「んい゙ッっっ!!♡ ……うッ”っ…あ゙ッっ、あ゙ッっ♡……あ゙ッっ♡」
「あーあ、前立腺こんなにぷっくり膨れちゃって。俺の先っぽがゴリゴリ当たって辛いね? もう一回イっとこうか?」
「や゙っ、や゙めッっ……も゙、む、無理っ、無――……んんンン゙ッッ”っっ♡♡」
否定的な返答はキスで掻き消され、反抗的な姿を見せれば、荒々しい腰振りで捩じ伏せる。散々挿入を拒み、恋人の留守中に自慰に耽っていたのだ。その怒りはご尤も。「手加減なんて期待してないよな?」と、無言の圧力まで加わり、陰湿な二点責めが継続された。
ぐっちゅぐっちゅッと、右手で男性器を扱きながら、同時に前立腺を集中的に突き上げてくる。肉壁を押し開いた先が奥へ辿り着くと、その部分に快感が蓄積され、徐々に頭が回らなくなってきた。
圧迫感と不快感が、前を弄られることの快感に混じり、錯覚を起こさせる。この行為は気持ちいいもので、そこは喜びを得る場所なのだと。霰もない姿で内側を犯され、羞恥心が込み上げるはずが、芽吹いたものは確かな興奮だ。
――だ、だめだ……っ、これ、ガチで飛ぶ……っっ
強制的に絶頂を迎えさせられること、三回目。潮を吹き終えたところから、深い部分が疼くようになり、快感の出処が変わってくる。
もうこれ以上は出ないはずなのに、腹直筋がピクピクと動き、その前兆を匂わせてきた。なんだか嫌な予感はするも、腕が拘束された状態では、耐える以外に術はない。
利央は、口から唾液を垂らしながら喘ぎ続け、ゾクゾクっと、背を駆け上ってくる感覚に身を捩らせる。
「か、馨……っ、なんかっ、ヤバ、いっっ♡ ……腹の奥ヒクヒクしてっっ♡」
「また出そう? 元気だなあ」
「ち、違っ……っっ、も、出ないのに……っっ、い、イきそう……っっ♡」
「へえ、面白そうだね。イっていいよ」
パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡
「ひッっっ!!♡ ま、ままま待ってっっ……だめだめッっ、やめっ……ッッ」
ビクビクッッ”っっ♡
ビクッビクッビクんッ”っっ♡
「〜〜〜〜ッッ”っっ!!♡」
「……あれ? これイってる? でも精子出ないね?」
「ま゙、ま゙って……イ゙、っでるッ”っっ……も゙、イ゙ったからっぁ……ッ”っっ♡♡♡」
睾丸がぶち当たるほど激しく腰を打ち付けられ、背を走るゾワゾワ感が一点に集中する。そのまま硬い先端で奥を突かれると、一際に快感が弾け、利央は力強いドライオーガズムの波に飲まれた。
脳髄を揺さぶるほどの絶頂感に、足の先までピンッと張り詰める。視覚的な「もの」が排出されないため、一見は達したようには見えないが、実際は通常の射精よりも深い快感と継続性があった。
刺激を与え続ければ、与え続けるほど、性的な興奮は持続し、いわゆる「イキっぱなし」の状態に陥る。快感のゲージがブチ壊れた状態だ。
そうとも知らず、馨は「なんかイってるっぽいけど、出てないしなあ……?」と、好き勝手に腰を振り続け、敏感になった肉壁を味わい尽くした。
「はあ〜〜〜っ、すごいっ♡ 利央のナカ、ずっとビクビクしてて気持ちいい。俺の先走りと、利央の精子で奥までグッチョグチョだ」
「か、馨……っや゙、や゙めっっ、も゙、イ゙っでる゙ッっ…ッッ♡…イ゙ってる゙んだってっ……♡」
「こうやって、俺のでネチョネチョかき混ぜて……二人の遺伝子が一緒になってるって考えると、すごく興奮するね」
「待って、お願いだから聞いてッっっ、もう止まっ……ん゙ぐッ”っ!♡……ん゙ッっ、んンンッ”っっ♡」
荒っぽい口付けが音を吸い込み、欲に濡れた唾液を注いでくる。せめてもの抵抗で舌を噛めば、よりその興奮を煽る形になったのだろう。内側でむくむくっと雄が育ち、利央は低く呻めきながら、腹部へ緊張を走らせた。
「んッっ、……あ゙〜この締め付け感、最っっ高。ナカで出していい?」
「か、おる……っっ、ご、ゴムは!? お前っ、ゴムはどうしたっっ!?」
「……利央、知らないの? 子ども作る時はゴムしないんだよ」
「違う違う違うッっっ! 男同士だと子どもできないから!!」
「はぁっ……だめだっ、もう出そう。利央、キスしていい?」
「い、やだっっ……抜いてッっ、ナカで出すなっ! だめだめっ、だめだって……あ゙ッっ、あ゙ぐっぅッ”っ♡」
びゅぐぅッっ♡びゅッびゅーッ”♡
びゅるるぅう〜ッ”っっ♡♡
「〜〜〜〜ッ”ッ”っっ!!!♡」
「あ゙〜〜気持ちいっっ♡ 射精止まんないなあ♡」
カリで前立腺を引っ掻き、鈴口から滲み出たカウパーを肉襞に塗りたくる。反射的にナカが締まると、根元まで男性器を埋め込み、力強い射精が施された。
筋肉質な肉棒が、胎内でビクンビクンッと大きく跳ね、濃厚な子種を注ぎ込んでくる。そこに子宮などないのに、グリグリッと先端を擦り付けてくるものだから、こちらまで変な気分になってしまう。
接続部はまるでメスの膣のように、きゅうきゅうっと収縮し、精を吐き出す雄へ縋り付いた。促されるままにオーガズムまで迎え、従順に教え込まれた快感を全身へ巡らせる。
――明日は、代返頼むしかねぇな……
お綺麗な顔をしていながら、動物的なエグいセックスをする男。軽快にシャツを脱ぎ捨てた様子からして、まだまだこれからが本番なのだろう。
ピクピクッと全身の筋肉を痙攣させながら、利央は目前に転がる未使用バイブを見つめ、力なく溜め息を吐いた。
END
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桐ヶ谷るつ
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