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0話-プロローグ
今は――終末世界。
既に文明が崩壊したこの世界では弱い者から順番に淘汰されていく。
路上には腹をすかせたこどもや老いたものが飢えに喘ぐ。
また、メスの亜人種の大幅な減少により、多くの者がフラストレーションを抱えているので暴力が横行している。
そんな救いようのない現代――終末世界をひとりの旅人が歩いていた。
黒狼を眷属に持つ亜人種なのだろう。
ちょこんとした黒い狼耳。ご機嫌そうに揺れる尻尾。
髪も艶やかな黒髪である。
瞳はアレキサンドライトのように、光の加減できらきらと変わる不思議な色彩をしていた。
何せ、目を惹くのはその稀有な美貌である。
彼は、人形じみたかんばせをしていたが、ひどく楽しげに笑っていた。
快楽主義者で、傲慢な性格が反映されたような表情である……。
――そして、王者のような豪奢な赤の外套がふんわりと揺れた。
さて、旅人は今日も今日とて退屈なこの世界に倦んでいた……。
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