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序章

自分よりも少しだけ歳上の女性は、同じ会社の受付で働く人だった。 特別な関係があるわけではないのだが、出社する度に何度も顔は合わせていたし、何よりうちの会社の受付は相当な美人でなければ務まらないとも言われているため有名なのだ。 要は、能力だけでなく顔も良くなければ採用されないとの噂で、現にここの受付はみな綺麗で歩く姿勢すら美しく、動作一つひとつが洗練されたものだった。 だから自然と社内でも噂されることは多いし、社外でも知っている人は知っている。 そのくらいの関係性で、自分からすれば噂の中の人物、人の話の中の登場人物である。 受付が何人いるのかも、その人たち全員の名前も知らない。ただ目が合えば会釈はするし、挨拶もする。それは受付だけでなく、社内ですれ違う人全員に同様のことをしている。 そんな人が、可愛らしい花束を手に、申し訳なさそうにしながらも決して恥じることなく、自分の行動に自信を持った顔で声をかけてきた。 一言二言だけ言葉を交わして、それを受け取る。 重さなんてそんなにないはずなのに、真っ赤な花や桃色の花で彩られた想いの塊に、ずっしりとした重さを感じた。

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