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第1話 飲んだくれ

「バーボンの瓶を抱えて酔い潰れてる、 なんてダサいね。」  一花(いちか)が店に入ってくるなり辛辣な一言をぶつけてくる。リキはスタンドマイクの前にギターを抱えて座っている。  ♫無茶な酒を飲んでるのは カッコつかないギター弾き。♪  ♫小さなその肩を抱いてやれば良かった。 抱きしめて、離さないで。♪ 「女々しい泣き言もブルースだね。」  このバーの近くのキャバ嬢、一花がからかう。 もう遅い時間。夜は優しい。  リキは珍しくレスポールを抱いて爪弾いている。リキのギターは、大勢のファンがいる。  昔からのありがたいファン。 胸を去らない後悔と悔しさ。悔しさも後悔か。  明るい日の当たる人生を歩ませてやりたいと願っている。もちろん蜜の事だ。  リキは蜜と暮らして、猫の力丸もいて、落ち着いた日々だった。  リキの知らない所で何かが起き、何かが終わった。  あの日、恭司が珍しくリキに抱きついて甘えてきたのは、何だか新鮮だったが。  自分の組を持つヤクザで、高校時代からの付き合いのある恭司。  その後何事もなくいつもの友情が戻った。 蜜の生い立ちの一部を知った事で、リキの思いは一層強くなった。 (こいつを守ってやりたい。過去に何があったとしても、心根のきれいな優しい奴だ。  猫を可愛がる。力丸も家族だ。)  孤独を愛して来たはずの自分に、守りたいものが出来た。それは満更でもなく、充実した日々だった。  リキは盟友の恭司の裏家業を知らない。 顔色1つ変えずに人を始末出来る冷酷な男なのを知る由もない。  ヤクザだから暴力的な事もあるだろう、と漠然と思っているだけだった。  世の中には、弱いものを痛め付けるのが好きな奴がいる。そんな奴を徹底的に追い詰めて始末する。この頃は、むしろそんな奴らを組織ごと壊滅させる事に力を使っている。  恭司に惚れて裏家業を手伝う若い衆が何人か存在する。  若い頃傭兵だったヒットマンの神谷丈が恭司のバック、S会の若頭補佐だ。神谷の叔父貴からの仕事が多い。  叔父貴はデカい組織を動かしているが、小回りの利く仕事が必要な時は、枝の恭司の永田組を使う。恭司の母親はクラブ歌手で,神谷丈の愛人だった事もある。  C国は相変わらず動物虐待や殺人動画を作っている。広い国土に次々と湧いてくるゴキブリの様な動画制作所。 「動物を痛ぶる奴は、次は必ず人間をやりたくなる。組織を見つけたら潰す。  日本に入って来たら壊滅させる。 奴らに生まれて来たことを後悔する様な制裁をする。それが当面の仕事だ。」  叔父貴はかなり怖いことを言った。

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