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第2話 海の家

 蜜はこの頃、近くの海岸に散歩に行くことが多い。もうそれほど危険はない、というリキの判断で許されている。  蜜は義務教育を受けていないが、障害があるわけでもない。一般常識は身についている様だ。    ここは太平洋が近い。夏は結構海水浴客が来る。昔ほどではないが、海の家も出来ている。  いつも麦わら帽子をかぶってハーフパンツにビーチサンダルで自転車に乗って海を見に来る美少年。  波打ち際を歩いて海の家でいくつか出している 赤いコカコーラのベンチに座って休んだ。  ポケットから小銭を出して瓶のコーラを買う。 「いらっしゃい。500円だよ。 よく冷えてるから。」  栓抜きで開けて手渡してくれるタトゥーだらけのお兄さん。 (ビーチ値段か、500円は高いな。)  蜜はリキからお小遣いをもらっている。自分で働いてみたい、と思う。 「いつも一人で来るね。」  タトゥーだらけの兄さんが話しかけてきた。 蜜はすぐに警戒心を無くす。あんなに酷い目にあったのに、危険だ。 「日曜日は来ないようにしてる。 人がいっぱいで忙しそうだから。」 「名前なんていうの? あ、俺はシド。山岡士堂って言うんだ。みんなシドって呼ぶ。おまえは?」  蜜、と答えたら 「変な名前。甘そうだ。」  シドは少し伸びた茶色い髪を風になびかせて笑った。日に焼けた顔がくしゃっと可愛くなった。  肩から腕に派手なタトゥーが入っている。 「今日は暇なの? お客さんあんまりいないね。」 「ああ、土日が混むんだ。  あと、夜になると少し人が増える。 酒が出せるから。昼間もビールとかあるけどな。」  蜜は夜にリキと一緒に来てみよう、と思った。 「僕もお酒飲みたいな。」 「夜おいでよ。家の人と一緒に。 子供は一人じゃダメだ。」 「子供じゃないよ。もうすぐ20才だ。 今19才。」  シドは23才だと言った。 「すごいね。腕にお絵描き?」 「ああ、これでもう普通の仕事は出来ねえな。 彫り師になりたいんだ。 蜜にも何か入れてやるよ。」 「えっ?家の人に聞いてみる。」 「あはは、聞いてみな。 いいよって言う親はいねえな。」 「僕、親はいないんだ。」

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