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第3話 永田組のシマ

 蜜はシドに見惚れてしまった。カッコいいお兄さん。タンクトップに腰履きの緩いジーンズ。  筋肉質の肩に綺麗な入れ墨。 「シドってかっこいいね。」  シドも蜜から目が離せない。透き通るような肌に黒い髪が掛かる。黒い瞳に見つめられると焦る。 (きれいな子だ。子供っぽい。)  シドがタバコを出して一本咥える。ジッポーの火が揺らめいて煙を吐き出す。  その指先がゴツゴツしていて男っぽい。 「いつもここにいるの?」 「ああ、毎年、8月は、な。  あとは肉体労働だ。筋トレを兼ねて。」  腕に触った。筋肉が盛り上がる。 「いきなり、触んなよ。」  照れて赤くなったシドの顔は、意外と少年の面影を見せている。 「夏中ここにいたら、恋人とデートとかできないね。」 「いねえよ、恋人なんか。」 「もったいないね。 セックスとかどうしてるの?」  「初めて会った奴に、それ聞くか?」 (こいつ、顔に似合わず大胆だなぁ。)  そこに数人の若い奴が入って来た。ガラの悪い奴らだ。 「お疲れ様です。」  シドが声をかける。 「おうっ、シド、ちゃんとやってっか?」  こっちもタトゥーだらけの男たちが声をかけてきた。 「今、親父が様子見に来るから。」  たいして繁盛してない海の家にも、何か元締めのような人が来るのか、と蜜は感心した。 「お疲れ様です。」 みんな一斉に声を出して挨拶している。 「あっ、恭ちゃん。」 「なんだ蜜一人か? リキは知ってんのか?」 「うん、自転車で来たんだ。 暗くなる前に帰って来いって。」  この海の家は永田組の仕切りだった。 組長の永田恭司が見に来たのだった。 「親父、この蜜って子、知り合いですか?」 「ああ、弟みたいなもんだ。」 「兄弟盃ですか?」 「馬鹿野郎、蜜はカタギだ。」  みんな美少年に驚いている。 「恭ちゃん、後でうちに来る?」 「いや、今夜は予定がある。 リキによろしくな。」  若いもんはみんな蜜に見惚れていた。 「親父、蜜さんみたいな人を美少年って言うんですよ。」 「ああ、そうだな。見惚れてないで夜のバータイムの支度をしろよ。  送迎車の手配も、な。」

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