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月曜日〜はじめまして〜
「お疲れ様でした。」
俺は広瀬貴文 、花のアラサー。この歳でフリーターは社会的地位が危ういけれど色々あって向上心はどこかに行ってしまった。
今日もいつも通り深夜のバイトを終えて、帰宅する。夕飯は店長の温情に甘えさせてもらってきたから帰りに買うのは缶ビールとつまみくらいかな。なんて考えながら深夜の繁華がを歩いていたんだ。
ふと目を向けた路地、暗がりに何かが置いたある。壁に立て掛けるようにしてあるそれは人間にも見えなくなくて。脳内で鳴り響く危険信号を無視して俺は近づいた。
「うわぁー。」
近づいて見たそれ、人間。それも出血のおまけ付き。見ちゃったらほっとけないじゃないか、どうしよう。路地にしゃがみ込んで途方に暮れていると、
「そこの僕、良かったらおじさんの事拾わない?
1週間だけ。」
天から声が…そんなことは無く、目の前の血だらけ男が話しかけてきたのだった。
「いやぁ助かっちゃったよ。それで言うのもなんだけど君あれだろ、猫とか犬とかほっとけないタイプだろ?」
いやごもっともです。結局俺はおじさん(血だらけ)を拾ってきてしまったのだ。古くからの友人にも呆れられるお人好しな自分が恨めしい。
「そういや俺名前言ってなかったな。」
そうだ俺は名前も知らない人間をほいほい家に入れてしまったんだ。あーあお父さんお母さんごめんなさい。俺は今日で一文無しに…
「夜神蒼弥 だ。よろしく。」
名前を何のためらいもなく教えるってことは本当に困ってたのかな。
「俺は広瀬貴文です。ところで、あの、傷の手当はいいんですか?」
さっきからチラチラと目に入る紅く染まったワイシャツが気になって仕方が無い。
「これか。見た目ほど酷くないさ。ちょっと掠っただけだ。」
これは何が?って聞いていいんでしょうか。夜神さん見るからにソッチの人っぽいんだもん。眉毛の横の古傷とかさ。
「貴文だったか、包帯と滅菌ガーゼ、それと消毒液が欲しいんだがあるか?」
「確か救急箱にあった気が…今持ってきますね。」
保険会社かなんかのサービスで貰ってるやつがあったと思う。あれが役立つ時が来るなんてな。本当に人生何があるか分からない。
その日はベッドを夜神さんに譲り、俺はリビングのソファで眠りについた。午前3時のことだった。
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