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日曜日~これから~

そんな気がしていたけれど。朝俺が起きたら蒼弥さんは居なくなっていた。 「蒼弥さん…。」 俺以外誰もいなくなった部屋にポツリと呟きが落ちる。 空っぽの部屋、なくなった衣類。紛うことなき一人暮らし独身男性の部屋。でもそこに、ついさっきまではもう一つ温もりがあったはずなんだ。 「蒼弥さんっ…。」 裸の太ももにポタリポタリとじんわり温かい涙がこぼれ落ちる。 ああ、なんで抱いて欲しいなんて言ってしまったんだろう。後から辛いのは自分って分かっていたはずなのに。 「イタッ!」 ベッドから立ち上がればズキンと痛む体。間違いなく蒼弥さんに抱かれた証。苦痛なはずのそれが何故だかとても愛おしくて。熱を持って痛む体をそっと抱きしめた。 「…でも、不思議と孤独じゃないんだよなぁ。」 親を失った時の独りぼっちな感じはまるで無かった。体の中がじんわり温かかくて、この世界のどこかに俺を一晩だけでも愛してくれた誰かがいる事がとてつもなく嬉しい。 一週間前まで生きることにすら無気力だった俺は、これから先もしかしたらまた蒼弥さんに出会えるかもしれないことを気力にして生きていくのだろう。 まるで依存しているみたいな生き方だけど、俺が幸せだからまぁいいや。 だから、だからね蒼弥さん。また会える日を信じてるから。どうかどうか 「無事で、死なないでいて下さい。」 夜のスキマに END

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