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第16話

僕はとうとう居たたまれなくなりマスターのもとへ来ていた どこかでマスターを求めている自分もいた あの日からずっと… 楓と呼ばれるあの人がするマスターの実験を受けた話を聞いてから 僕の中の思いが強くなっていく 入ってみるとマスターが奥にいた…居てくれた マスターはビーカーをまじまじと見つめてはため息をしているようだった 声をかけていいのか戸惑っていると 「1号君か…そこにいないでこにきたまえ…気になるんだろう」 マスターは僕の言葉を待たずにたんたんと語り始めた そのビーカーのなかにはいってる物の正体を それは…担任の精子だった 詳しくは…僕の教室の担任になるはずの男性のものだった… その話を聞いている間…僕は俊也の言葉が脳裏に繰返し流れた 「担任…性病になったんだって」 不安しかない…もしもその事がきっかけでマスターがどっかへ行っちゃうんじゃないか… 僕はそのせいでマスターの言葉が入ってこなかった 「1号君…聞いているのか?」 マスターが僕のかおを覗く…この顔まで見られなくなるのではないか… そんなことを考えて…そんな考えしか浮かばなかった 嫌だマスターが…ボロボロとこぼれていくものに僕はどうすることも出来なかった 「悪いが1号君…今日は客人が来るんだ…これを飲んで今日は帰りなさい」 しょっぱいくて甘かった…僕は一礼してその部屋を出た 玄関で黒い人とすれ違ったが…気にならなかった

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