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第2話
部屋にやってきた皇帝は、想像以上に若々しく見えた。
整った顔立ちをしていて、背も高い。
妃からはさぞかし人気が高いのだろうと考えながら、俺は丁寧な動作で深く拱手をした。
「頭を上げよ」
その言葉で、俺とオヤジは同時に頭を上げた。
「志豪 、紹介してくれ」
「御意。この隣にいるものが、我が末息子の謝志明 と言います。年は21……頭がよく回り、文官としての才能もありながらも、現在は武官として任務に当たっております」
「志明 、こうして顔を合わせるのは初めてだな。これからは余の“相談役”として頼むぞ」
「承知しました」
俺はまた深く頭を下げた。
帝の相談役。
それが俺の一家が代々引き継いできた役職だ。
帝が変われば、相談役も変わる。
元々帝にはオヤジがついていたけれど、そもそもオヤジは先帝の相談役だった。
代替わりはもっと早くても良かったのだが、なぜかオヤジは昔から俺を今の帝の相談役にさせたがっていた。
(仕事だからやるけど、なんで俺なんだ)
謁見が行われ、帝が退席すると帝の横にいた護衛か補佐らしき人が俺のそばにやってきた。
「明日から主上の執務室で補佐と共に働いていただきますので、案内します」
中年ぐらいの男だが、体格がよく武官らしい見た目をしていた。
ただ話してるだけでも、1対1で戦ったら負けそうだと思うほどに強者の雰囲気がある。
「はい」
俺はオヤジに視線だけを送り、その人のあとをついていく。
「私は帝の護衛兼補佐役の肖然 と申します。他にも肖 家のものはいますが、帝についているのは私だけですので」
肖 家はこの王朝の皇族、特に皇位継承権を持つ人物の護衛兼補佐役を担ってるが、歴史だけで言えば謝志 家ほど長くはない。
だからといって、肖 家に逆らえば謝志 家のクビは容易く飛んでいく。
案内された執務室には、文官が2人、部屋の隅で仕事をしていた。
机の隅には大量の書類らしき巻物や木簡が積み重なっている。
そして、その文官の近くにある長い机には、大量の書類や書物が置かれている。
嫌な予感が頭を過ぎった。
(俺は机仕事が大嫌いなのに!!)
心の中でそう叫ぶ。
その声が口から漏れないように歯を食いしばった。
そんなわけがないと否定しながらも、肖然 は執務室の場所を案内して、室内を軽く見せた程度で終わらせ、俺を帰らせた。
文官としての才能があるとオヤジは言うが、文官として机仕事をするのは性に合わないのだ。
体を動かして前線に立つほうがいい。
それなのに、新しい職場はあの様子だ。
(すぐやめよう。やめて兄貴に変わってもらおう)
一つ大きく頷くと、俺は寮へと向かった。
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