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第28話

「ワガママ坊やのスネスネタイムは終了したか?」 堤谷がニヤニヤしながら帰ってきた。 手には、多分、俺用のクレープも買って来てくれている。 当たり前のようにそれを俺に手渡しながら、堤谷が俺の隣に座る。 多分、七百円くらいだろうから、今度何か奢ろう。 「拗(す)ねてたわけじゃねぇ。こんな低確率のことが起こるなんてって愕然(がくぜん)としてただけだ」 自分で聞いても、子供みたいな言い訳だ。 堤谷も『はいはい』とか適当に流して、食べ終わったゴミをまとめ始めた。 ついさっきソフトクリームを食べた所なので、クレープ一つはちょっと多いなと思っていたら、隣から和樹が齧り付いて来た。もしや和樹は、エスパーか? 「赤坂君と友井君って、ホント仲良いよね」 木谷さんがクスクスと笑いながら、トランプとか荷物を片付けてくれる。 レジャーシートもみんなが畳んでくれて、俺と和樹はそれを見ながらクレープを堪能させて頂いた。マジ感謝。 食べ終わったゴミも一緒にまとめて、全部の片付けが終わったところで、そろそろ帰ろうかという流れになった。 「ホント、一日が長くて短いってこんな感じなんだって実感したわ。すっごい楽しかった」 水流さんが清々しい感じで伸びをするのが、凄く絵になっていた。 『なるほど、こういうのがモデルっていうやつか』と納得した。 「今の、カメラにおさめときたいくらい絵になってた。よっ、水流ちゃん可愛いよ!」 堤谷が太鼓持ち(たいこもち)みたいに声をかけるのに、水流さんも『え?そう?』とか言いながらポーズを変えていく。そう言えば、幼稚園の頃からの知り合いって言っていたな。割と仲良しなんだな。 でも、そんなことを言いながら、堤谷は特にスマホで写真を撮ったりはしなかった。 堤谷って、ホントに結構良い奴だよな。 「そういや、売店の閉店時間四時半だわ。何か買うもんあるならギリだけど、どうする?」 仄々(ほのぼの)していたら、和樹が爆弾投下してきた。 「え~、みんなでお揃いのキーホルダー買いたい!」 水流さんが素早く反応して、『早く行こ』と駐輪場に駆け出した。 まぁ、まだ四時を過ぎた所なので、ある程度余裕はあるだろうと思うが。 何があるか分からないからな。とりあえず皆で走って追いかけることにした。 木谷さんがちょっと遅れているのを見て、和樹がさり気なくスピードを下げた。 俺もゆっくり走ろうと思っていた所ではあるんだが…… 前世で俺(和樹)は、そんな思いやりに満ちた行動が出来ていただろうか。 俺が和樹だった頃(前世)は、稔の事ばっかり考えていて、他の人間の事なんて考えていなかった気がする。 自分で自分を見るのと、外から見るのとでは違うんだろうか。 何はともあれ、水流さんが速く行きたそうなので、和樹に木谷さんとゆっくり来るよう伝えておいて、先に行った三人と先に売店に向かうことにした。 水流さんも、駐輪場から出る所で、ちょうど出入り口に辿り着いた木谷さんに『ごめん、先行って未来の分も買っとく』と叫んでいた。 和樹と木谷さん以外の四人で先に売店に着いて、水流さんが『どうしても皆でお揃いにしたい』というキーホルダーを買う事にした。 三センチ四方くらいの小さくて可愛いネモフィラのキーホルダーだ。 一個百五十円だから、全員分買っても千円もいかない。 「じゃあ、さっき奢って貰ったお礼に、俺が買うよ。柄(がら)だけ選んどいて。一気に買ったら木谷さんがギリギリでもスムーズに買えるし」 俺がそう言うと、水流さんは凄い勢いで遠慮していたけれど、堤谷が普通に選び出すのを見て、小さく『ありがと』と言ってから皆と楽しそうに選び始めた。 ↓キーホルダーのイメージです(みてみんという画像サイトに飛びます)↓ https://52802.mitemin.net/i1257024/

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