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第29話

ただ、時間が残り五分になってしまったので、先に六個選んで買っておいて、その中から木谷さんと和樹に先に選んでもらおうという事になった。 「私、白か水色が良いな~」 「俺は水色か紫が良いな」 「このふちが白くなってるの可愛い」 「俺は一色でシンプルなのが良いな」 水流さん、俺、菖蒲、堤谷と、意見がバラバラだったので、とりあえず各色二つずつで、そのうちフチが白くなっているのが二つ、シンプルなものを二つ選んだ。 あとは、和樹と木谷さんがどれを選ぶかだけど、多分、和樹はどれでも良いと思うし、ぶっちゃけ俺もどれでもいい。 閉店まであと二分というところまで迫っていたので、急いでその六個をレジに持って行った。 買って店を出た時に、木谷さんと和樹が丁度到着した。 「遅くなってごめんね。何買ったの?」 木谷さんが自転車を押しながら来たので、ひとまず駐車スペースに止めてもらって、ゆっくりできる所でどれが良いか選ぼうという事になった。 「俺、これ貰って良いか?」 付近のベンチにキーホルダーを六個置くと、意外や意外、和樹が最初にペニーブラックという白いふちのある濃い紫色のキーホルダーに手を伸ばした。 淡い色より濃い色の方が好きだっただろうか? いや、どちらかと言うと、|和樹《前世の俺》はオーソドックスなやつが好きだと思ったんだが。 「待たせた上に先に選んじゃったりして良いの?」 と遠慮していた木谷さんも、和樹が早々に選んだために強く遠慮するのも申し訳ないという感じでオロオロしていた。 なるほど、木谷さんが気持ち良く選べるように、先に選んじゃうって事かな。 「じゃ、じゃあ、これが良いかも」 手に取ったのは、スノーストームという白くて中に青い点々がいっぱいあるやつ。 正直、俺はこれ、ちょっと苦手だなと思っていた。集合体恐怖症までは行かないけど、何となく、ちょっと気持ち悪い気がしていた。でも水流さんが、『多分未来はこれが好きだと思う』って言うから買ったんだ。『ちょっとキモ可愛いのが好きっぽい』とか言っていた。 「やっぱりね。未来は絶対それだと思ってたんだ」 水流さんも予想が当たって満足そうだ。 という事で、後は四つだけど。 「菖蒲はふちが白いやつだから、これだな。んで、水流さんはこれで良い?俺と堤谷がどっちかだけど、堤谷どっちがいい?」 ふちの白いやつは一つを和樹が選んだので、残る一つが菖蒲の分に決まる。 一つ残った白の花びらの、マクラータという先端に模様が付いているやつは、水流さんので決まりだ。 残るのは、水色と紫のシンプルなやつ。俺と堤谷がどちらでもいい感じ。 「ん~、じゃあ、俺は一番オーソドックスな水色かな~」 「おけ。じゃ、俺が薄紫のやつだな」 堤谷が水色のやつを選んだ。そんなに長いこと堤谷と付き合っている訳じゃないけど、俺も堤谷はそっちが良いだろうなと思っていた。 堤谷は、実際見たやつとかを買いたい派だと思ったんだ。色んな色のネモフィラが咲いていたけど、やっぱりメインは水色一色だからな。 俺はむしろ、ちょっと変わっているのが良い。でも、変わり過ぎてないくらい。 兎に角、みんなそれぞれ良い感じに納得出来てそうでよかった。

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