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第35話

連休中、俺は一歩も外に出ないつもりだったのだが。 母さんが許さなかった。 「さて、今日は、兄さんと共におばあちゃんのお家(うち)に参ります」 母さんの兄さん、つまり俺の伯父さんが車で山梨のおばあちゃんの家に行くらしい。 本当は初日に行く予定だったのを、俺が遊びに行くと言うから一日ずらしてくれたらしい。 そんなこと言われたら、黙ってついて行かざるを得まい。 でも、昨日の金曜日から連休が始まって、今日が土曜日だ。 日曜日も休みではあるけど、月曜は平日だから学校はあるのでは? 土曜日に行って日曜日に帰るとか、弾丸すぎるのでは? ってか、その予定なら、別に混雑するGW(ゴールデンウィーク)にわざわざ行かなくても。 「月曜と金曜は、学校お休みします。もう連絡はしました。レッツゴー!」 強いな。 おばあちゃんのお家に行くから学校休むとか、凄いな。自由だ。 すべての疑問が解決しました。 俺も一応、和樹に連絡しておく。 【今からおばあちゃんち行く】 【月・金はサボらされるらしい】 『やれやれ』スタンプも送っておいた。 和樹なら、すぐに母さんの鶴の一声だって事が分かるだろう。 【楽しんでこい】 『うらやましい』スタンプが返ってきた。 この適当な感じの距離感、良いよな~。 とか思って眺めていたら、グループにもメッセージが届いていた。 水流さんがデータを送ってくれていたようだ。 他にも、アレが楽しかったコレが楽しかったと話している。 帰って来て、もう一回思い出話で楽しめるって、何かそれも素敵だな。 なんて思いながら、俺はそっと画面を閉じた。 平日なら、長くても二時間くらいで着く所に、四時間かかった。 渋滞を避けるために午後に出たのに、どこかで事故があったらしく、渋滞が長引いていた。 下道に降りたところでそちらも渋滞しているだろうと、そのまま渋滞にハマり続けた。 まぁ、車の中でカラオケ三昧だったし、喉が枯れてきたらしりとりしたりクイズしたりお菓子食べたりして、十二分に楽しめたから俺は苦じゃなかったけど。 伯父さんはちょっと疲れていたかもしれない。 到着した時に『あ゛あ゛ぁ~、着いたぁ~』って叫んでいた。 因みに、母さんは助手席で爆睡していた。 めちゃくちゃ大音量で歌いまくっていたんだけど、一度も目を覚まさなかった。 マジで母さんは最強だと思う。 おばあちゃんの家には、母さんの妹家族が同居していて、従兄妹が二人いる。 三歳と、生後三か月の女の子だ。 大型連休の度に会っているから、俺の事も覚えてくれている。 三歳の子は、初月萌(うずめ)ちゃん。芸能の神の名前を頂いたそうだ。 三か月の子は、美月葉(みずは)ちゃん。水の神の名前を頂いたそうだ。 聞いて分かると思うけど、母さんの妹、つまり俺の叔母さんは、物語(ファンタジー)好きだ。 この人を見ていると、確かに俺はちょっと突飛(ファンタジック)な事を考えすぎていたのだろうと思わされる。痛い奴だったかもしれない。 いや、叔母さんの事は『神の名前を子供につけるなんて痛い奴だな』なんて思ってないよ。 『とても素敵な名前で素晴らしいな』って思っているさ。 母さんみたいに、『神様の名前つけるとか、むしろ冒涜(ぼうとく)じゃない?』なんて、思っても言いません。 いや、思って無いけどね。

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