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第36話

俺は丸々一週間をおばあちゃんちで過ごした。 基本的に、初月萌(うずめ)ちゃんと一緒に美月葉(みずは)ちゃんの面倒を見ていただけだが、非常に癒された。 朝は初月萌(うずめ)ちゃんに遊ぼうと起こされて、夜は美月葉(みずは)ちゃんの夜泣きで起こされて、めちゃくちゃ寝不足にはなったが、癒されたのは癒された。 というか、何で初月萌(うずめ)ちゃんはあの夜泣きで起きないんだろう。耳栓でもして寝ているんだろうか。 因みに母さんは、おばあちゃんちに着いて早々、おばあちゃんと叔母さんを連れて温泉に行ってしまった。どうやらそういう話になっていたらしく、四泊五日で泊まるらしい。 つまり、おばあちゃんちに残ったのは、おじいちゃんと伯父さん、父さんと俺、初月萌(うずめ)ちゃんと美月葉(みずは)ちゃんと二人の父親、という事だ。 男五人で幼女二人の面倒を見るなんて無謀だろう。 と思っていたのだが、思いの外、父さんがちゃんとしていた。 幼女二人の父親である義理の叔父さんも、ちゃんと毎日手伝っているようで手慣れていたし、なんならおじいちゃんも手慣れていた。 全く慣れていないのは俺と伯父さんだけだった。 そして、三日目に、伯父さんは脱落した。 『ホント、マジでごめんなさい』と言いながら、母さんたちとは別の温泉宿に逃げだした。 誰も責めてないよ。お疲れ様でした。 俺も温かい目で見送ってあげた。 ただ、流石に四泊は長すぎたのか、初月萌(うずめ)ちゃんも夜泣きするようになって、五日目に母さんたちが帰ってきてすぐに叔父さんもおじいちゃんも昼寝しに行った。 俺も眠たくなっていたけど、初月萌(うずめ)ちゃんと遊べるのも今だけだしな~と思って我慢した。何故か、父さんは眠くもならないようで余裕だった。不思議。 そんなこんなで、ワチャワチャして楽しんでいたので、俺は連休明けに学校に行くまで、悩んでいたことなんて綺麗サッパリ忘れていた。 そういや、何か悩んでいたなと思い出したのは、登校直後に堤谷に捕まった時だ。 「和樹と水流ちゃんが付き合ってるとか噂流れてんだけど!お前、何か知らないか?!」 ……はい? 和樹とはちょいちょい連絡は取っていた。初月萌(うずめ)ちゃんと美月葉(みずは)ちゃんの可愛い写真とか送ったりしたし、伯父さんが幼女に苦戦する図とか、動画を送ったりもした。 和樹からは普通に楽しんでくれてそうなコメントとかも返って来ていたんだけど。 出掛けたとかいう話も聞いてないし、水流さんのつ(・)の字も出て来なかった。 「こないだ一緒に出掛けて、話するようになったからじゃないのか?」 和樹も話はするって言っていたし。 水流さんも、一回知り合ったらグイグイ話しかけそうだし。 「違うって。連休中に一緒に出掛けてるの見た奴がいるらしいんだよ」 一緒に出掛ける? 和樹が? ただの知り合いと? そんな訳ないだろ。 「それこそ、たまたま外で出くわしたとかで、話してたんじゃねぇの?」 それ以外に考えられないだろ。 和樹は恐らく、俺以外の人間とわざわざ休日に会ったりしないだろうし。 「いや、でも、駅前のバーガーショップで二人で話しながら食ってる所を見たって奴が何人もいたんだよ」 バーガーショップ?! 和樹が?! 「……それは、おかしいな」 和樹は、バーガーショップなんて俺(・)とでも行かないんだけど。

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