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第37話

「だろだろ?!絶対、おかしいんだよ」 基本的に和樹は外食しない。何故なら、抜群に料理が上手いお手伝いボーイが家に常駐しているからだ。 百歩譲って外食するとしても、どこかに出かけたついで(・・・)とかだろうけど。 こないだみたいに遠出するとかじゃない限り、帰って食うはずだ。 それを、駅前で?しかも、お手伝いボーイが一番得意としているバーガーを? もはや、和樹の中身が誰かとか言う問題よりも、今までの和樹ですら考えられない行動だ。 「聞いたのか?和樹に」 俺が休んでいる間に噂になっているのであれば、既に誰かが和樹に確認していてもおかしくない。 と思ったのだが、『聞ける訳ねぇだろ』と言われた。 確かに。堤谷に聞かれても真剣に答えてくれなさそう。 だから、俺に聞いたんだよな。そらそうだ。 「水流さんには?」 和樹は無理でも、こいつは水流さんの幼馴染的存在なんだから、普通に聞けそう。 と思ったのだが、『聞ける訳ねぇだろ』と言われた。 デジャヴか。 「稔、久しぶり」 そんな事を言い合っていたら、御本人登場だ。 いつも通りの感じで、自分の席に鞄を置く。 特に、変わりはない。俺の知っている和樹だ。 「お、おぅ。一週間ぶり位だな」 堤谷に、聞け聞けと肘で意思表示されるけど、とりあえず挨拶させろ。 和樹が普通に椅子に座って、カバンの中からノートとか筆記具とかを出すのを見ながら、俺も背負ったままだった鞄を下ろす。 「か、和樹は連休どうしてた?」 ちょっとどもってしまったけど、なかなかさり気なく聞けたのでは? いや、さり気なくとか無理だよね。存じ上げております。 「あぁ、水流の事か。稔が気にするような事じゃないよ。別に付き合ってるとか、デートとかじゃなくて、用事があって話してただけ」 ……めっちゃ説明するじゃん!! これが世に言う、『浮気男は口数が多くなる』ってやつなのでは?! いやいや、落ち着け。 別に和樹と俺は付き合ってないし。 別に和樹に好きとか言われてないし。 俺が和樹に好かれているかも不明だし。 大丈夫だ。聞いた直後も自然な感じだったし。 動揺している様子もない。むしろ、俺の方が動揺している。 「へ、へぇ、何の用事?」 動揺しながら聞いたから、さらに突っ込んでしまった。 束縛彼女みたいになってない?大丈夫? 「あ~、中身はちょっと言えないんだけど」 か、か、か、隠した?! いや、もうこれは完全にクロでは?! あ、いや、違う違う。 別に、俺は彼氏じゃないし。 ただの友達だし。俺に関係ない事なら、言えないこともあるよな。 それがごく普通。自然な事だ。そうだ。間違ってない。和樹は間違ってないぞ。 「お前、水流ちゃんは繊細なんだから、傷つけたりするなよ!」 何か突然、堤谷が悔しそうに叫び始めた。 お前、教室でそんな叫ぶなよ、恥ずかしい。 「繊細?あれが?」 煽るみたいに、和樹が鼻で笑った。 え。 え、え? 『あれ(・・)』って。 何その、『あれ(・・)』って。 いや、もう、そんな。だって。 それはもう、熟年夫婦の言い方やないか~い!!

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