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第39話

他にも目撃証言が出てきたようで、和樹と水流さんの噂は膨れ上がるばかりだった。 俺と和樹の間にも、微妙に気まずいまま時間だけが流れた。 季節が変わっても、何も変わらないまま。 堤谷も俺も、和樹に何も聞けないまま放置している。 ただ、気になる事は日に日に増えていく。 和樹の様子も日を追う毎におかしくなっていた。 最初の異変は、休日に和樹が出掛けるようになったこと。 次第に、部活が無い放課後にも和樹は出掛けるようになった。 今までなら、部活が無い日はお互いの部屋で一緒に勉強したり遊んだりしていた。 それが、夏が近づく頃になると全くなくなった。 帰りは必ず一緒に帰るのに、俺を家に送り届けて和樹は帰って行く。 何度か、遊ぼうって誘ったけど、断られた。 和樹が誘ってくることは、無くなった。 週末は、誘っても遊んでくれなくなった。 『明日、暇?』って聞いても、『あぁ~、いや、悪い』って言われるだけ。 だからもう、俺も聞かなくなった。 親友が遊んでくれないって言うのは非常に悲しいが、高校生が遊ぶ事ばっかり考えている方がおかしいんだ。 でも、一番おかしいのは、昼ご飯を食べる時の和樹の態度だ。 今までと同じように、メインのおかずを強奪するんだが、その反応がおかしい。 これまでなら、普通に俺の弁当から強奪し返したりもしていたのに、絶対に自分から手を出さなくなった。 それじゃあ、俺が一方的に奪っているだけの嫌な奴じゃねぇかと思って、取って良いぞと言うのに、いきなり遠慮し始めるようになったのだ。 何でそんなことになったんだ?と不思議に思いながらも、俺だけ貰うのは違うので、和樹の弁当に無理矢理メインのおかずを突っ込んだりするんだが、そのタイミングで和樹が不思議と固まる。嫌いなおかずでは無いと思うんだが。 あと、俺の口に食べかすがついていても、直接取らなくなった。 普通に付いていることを指摘されるようになった。 いや、まぁ、それが普通の距離感だとは思うんだけど。でも、なぁ。 まぁ、そんな感じで、和樹の様子がおかしいながらも普通に一緒に日常を楽しんではいた。 それがガラッと変わったのは、夏休み中だ。 切欠(きっかけ)は、木谷さんが言っていた勉強会の計画が、実際に動き始めたことだ。 菖蒲が国語、俺と和樹が数学、堤谷が理科、水流さんが英語、木谷さんが社会。 それぞれ得意な事がバラバラだったので、丁度、教えあえる感じで良いじゃないかと盛り上がったらしい。 正直、和樹と俺はどれも満遍なく出来るが、それは置いといて。 兎に角、六人で集まって勉強会をすることになった。 問題は場所だ。 二人とか三人なら、そこら辺で集まってもそこまで邪魔にはならないだろうけど、流石に高校生六人が集まって、そこら辺の店で勉強会していたら良くないだろう。 結果、誰かの家でと言う話にはなったんだけど。 誰の家でやるか。 和樹の家が一番デカいのは分かっている。 ただ、堅気(かたぎ)じゃない人が出入りする場所で果たして良いのだろうか。 和樹もそう考えているようで、自分の家を勧めたりしない。 水流さんと堤谷の家も割と大きいらしいけど、兄弟が家に人を連れて来る事をあまり好まないらしい。嫌だと思う人が居る所に邪魔するのは良くない。 木谷さんと菖蒲は自営業のお家なので、お店の邪魔をすることになってしまう。 消去法で、俺の家だな。 父さんが家に居るのはちょい気まずいけど、母さんなら晩御飯も食べて行きなさいよとか言い出すくらい歓迎してくれるだろう。 と言おうと思ったら、和樹に肩を引かれた。 「俺の家で良いか?……たまに、人が出入りするかもしれないが」

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