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第43話

一応、前日だったのでグループのメッセージにはちゃんと目を通した。 どうやら、堤谷が俺に電話をかけようとしたのは手土産の相談だったらしい。 割と堤谷って育ちが良いよな。友人の家に遊びに行くのに手土産とか、考えた事ないわ。 結局、堤谷は和樹に直接聞いたようで、上限千五百円までなら持って来ても良いと許可を得たらしい。手土産ってそういうシステムだっけ? 『一人五百円ずつな』ってメッセージが送られてきていた。 このメッセージって和樹も見ているやつだよな。 ……手土産って、そういうシステムだっけ? 兎に角、ちゃんと五百円玉だけ用意しておいた。 あと、メンツがメンツなので、キーホルダーも見える所に付け替えた。 後は、自分なりに纏めた公式集と、色ペンと、白地図と、厳選熟語集と、問題集チェックシートと、厳選文学一覧と、筆記具と。 まぁ、こんなもんか。 いくつかの教科書とノートと一緒に荷物をまとめた。 とりあえず、勉強会は一日しか予定していないので、勉強法を教え合うというのが良いだろうという話になったのだ。だから、自分なりに工夫している勉強法を説明できるものだけ持っていけばいい。教科書も最低限。忘れ物も無さそうだ。 完璧な準備に満足して、上機嫌で夕飯を食べていたら『ついでに仲直りして来なさいよ』とか言われた。気分がだだ下がりしましたけど。どういう意図ですか、母さんや。 当日、昨日の母さんの台詞のせいで、ちょっと緊張しながら和樹のマンションに辿り着いた。 時刻は、約束の時間の五分前。午前九時。 マンションのエントランスには和樹の姿のみ。 え、最初からラスボスと二人きりですか? 和樹も硬い表情で俺を迎え入れてくれた。それは、そうなるよな。分かる。 「あ~、おはよ」 「おはよう。来てくれて、良かった」 来ないと思っていたって事だよな。確かにそう考えるよな。分かる。 和樹の家に集合なのに、俺も和樹が来なかったら俺のせいだよなとか思っていた。 「うん。昨日は、ごめん。まだ、ちょっと、アレで」 アレって何だよ、アレって。 女の子の日みたいな言い方してしまった。 和樹も戸惑っているじゃないか。 と言うか、何か、泣きそうな顔して見てくるんだけど。そう言えば、昨日母さんも言っていたな。泣きそうな顔していたって。 あ~、ごめんね。ほんと、マジでごめんね。 「稔、俺、ホントに瑞樹(みずき)とはそういう関係じゃなくて」 和樹が意を決したように弁明を開始しようとした瞬間、エントランスにチャイムが響いた。 堤谷たちが来たみたいだ。 「あ、みんな来てる」 ドアの向こうに四人が来ているのが見えた。 和樹は、続きを諦めて四人を招き入れるべく入り口に向かった。 俺はと言うと、生(なま)で聞いた呼び捨てに、手も足も震えていた。 ……やっぱり、生(・)の迫力は違うな。 一瞬にして真っ黒に塗り潰された気がした。

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