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ストライク2: 恋人からの電話は、ヒミツの命令でした
『ねぇ、雅。けっこう大きな声出してたけど、大丈夫? 誰もトイレにいないの?』
幹也にそう言われて、ハッとしたが、大丈夫だと信じたかった。
もしかすると聞き耳を立てて、ドアの向こうにいると思うと、ちょっとだけ快感を覚えたのは秘密だ。
『じゃあ来週の休みは、また雅の部屋行くから。今度はエッチしようね』
「え、あ、……う、ん」
男女ともにセックスの経験値の浅い雅は歯切れの悪い返事をしたが、幹也は「楽しみ」と言って通話は切れた。
「──あぁ……今日の幹也の命令と自分の声、録音したかったなぁ」
秘密のオナネタは、まだ幹也には明かせない。
もし知ったら、幹也はどういう態度をするだろうか。
ドン引きして「別れる」って言われたら……どうしよう。
「……幹也ってオレのこと好きって言うけど、オレはどうなんだろう」
キスされてもオナニーし合っても、ぜんぜん気持ち悪くない。
もし幹也がほかの人と同じようなことをしていたら──。
「それは……嫌かもしれない」
雅はさっき切れたばっかりの幹也の番号をタップする。
何を伝えればいいのか分からないけれど、何かを幹也に伝えたい。
『どうしたの、雅。また電話かけてきて。もしかして、まだオナニーし足りない?』
「ち、ちがう……そうじゃない」
『じゃあ、なんだろう。もしかして、俺のこと好きって言いたいの?』
「えっ、あ、えーっと……」
『もう、そこは嘘でも好きって言って欲しいな。ハハッ』
その乾いた笑いは、ものすごく悲しい声に聞こえた。
ちゃんと伝えられない自分が悪い。好きって簡単に言えれば、きっと幹也も嬉しがってくれるというのに。
「ら、来週、オレも楽しみにしてる」
それがいまの雅には精一杯の愛情表現だった。
──恋、か。
それは雅が、27年間生きてきて、初めて自分以外に興味を抱いた瞬間だった。
誰かと一緒にする、オナニーが格別に気持ちいいのに、セックスになったらどうなるんだろう。
それは幹也とだから特別なのか、雅にはまだ分からなかった。
【恋人からの電話は、ヒミツの命令でした おわり】~シリーズは続きます
***おしらせ***
◆「エース未満の恋愛事情」恋心編について
この「欲情編」では、恋人になった雅と幹也の少しクセのある日常を描いています。
二人は、いつ、どうして恋人になったのか。
雅が幹也を好きになるまでの物語は、FANBOXで「恋心編」として連載中です。
第1話は無料公開しています。
【FANBOX:エース未満の恋愛事情(恋心編)】
https://hamano-sh.fanbox.cc/posts/12382652
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