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第9話

「口痛い?」 「ん……? ああ、なんかなってるか?」 「血でてる」  道慈隣に寝転がったので、固まりかけた血を指先でなぞる。べろりと分厚い舌に指を舐められた。 「っ……」  大きな舌が指を舐め回すのに息を呑む。でかい犬に舐められているみたいだ。どくどくと下腹部に熱が集まる。  結局触ってもらった割に前では逝かせてもらえなかったことを思い出した。幸せすぎて忘れていた。 「どうじ、口ん中、どこ好き……?」   指先で歯列をなぞり、口の中に指を侵入させ、上顎を撫でる。道慈は口の中も大きい。簡単に指が入る。 「ここは……? おれはここ好き。道慈にベロでくすぐられんのも指で撫でられんのも好き」  道慈がなんとも言えない顔をしている。返事を聞くために一回指を抜いてやると、唾液が唇を伝った。 「……よくわかんねぇ」  言いながら道慈が抱き寄せてくる。背後でパキッという音がした。濡れた指が後孔に塗りつけられる感覚に背筋がぞくぞくする。 「こっちでお前の好きなところ触ってみて」  口の中に指が入ってきて、舌の腹を道慈の親指に軽く押される。  道慈がねだってきたのが嬉しくて、抱きついて唇を合わせる。いつも唇を合わせた瞬間動き回る舌が、静止したまま待っている。道慈の口の中に舌を伸ばして、上顎をくすぐる。 「ん、ふ……」  必死に舐めていると、穴の中に濡れた指が入ってきた。中を濡らされる感覚に震えながら、一生懸命自分の好きなところを舐める。道慈の口の中はやっぱり美味しい。 「あっ、ん、」 「あとは? どこが好き?」  唇が離れると、道慈が額をつけて聞いてくる。 「あ、あとは、べろの裏も好き、」 「舐めてみて」  今度は道慈から唇をあわせられる。薄い唇の中に舌を入れて、分厚い舌を舐めると、そっとあげてくれた。舌の裏を舐めて、舌の裏に溜まった唾液を掬い取って味わう。  それから舌の側面を舐めると、道慈の眉がぴくりと反応した。道慈がこっちの方が好きなのは知っていた。キスする時は基本道慈のベロに主導権を取られることが多いので、ここくらいしか道慈の好きなところを知らない。  他にもあるかなと思い、歯の内側を舐めたり、犬歯を舐めてみたりする。  唇が離れると、同時に片足を持ち上げられた。 「ん、道慈の好きなとこも教えて」 「俺は……全部好きだよ」  穴に当てがわれた熱がゆっくりと入ってくる。  ずるい返事だ。俺はいっぱい教えたのに。不満を訴える暇もなく、引っかかっていたカリ首が入ってくる衝撃にびくりと身体が跳ねる。 「あ゙ぁ……!」  腰を抱かれて、あまりの衝撃に逃げそうになる腰を固定される。そのままめり込んでくる感覚を甘受しながら、道慈の首に縋り付く。 「あああっ」  道慈が苦しげに眉を寄せながら、唇を合わせてくる。分厚い舌が入ってきて、絡める暇もなく、上顎を舐められる。 「んっ、ンンッ」  道慈の首に力一杯抱きつくと、もっとたくさん舐めて吸ってくれる。口の中も腹の中も全部気持ちいい。脳から快感が溢れて死にそうだった。  なんか愛されてるみたいだ。 「ど、じ、ふぁ、はぁっ……」  いつの間にか上になっていた道慈の舌が口内を舐め回している。我が物顔で粘膜全部を舐められるのも、舌を吸われるのも好きだ。混ざり合った唾液を飲み込むと、頭を撫でられた。これに弱い。  道慈のキスも、頭を撫でてくるのも、ちんこを突っ込まれるのも、全部気持ちよくて気づいたら喜んで粗相する犬のように前から白濁を垂れ流してしまう。あるいは出てこない時すらある。そういう時は頭が真っ白になって、気持ち良すぎて逃げ出したいような、もっと欲しいような、とにかくたまらなくなる。  変なタイミングで逝っても、引くこともなく道慈はずっと気持ちいいのをくれる。 「んっ、はっ、はぁっ、」  先端が奥に当たった。この奥まで入れて欲しくて、脚を道慈の腰に絡み付ける。 「ど、じ、奥、ぐぽぐぽするの、して……」  たまに、奥の奥まで、それこそ尻と恥骨がぶつかるまで入れてくれることがある。それが欲しくてねだっても、聞いてくれる時とくれない時がある。  道慈の顎から汗が垂れてくる。 「ちょっとだけ、な」  額が合わさり、遅れて唇が合わさる。聞いてくれない時の返事だ。  奥を抜かれると、尿意のコントロールができなくなるので漏らしてしまうことがある。だから風呂場まで行くのが面倒なのか、こちらの身体を気遣ってるのかわからないが、3回に1回くらいしか道慈は要望を聞いてくれない。 「ちょっと、じゃなくて、ちょっとじゃなくて……っ」  道慈も奥まで入れるのは悪くなさそうにしてるから、本当は騎乗位でやってあげたいが、漏れるかもしれないと思うと勇気が出ない。  風呂場であれば最悪できなくはないが、漏らす前提の騎乗位なんて流石にダサすぎて自分から提案できない。  だからこうやって情けなく縋り付くしかない。もはや女に勝てるところは膣に比べて物理的に長さが入るということしかないのに。アナル上手な女が現れたら完敗だ。  道慈の腰に絡みつけた足を引き寄せ、奥に当たるように調整する。 「う、んあっ」  するとそのまま道慈が進んでくれる。奥が開く感覚に目の前がちかちかして、太ももが痙攣しだす。  プシュッと前から透明な液体が飛んで腹の間が濡れた。 「あ゙ぁっ、ああっ、うあっ」  ダメ、と口走りそうになるのを我慢して、全身で道慈に抱きついて受け入れようとする。抜けるかと思った圧迫感がなくなり、奥が閉ざされる。そうしてまたぐいと押し付けられると、奥が開きだす。 「ぅああっ」  終わらない刺激に潮が止まらなくなる。ちゃんと挿れてと言いたいのに舌が回らない。内臓を押し上げて開かれる圧迫感が苦しくて気持ち良い。  盛り上がった蓮の花の上を太い親指になでられると、喉元まで恐れにも似た悦びが上がってくる。 「あっ、はっ、んああっ」  悲鳴に近い声が道慈の唇に飲み込まれる。腹の中をいっぱいにされるのと同時に、分厚い舌で口の中をいっぱいにされるのが、気持ち良くて、嬉しい。道慈も気持ち良くしてあげたいのにそれどころじゃなくなる。 「んっ、ンンン、」  甘い舌を与えられ、道慈の体温と匂いに包まれて、脳みそまで道慈でいっぱいになる。奥を突かれるたびに快感が迸り、耐えるために汗で濡れた身体にぎゅうと抱きつく。快感の淵から降りてこられないまま脳がバカになっていく。 「ん、はぁっ、すきっ、すき……! どぉじ……すき……!」  道慈の全部が愛おしくて、本当は全部ほしい。今だけじゃなくてずっと一生愛して欲しい。ずっと俺だけを見ていて欲しい。  道慈が耳元で何か囁いた瞬間、奥で熱が放たれた。  道慈に渡された水を飲み干してから、タバコを探して部屋の中に視線を走らせていると、リビングから戻ってきた道慈が床に落ちたタバコとジッポを拾った。  立ち上がって受け取ろうとしたら、ひょいと避けられて先に服を着ろと下着と短パンを渡された。のろのろと渡されたカピカピのパンツを履きながら、ベッドを片付け始めた道慈の背中に抱きつく。 「なぁ、気持ちよかった?」 「気持ち良かったよ」  道慈がシーツを回収して片手間に答えながら洗面所に向かって歩き出すのに、背中にまとわりついたままついていく。洗濯機の前で、タバコ吸わねえならパンツも洗うから脱げと言われた。 「エッチ」 「殴るぞ」  パンツを脱いで渡してから、裸のまま道慈に抱きついて下半身を擦り付ける。 「奥、して欲しかった……」 「……足りなかったか?」  道慈が洗濯機を閉めてから、困ったように見下ろしてくる。正直に言うと体力的にも性欲的にももう満足しているが、道慈を満足させられたのかがわからないので探っていた。  それにこうやって念押ししていれば明日あたりに道慈はちゃんとリクエストを聞いてくれる。律儀な奴だから。 「うん。道慈は奥まで突っ込んだ方が気持ちいいんじゃねぇの?」 「まあ奥も気持ちいいけど……しなくても気持ちいいよ」 「俺は、道慈と奥いっぱいして、気持ち良くなりたい」 「それはまた今度な。足りないんなら触ってやる」  そのまま背中を押されて浴室に誘導され、精子も潮も出なくなるまで身体を撫で回された。もういいと言ってもあとで足りないって言うだろと聞いてもらえず、ゆるゆると性感帯をこねくり回された。もうでない、もうやだと泣きが入って初めて道慈が真っ赤になった陰茎と乳首をいじるのをやめてくれた。ボディソープで滑る身体が洗い流される頃には腰が半分立たなくなっていた。  ドライヤーをかけられ、歯磨きすら手伝われて、ふらつく身体でやっとベッドに帰ってくる。タバコを掴んでもベランダに出て行く気力がない。  うつ伏せのまま寝転がった尻の上に冷たい感覚が当たりひっと声が漏れる。 「なに……!」  もうやだ。今日はもう無理だ。これ以上イカされたら頭がおかしくなる。咄嗟に逃げようとした腕を取られて、抱き込まれる。 「もうやんねぇよ。ケツ赤くなってたから冷やした方がいい。まだ痛いか?」  道慈の手がタバコとジッポをさらってサイドテーブルに置き直す。  まだ吸ってないのに。口寂しさに名残惜しくサイドテーブルを見つめてから、諦めて道慈の腰に足を絡める。 「痛くない……もっといっぱい叩いてほしかった」 「……お前、すげぇな……」  大きな手がずり落ちそうになった氷枕を支えながら、一周通り越して感心したような声をあげてる。 「叩かれんの気持ちいいのか?」 「うん。道慈にお仕置きされんの興奮する……」 「……そうか」 「次は奥までぶち抜きながら、ケツ叩いてほしい」 「危ねぇからだめ」 「危なくねえもん……。俺が漏らすからやなの? 奥やるの」 「いや、漏らす云々の前に毎日俺のを奥まで入れてたら閉じなくなるぞ」 「わかんねぇじゃん」 「もともとそのためにあるわけじゃねえんだからほどほどにした方がいい。あんま煽んなよ」  俺も我慢してんだよ。肩口に道慈の額が押し付けられ、心臓が早鐘を打ち出す。 「道慈も我慢してんの?」 「ああ。でもお前が無理することじゃないから、調子悪くなったりしたら言えよ」  雪丸はぴんときた。今は甘えたら甘えるだけ甘やかしてもらえるときだ。 「調子悪くなったら道慈のおっぱい吸わせてくれる?」 「……意味がわからねぇ」 「道慈のおっぱい吸ったら元気出る」 「……好きにしろよ」  嬉々として道慈のスウェットを捲り上げると、上から声が降ってきた。 「ちなみに今はどこが調子悪いんだ?」  道慈の浅黒い肌に浮いた濃い色の突起に目が釘付けになる。 「……あーっと、ケツ。ケツが痛い。叩かれたところ」 「じゃあもう叩くのは無しだな」 「痛くない。やっぱ全然痛くないわ」 「じゃあ吸うのも必要ねぇな」  道慈の手がせっかく捲り上げたスウェットを下ろそうとするのを必死に抑える。 「タバコ、タバコ吸ってないから口寂しい」 「代替になんのか? それ」 「なる。毎秒吸わせてくれんなら禁煙する」  道慈の手の力が緩んだ隙に筋肉でふっくらとした胸を優しく掴み、乳首を唇で食む。ボディソープと道慈のにおいが混ざったわずかにしょっぱい味に、脳から幸福感が溢れてくる。 「……毎秒は厳しいな」  道慈が考えるように呟いた。  結局このあと満足するまで乳を吸って、キスして、体力が回復してきたのでベランダに出てタバコを吸った。  道慈が作ってくれたアルミホイルの灰皿に灰を落としてから、肺いっぱいに煙を吸い込む。道慈のおっぱいを吸った後のタバコほどうまいものはない。  ベッドに戻って道慈に抱きつきなおすと、納得いかないと言う顔をされた。    

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