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第8話

 雪丸は自身の吐息と心臓の音が耳の中で鳴り響くのを感じていた。もうベッドに移動してからどれだけ時間が経ったかわからない。  時折喉が渇く前に水を飲まされる。  何度も擦られて達しそうになっては放置された陰茎は赤黒く染まって濡れていた。あぐらをかいた道慈の膝を跨ぐように足と肘をついて、尻から陰部もすべて晒した体勢。ちょうどこんな関係になる前にディルドが抜けなくなって道慈に取ってもらった時と同じ体勢だった。違うのは手を組んでいて自由が効かないところだ。  あの時は道慈の体温を感じながら面倒を見られるのが嬉しくて、気持ちよくて、興奮した。  汗と涙で濡れた顔を道慈の膝に擦り付ける。今は興奮を通り越して、いきたくて頭と下半身が爆発しそうだった。 「どうじ、もうだめ、だめ、いきた……っ」 「ああ、いく前に言うことあるよな?」  優しい声音が聞いてくる。太いゴツゴツとした指がいいところの周りを撫でていた。さっきからずっとそうだ。肝心なところは触ってくれなくて、腰を揺らすと指を抜かれてしまうので勝手に揺れそうになる腰を必死に抑えていた。  そのせいで腹の筋肉が変に痙攣していた。 「やだ、許して、どうじ……」  道慈の指が抜けて、ローションのボトルが開く音がする。尻たぶを引っ張られて入り口が傷ついてないか観察されているのが分かった。中が丁寧に濡らしなおされる。 「ほら、ちゃんと腰上げろ。勝手に前刺激すんな」  道慈の太ももに当てようとしたら、股に手を差し込まれて持ち上げられる。その刺激だけで身体がびくつく。 「だって、だって、いきた……!」 「なんて言うんだ?」  おもちゃが抜けなくなった時、道慈に軽く尻を張られて脳イキした快感を覚えている。本人は何気なくやったのだろうが、何度もあのシーンで抜いていた。 「……っ、ケツ、叩いて……っ」 「……そっちかよ」  呆れたような声が落ちてきた。逝かせてもらえないのはしんどいけど、まだちゃんとお仕置きされていない。 「痛くするから、我慢せずに謝れよ」  尻たぶを撫でられられて、心臓がばくばくと音を立てる。3本の指が入ってきて、ゆるゆると前立腺を挟まれる。 「はっ、はぁっ、どうじ——アァッ!」  パンと乾いた音が鳴る。遅れて痛みと熱が尻に走った。それよりも強烈なのは、勝手に中が締まったことによる快感だった。良いところが締め付けられ、長らく焦らされていた身体が反る。びゅる、と勢いよく道慈の足に白濁が飛んだ。 「はぁっ、ハァッ、んっ」  分厚い手が熱をもったところを撫でてくる。 「雪丸、言えるな?」 「ごめ、なさい……ッい、った……かってに、」 「……それもだな」  道慈の指が穴を広げている。空気が入ってくる感覚に腰がブルリと震えた。 「あとは?」  優しい声音が聞いてくる。尻たぶを撫でられるのが気持ちよくて黙っていると、手が離れた。  咄嗟に目をギュッと瞑り身を硬くする。尻を張られた。 「ぃアアッ!」  びくんと身体が跳ね、驚いて中が締まる。良いところに指が食い込み、前から白濁が飛んだ。痛いのに気持ちいい。  尻が熱くてじんじんと痛むのに、中からの快感に身体が喜ぶ。熱を持った尻を撫でられるのが気持ちよくて、布団の上に唾液が溢れた。 「どうじ、入れて、なか、はめて、」  道慈の凶悪なものを入れたまま尻を張られたらどうなってしまうのだろう。快楽に弱い身体が想像してぶるりと震えた。 「おしおきして、」   組んだ手に頭を押し付けながら視線をよこすと、道慈の喉仏が上下するのが見えた。  先ほどから横腹にずっと存在感のある物が当たっていた。道慈が人の尻を叩きながら興奮できる変態でよかった。 「道慈のぶっといのでしつけて」  自分で言いながら想像して息が荒くなる。好き勝手突っ込まれながら叩かれたい。道慈の物みたいに扱われたい。誰も見たことない道慈に抱かれてみたい。 「……手、解いていいから四つん這いになれ」  命令されて期待に心臓が高鳴り出す。ずっと組んでいた手を離すと、わずかに痺れていた。  シーツの上に手をついて、道慈に尻を向ける形で四つ足をつく。待ちきれずに振り向くと、道慈が立派なものにゴムを付けているのが目に入った。  筋肉に覆われた太ももからそそり立つモノが格好いい。色眼鏡じゃ無い。どんな女が見ても濡れるしどんな男が見ても格好いいって思うに違いない。  雪丸がぼんやりとそんなことを思っていると、後孔に硬い熱が当てがわれた。 「ぁっ……」 「雪丸、今謝れたら優しくする」  はぁ、と道慈が熱っぽい息を吐きながら腰を掴んできた。大きな手が腰骨から横腹を覆う感覚に目を細める。 「やだ……、おしおきがいい……」  この先の快感を想像して、期待に涙が滲んでくる。道慈は困ったような、しかし欲情を隠しきれないような複雑な顔をしていた。 「キツかったらちゃんと言えよ」  ずぷ、と音を立てて熱い剛直が中に入ってくる。とろけた中を押し広げる感覚に雪丸の全身が震え出す。  大きな手に腰を掴まれ、角度を調整しながら入ってくる感覚に喉が鳴った。たまらず首を垂れると、ひっきりなしに白濁を漏らす自身が目に入った。 「あ、うぁ゙……っ」  奥まで熱が押し込まれる。震える腕の横に一回り大きな手がついた。うなじに湿った吐息がかかる。全身を体温に覆われる感覚に腰がわななく。密着した身体から体温が伝わってきて、内臓の中に入ってくる熱を感じる。ぽたりと鼻先から汗が落ちた。  体重をかけないようにしながらも、道慈の唇が後頭部や襟足に触れては離れる。その度に吐く息が乱れた。 「はっ、ぁ、んんっ、」  限界まで開かれた後孔が馴染むまで、道慈はいつも待ってくれる。その間に施される愛撫が嬉しくて、心臓を羽の先で撫でられるようなくすぐったさと下半身にわだかまる熱や快感に頭の中をかき混ぜられるようだった。 「どうじ、はぁっ、すき……!」  キスをねだろうと振り向いたら、大きな手に頭を固定されて唇を奪われる。苦しい体勢でも、息がしんどくても、分厚い舌に口内を犯される多幸感が勝る。全部を侵略されるのが嬉しくて幸せで、もっと道慈のものにして欲しい。  ゆっくりと引き抜かれたものが良いところを抉って入ってくる。 「ん゙ンン!」  行きすぎた快感に目から生理的な涙が溢れる。シーツを握りしめて酷い快感に耐えながら、脳が思考を手放すのを感じた。 「んゔっ、ふぁっ、はあっ、ぐぅっ」  唇が離れて、息を整えようとしたら、腰を掴み直されて前立腺をこねまわされる。 「ひっ——アッ、あ゙ぁ!」  全身が戦慄き、肘が折れる。手の甲に額を押し付けながら必死に耐えようとする。しかし過ぎた快感に腰が勝手に逃げを打つのを尻を掴んでハメ直される。 「雪丸、腰立てろ」 「んっ、はぁっ、んっ、」  半分意味を理解しないまま、腰を掴んだ手に支えられるようにして落ちかけた腰を上げ直す。するとまた良いところをえぐられる。 「ゔぁッ、はぁっ、いってっ、ひってう、っ……!」 「ああ、ちゃんと言えてえらいな」  褒められながらひたすらに快感を与えられる。熱の塊が出入りする度にぐちょ、ぐちゃと水音が響いた。  雪丸の足元は水たまりのようになっていた。  セックスする度にシーツを洗わなきゃいけなくなるので、道慈がシーツを何個か買い足していた。  道慈の温かい手のひらが先ほどは叩かれなかった側の尻たぶを撫でてくる。ぞくぞくとした快感に背中が反った。 「はぁっ、んん、あ、あ、」  手が離れる。気持ちよさと圧迫感に気を取られて、次に来る刺激に構える頭もなかった。  パンっと乾いた音が響き、尻に痛みが走る。反射的に中を締め付け、その刺激に全身が硬直する。 「い゙ァッ!」  自分からねだったのに、強烈な快感と痛みと圧迫感に頭が混乱してちかちかする。ひゅうと息を吸い込み、そのまま吐けなくなる。何度吸っても息を吐けず、混乱して全身が震え出す。  逝ってるのに痛くて苦しくて気持ちいい。  脂汗が額に滲み出す。  道慈の手に頭を覆うようにして顎を取られて、唇を食べられる。吸気を邪魔されて、脳が明滅する。苦しさに目からボロボロと涙が溢れた。 「雪丸、息はけ、吐くだけでいい」 「んっ、んんっ、」  道慈の腕を必死に掴みながら、唇に噛み付く。血の味がする唇に優しく下唇をはみ返されて、はぁ、と息が漏れる。胸いっぱいに溜まっていた空気が徐々に抜けていく。 「はぁっ、ふぁっ、ウゥッ、」  身体から力が抜けてくる。道慈に呼吸を管理されてるみたいだった。道慈の指示で呼吸するのが苦しくて気持ちいい。  かぁっと全身が熱くなってくる。覆われた身体が熱い。叩かれた尻が熱い。満たされた中が熱い。熱くて脳が溶けてしまいそうだった。 「ど、じ、っ、あつっ、……!」 「足伸ばしていい」  枕を胸の下に敷かれて、抱きつきながら、言われるがままに足を伸ばしてうつ伏せになる。閉じた足を道慈の足に挟まれ、全身を道慈に覆われて身体がピッタリとくっつく。包み込まれる安心感にだんだんと息が整ってくる。 「は、はぁっ、どうじ、どうじ、」   身体に乗るわずかな重みが気持ちいい。もっと全身で乗っかって体重を預けて欲しい。血管の浮いた丸太のような腕を触ると、頭に唇が落ちてくる。 「どうじ、ぎゅって、ぎゅってして……!」  今ぎゅって抱きしめられたらそれだけで逝きそうだ。中が勝手に締まり、熱をより感じて熱い吐息が漏れる。 「その前に、ごめんなさいは?」   道慈が優しい声で聞いてくる。いつものつっけんどんな声じゃなくて、甘やかしてくれる時の声だ。低い声に耳元で囁かれると、耳から溶けそうになる。 「ごめん、なさ……、あきかん、もうしない、から、」 「これから何を灰皿にするんだ?」  こんな風に言わされるのは思ってたのと違う。本当はもっとたくさん躾けられたかった。けど道慈の口を噛んでしまったし、ちょっと刺激が強すぎて限界だ。 「……どうじが、ようい、してくれるやつ………」  「お前な……」  呆れたような声が降ってきた。 「どうじ、ぎゅーは……?」  道慈の親指を握る。中の熱がぴくりと反応して、若干大きくなる。道慈の方が動きたいはずだ。 「はぁ、もうそれで良いか……」  諦めたような声が降ってくる。同時に太い腕に包まれ、枕ごと身体を抱きしめられる。ぐいと腰が押し付けられ、奥まで道慈でいっぱいになる。  びくんと体が震えて、勝手に足の指先がまるまる。 「ふ、ァッ——!」  びりびりと快感が全身に走る。多幸感に脳がとろけそうだった。  身動きが取れないくらいに抱きしめられて、全部が道慈と繋がっている。それが嬉しくて、幸せで、涙が溢れる。 「ちゃんと謝れて偉かったな」  その上耳元で褒めてくれた。胸の奥がきゅぅと引きしぼられて、よだれが枕に垂れる。  上り詰めた快感が下がってこない。気持ち良すぎて死にそうだ。  ゆっくりと抜かれたものが、ずんっと奥まで入ってくる。 「はぅっ、あっ!」  道慈が自分相手に腰を振ってる。何度もセックスしてるのに、毎日嬉しい。道慈が欲情して、汗でびしょ濡れになりながら他の誰でもなく自分の穴の中で精子を吐き出すために動いているのが幸せだ。 「あっ、あっ、あっ——!」  一際強く抱きしめられ、奥で熱が吐き出される。どくんどくんと分けて吐き出されている間も、何度か奥を緩く突かれる。こうやって何度も女に種付けしていたはずの精を自分が受け止めている。ゴム越しでもわかる熱が嬉しい。  硬いままのものが抜けていき、道慈の身体が離れた。まだくっついていたい気分だったけど、道慈はそうもいかないだろう。  するとプラスチックを破く音がした。 「……もう一回、する……?」 「ああ。いけるか?」  道慈の勃ちっぱなしのものにつけられていくゴムを見つめる。  道慈は多分それなりに性欲があるが、基本的にこっちの身体を優先してくるので、道慈がもう一回できると判断したなら、できるんだろう。じわじわと先ほどまで苦しいほどに満たされていた穴が疼き出す。 「うん」  汗で光る割れた腹筋、大きな胸、首の僧帽筋と視線を上げていく。目が合うと、唇にかさぶたができているのに気づいた。

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