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【SS】幸せの先にあったもの④
そこから彼は僕を抱き締めたまま、乱暴に腰を振った。
必死にすがりついたまま、僕も快楽を追う。
だけどすでに何度も達していたせいで、あっという間にまた逝きそうになった。
すると彼はククッと笑いながら、耳元で囁いた。
「まだ駄目だよ、ノア。最後は、一緒に逝くんだろ?」
その言葉に従い、今にも達しそうなのに必死に我慢する。すると身体はますます敏感になり、今にも弾けそうなくらい熱くなっていった。
荒々しい腰使い。でもそれと真逆な優しい手が、僕の頭を撫でる。
こういう時、いつも思い知らされるのだ。……僕はこの人に、心から愛されているのだと。
「そろそろ俺も、逝きそうだ。……ノア、全部受け止めて」
彼の身体に手足を絡め、一滴残らず飲み干そうと求めた。
「愛してるよ、ノア」
彼のモノが僕の中でひと際大きく、硬くなる。
少しでも多く欲しくて、僕の中が搾り取ろうとするみたいに妖しく蠢くのが自分でもよく分かった。
「逝くよ、ノア……!」
彼の美しい顔が、快楽に歪む。こんな表情を彼が見せてくれるのは僕だけなのだと思うと、愛しさで胸がいっぱいになった。
ドクドクと熱い体液が僕の中に吐き出され、心と身体が満たされていく。
でも残念ながら記憶があったのは、ここまでで。……僕はそのまま、意識を飛ばした。
***
目を覚まし、隣を見ると、もうそこにルーファス様の姿はなかった。
それにほんの少しの寂しさを感じながら、ノソノソとベッドから起き上がろうと試みる。でも昨日あまりにも激しく貪られたせいで、身体がうまく動かなかった。
窓の外はすでに明るく、使用人達の声が聞こえる。
そのため寝過ごしてしまったのだと気付き、今度こそ起き上がろうと全身に力を入れた。
コンコンと、ドアをノックする音。それに驚き、慌てて自分の状態を確認する。
だけど幸い夜のうちにルーファス様の手で身体は清められていたし、夜着も着せてくれていた。
「は、はい。どうぞ!」
まだ少しだけ動揺しながら答えると、ダイニングカートを押しながら、ルーファス様が顔を覗かせた。
カートの上に並ぶ、葡萄がたっぷり入ったパンや、たくさんのフルーツ。それはどれも、僕の好物だ。
「おはよう、ノア。……身体は、大丈夫そう?」
心配そうに僕の顔を覗き込み、ベットの端に腰を下ろすルーファス様。この人、僕のご機嫌を取ろうと必死じゃないか。
そんな彼を見て、ついプッと噴き出した。
「プッ……、フッ……。おはようございます、ルーファス様。……一応やり過ぎたと、思ってくれてはいたんですね」
我慢出来ずに笑いながら聞くと、彼は申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「……ごめん」
帝国の英雄であり、公爵家の次期当主。その彼のこんな情けない表情を知るのはきっと、世界中で僕だけだろう。
「仕方がないから、許してあげます」
ホッとしたように綻ぶ、彼の表情。それを見て、愛しさで胸が苦しくなった。
「ねぇ、ルーファス様」
無言のまま優しく微笑み、僕の言葉の続きを待つルーファス様。だから僕も笑みを浮かべ、素直に思ったことを口にした。
「ルーファス様、僕はとっても幸せです。愛するあなたと、出逢うことが出来て」
突然の、愛の告白。それに動揺したのか、口元を手のひらで隠すルーファス様。
でも僕は、見てしまった。彼の耳たぶが、驚くほど赤く染まっているのを。
「まったく、君って人は。……どれだけ俺を夢中にさせたら、気が済むの?」
以前の僕ならきっと、そんなことはないと否定していたに違いない。
だけど彼に愛され、愛でられて、僕は自信を手に入れた。だからクスクスと笑って彼に抱きつき、告げた。
「さぁ? どれだけでしょう。もっと、も——っと、夢中になってくれていいですよ。本望です」
「……言ったな? ならこんなにも俺を夢中にさせた責任を、早速取ってもらおうか?」
言うが早いか、彼は僕を再びベッドの上に押し倒そうとした。
だけどそのタイミングで、勢いよくドアが開いた。
「おはようございます、お母さん! って、お父さんもいたの!? もしかして、ふたりで遊んでたの? それに、フルーツもいっぱい。ずるいよ、僕も混ぜて!」
ぴょんと飛び上がりベッドに飛び乗ると、メリルは僕らに元気よく突進し、そのまま抱きついた。
そのため僕ら三人は、勢いよくベッドの上に転がることとなった。
思わず顔を見合わせる、僕とルーファス様。どちらからともなく噴き出し、僕らはそのまま腹を抱えて笑った。
するとメリルは不思議そうに僕らの顔を見比べ、首を傾げた。
【了】
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