15 / 33

第15話 食材の試練。

緋「先輩、麦茶…」 緋「うわっ!何してんすか!!」 緋美は慌てて麦茶を置いて、俺と月城くんを引き離した。 月「緋美ぃ〜、違うよ、こーくんが血を飲ませてくれるって言うから、その前にお風呂で洗ってあげようとしてたんだよ〜」 緋「エッ!」 光「いやいや!!そんなつもり無いから!まだ無理だって!なんか月城くんが勘違いしちゃって…」 光「聞いて月城くん、俺は、学校で寝ちゃった月城くんを、緋美がおんぶしてたから、代わりに日傘をさして、送ってきただけなんだ。まだ血を吸われる心の準備は出来てないよ。」 俺がそう言うと月城くんは、やっと理解した様子で 月「ええ〜な〜んだぁ〜、残念…。」 と、不機嫌そうに眉を八の字にひそめた。 光「ところで緋美、食材を洗うのも、吸血の作法?」 緋「…そっすね…なんかの文献にそう書いてましたね…。」 緋美は消え入るような声でそう答えた。 こいつマッジで…月城くんが天然なのをいいことに、好き放題やってんな!! 俺が軽蔑の視線を緋美に向けていると、 緋「…先輩、俺は特殊な体質でもないし、極々普通の一般ピーポーですけど、今、テレパシー受け取ってます…ごめんなさい……。」 緋「でもですよ!!俺も後悔してるんです!洗われるのってめちゃくちゃ大変っす!本っ当に!ヤバいんですって!毎回滝行くらい精神統一してんすよ?!」 わかる…わかるよ…… 俺だって耐えられる自信ない…… 緋「しかも、それを先輩と……うっ、ぐっ、スンッ…スンッ……」 泣くなよ… お前は身から出たサビだろ…! 月「ええ…食材として洗われるのって、そんなに精神にくるの?大変なんだね…。」 月「緋美、いつもありがとう。そして、こーくん。本当に、激しくしないから。優しく撫でるように洗うからね。辛い時は言ってね!」 うん、激しくて優しくても、無理。 想像しただけでもう辛い。 月「ところで、」 月「緋美、こーくんと更に仲良くなってて、ずるい!」 緋「えっ?どこが??」 月「呼び捨てで呼んでるし、テレパシー使ってるし、こーくんに辛い儀式させたくないって泣いたり…。」 いやいや、 むしろ仲悪くてそうなってます。 月「こーくん、僕のことも、下の名前で呼んで?」 光「下の名前??」 月「うん、静夢……って、呼んで欲しいな。」 何でだろう… 軽蔑してる緋美のことは平気で呼び捨て出来るのに、 月城くんを「静夢」って呼ぶのは、 ドキドキするな……… 光「し…、静夢……。」 照れながら俺がそう呼ぶと、 月「あっ、はーい、こーくん♡」 月城くんはふいに顔を逸らし、耳の前で俺に向けてハートを作ったが、隙間から僅かに見えたその頬は、暗がりでもピンク色に染まっているのがわかった。 呼んでって言ったのに、呼ばれて照れてる…! 可愛過ぎるって!! 俺のピュアッピュアメーターが上がれば上がるほど、血が美味しくなると思っているのかも知れないけれど、 心の準備メーターは下がっている。 自分で自分の首絞めてばっかりの兄弟だな……

ともだちにシェアしよう!