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第28話 月城くんの生態。
───土曜の夕方
約束通り俺は月城くんの家に向かった。
森の入り口に着くと、2人が待ってくれていた。
「こーくん、今日はありがとうね!森は暗くて危ないから、迎えに来たよ。」
「しーちゃんはフクロウ並みに夜目がきくんで、暗闇では頼りになるんっすよ!」
緋美が得意げに自慢する。
俺がフッと笑うと、月城くんは無言で少しだけ照れた顔をして、目を逸らした。
「家に着くまでにさ、静夢のこと教えてよ。どんな生活してきたのか、何が苦手かとか。」
「そうだね、僕のこと知っておいた方が、文献と照らし合わせた時に理解がしやすいかも。」
「しーちゃんは小さい頃から天使のように可愛かったっすよ!」
「そういうのはいいから…」
「子どもの頃からね、普通の子が日中にやってることを夜にやってた感じだよ。
学校も野外での授業は免除してくれて、レポートで単位くれるから、不便だけど困ることはあんまり無かったかなぁ。」
「人付き合いとか困ったんじゃない?」
「そうだね、友達と遊びに行くことは殆ど無かった。でも緋美がいたから、寂しいと思ったこと無かったよ。」
「…それじゃあ、彼女とかも…?」
「えっ、いないいない!何こーくん、そんなこと聞きたかったの?僕も君と同じだって!言ったじゃない〜。」
「そうっすよ!しーちゃんにはずっと俺だけなんっすよ。童貞はもちろん、キスすらしたこともない、純真無垢なピュアピュアボーイなんすから!」
「…………あるよ。」
「はっ?」
「キスは…………。」
「えっ……?」
「く、唇と唇の……?」
「…………ん。」
「……えっ?」
「……えっ?」
「……えっ?」
正直に話さなくていいのに!
ショックで緋美が壊れたよ!!
「へ、へぇ〜、そうなんだ。相手、どんな人なんだろ〜?」
バレたら緋美に殺されそうだから、俺は必死で惚けてみせた。
「太陽みたいにキラキラした子だよ。緊張してギュッて目をつぶってたから、可愛くて、ついつい唇を奪っちゃった。あははっ!」
「…しーちゃん……その女…ここに呼んでよ…。」
「ああ〜それは出来ないよ。無理無理。」
そうだね、女じゃないし……。
「……嘘だろ…いつの間にかしーちゃんが、大人になってたなんて…グスッ、グスッ……。」
「大袈裟だな〜緋美は、キスくらいで。また目が腫れるよ〜。」
あの時顔を真っ赤にして照れて俯いていた癖に、キスくらいなんてよく言うよ。
でも本当にちょっと大人になったこと、弟に自慢したかったのかも知れないな。
自慢じゃなくて地雷になってるけど…。
「えーっと、苦手なものは、何かあるの?日光以外だと。」
俺は急いで話題を変えた。
「そうだなぁ、銀製品はアレルギーあって触れない。十字架を見ると気分が悪くなったりする。あと、ニンニクは近くにあるだけでヤダ。」
「…って、こんなこと言ったらまたこーくんに、吸血鬼みたいって思われちゃうかな!ははっ」
はい、思ってます。
条件揃い過ぎでしょ…
むしろ吸血鬼以外のなんなのよ?
「…まあ、古文書読んだらその辺りもハッキリするだろうし、頑張って読み解こう!」
そんな話をしているうちに、月城くんの家に到着した。
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