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第36話 黒歴史更新男。
「うーん俺は、2人みたいな面白い黒歴史は無いなあ〜。」
「とにかくモテなくて、ご存じの通りの童貞拗らせ野郎だよ…。過去の黒歴史っていうより、黒歴史を日々アップデート中……。」
「…先輩って、もちろん俺は1ミリもタイプじゃないっすけど、そこそこ顔良いし、何でモテないんすかね?」
「俺が聞きたいよ……。昔から女子とちょっと仲良くなれたと思ってもさ、『あの子嫌がってるよ』とか、『エロい目で見てきてキモいって言ってたよ』って、他の女子に教えてもらうことが多くて……。」
「え、全然気付かなかったってなって、俺の方から離れて……ずっとその繰り返し。」
「俺、恋愛に向いてないのかもね。」
「えっ、先輩それって……」
「あー!そっかそっか!こーくん、どんまい!こーくんは女心がわからないのかもしれないけど、僕はこーくんのこと、ステキな男の子だと思ってるよ!」
緋美の話を遮るように、静夢が慰めの言葉をかけてくれた。
「…静夢、ありがとう。
ところで緋美は、モテるけど純潔守るために告白全部断ってるんでしょ?静夢はどうなの?」
「僕〜?僕は、全く知らない子に突然告白されることが多いかなぁ。でも興味が無いから全部断ってる。自分から告白したことはないね。」
「じゃあ今好きな人はいないの?」
「こーくんと緋美は大好きだよ♡」
「いや、その好きじゃなくて……恋愛的なやつ……」
うわっ、俺、なんかしつこくない?
何を聞こうとしてる?
「うーん……恋愛的な好きって、どんな感じなんだろ。」
「美味しそうな血を見てドキドキするのと、恋愛のドキドキは、違うのかな。なんかそこの境目が僕には難しくて……。」
「たとえば、自分のために怖さを我慢してる健気な相手の顔を見て、キスしてしまうのは?
女の子に嫉妬して、胸が痛くなるのは……?」
「……恋愛感情ではないの?」
──俺、何を言わそうとしてる…?
「ふっ。……えぇ?」
静夢は頬をポッとピンク色に染め、照れたように小さく笑い、戸惑ったような顔で俺を見上げた。
「そんなの!女子と何かあって血が不味くなったら困るでしょ!」
「キスは感謝とリスペクトっすよ!食料が怯えてたら、誰でもキスしてやりたくなるじゃないですか!!」
「誰でもって、そんなシチュエーション、誰にでもないだろ?!」
「……もしそうだったら?」
「えっ?」
「あのキスが、あの胸の痛みが…….」
「恋愛感情からだったら?」
「……君は、どうするの?」
「えっ、お、俺は……」
心臓が破裂しそうなほど高鳴っている。
何と答えればいいんだろう…。
俺の静夢に対する感情こそ、なんなんだ。
情欲…嫉妬……?
いや、この感情は……。
「あーーーーー!!眠いなぁーーーッ!!もう限界だぁーーー!!寝よう!!ネッ!この話はまた今度ねっ!!おやすみなさいませ!!」
緋美に強制終了されて、俺たちはとりあえず眠ることにした。
静夢にあんなことを聞いておいて、自分の気持ちがわからないなんて、情けないな…。
勘違いして傷付いてきたから、俺も恋愛感情が何なのか、わからなくなってる…。
でも静夢は、食料としてだけじゃなくて、俺自身のことを見てくれてるって言ってた。
俺も静夢に対して、下心や嫉妬だけじゃない感情が、確かにある。
だけど、それを態度や言葉にしたら、
静夢の側にいられなくなりそうで……。
怖いな……。
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