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第52話 三種類の青。
──コンコン!
「緋美?俺。入れて。」
ガチャッ!
声をかけた途端、待ち構えていたかのようにドアが開いた。
「ついに、俺の出番っすか?!」
「いや、お前の出番、ないどころか…」
「静夢、もう抱き合って血を飲んだり、体洗ったり、しないって。」
「ご愁傷様。」
「はっ…!?」
「バレたんすか!?俺の……!」
「うーん、ちょっと、部屋入れて。」
───バタン。
緋美の部屋にも静夢のと同じベッド、
本棚、机と椅子があり、レイアウトは殆ど同じだった。
ただ、枕元のゴミ箱だけは静夢の部屋の三倍ほどもあり、その中には丸められたティッシュが、今にも溢れそうなほどぎっしりと詰め込まれていた。
「ええ何このティッシュの山……。」
「悪いんすか。花粉症なんですよ。」
「お前が鼻かんでるとこ見たことないし、何よりめちゃくちゃ青臭い…。」
「わかってて聞かないでくださいよ!!」
「風呂から慌てて出ていったから、そういうことだとは思ったけど、予想以上だわ……。」
「まあそれはいいとして。」
「静夢は、お前の教え込んだ儀式や作法が、性的だと気付いたらしい。」
「うわっ!マジすか……!終わった………。」
「……軽蔑してましたか……?」
「いや、それが、『緋美は性的知識がないから、単に甘えたかったんだろうな』って。」
「ええっ…さすが天使……!」
緋美は口を両手でおさえ、瞳をキラキラと輝かせた。
「……でも、なんで気づいたんすかね…?
しーちゃん、性的な知識が皆無だったから、全く疑われてなかったんすけど……。」
「……えっ、ウソでしょ?」
「……先輩……?」
「いや、静夢が俺の体を洗ってて、股間のあたりまで下がった時に、疑問に思ったみたいなんだ。」
「照れながら、『ここを僕が、洗っていいの?』…って。」
「うわっ!」
「だから、洗っても良いけど、触ると形が変わるって、教えて……」
「興味を煽って触らせたんすか?!この変態おじさん!!」
「違う違う!俺が自分で扱いて……。変態おじさんには変わりないかも…。
静夢、硬くなるって知らなくて、ビックリしてた。童貞も、やっぱり女の子と性行為しなきゃ、捨てられないと思ってて」
「そして、実は目合いって、性行為のことなんだってことも、話した。」
「言ったんだ…!」
「で、男同士でも、これを硬くして、お尻に入れれば、できるんだよって話したら……」
「話したら??」
「入れたいって……」
「エッ!」
「その、」
「入れられる方は…?」
「嫌だって。お尻に入れるなんて。」
「エッ!」
「抱けないじゃないっすか!」
「いや、お前はどっちみち抱けないけど、」
「挿れたい男が3人……」
「あんな猫みたいな顔して、バリタチっすか…。」
「ちょっとショック…。」
「抱き潰すことばっかり考えてて…。」
「まあ、そういうことだから、嫌われないうちに大人しく、欲望まみれの儀式は辞めて、静夢を抱くことも、諦めてよ。」
「てかさ、挿れる挿れないの前に、静夢は俺の彼氏だから。俺たちは二人で話し合いながら、進んでいくから。」
「……へえ、凄い自信ですね。」
「BLサンド、満更でもなさそうだったのに。なんかありましたね?血を吸わせた時……。」
「な、ないよ!!」
「きょどってません?」
「俺、鼻が効くんすけど…」
「俺のじゃない青臭さが……」
「それも、二種類……」
「えっ!凄い!!この青臭さ充満してる部屋でも、わかるもんなの?!」
「えっ!!」
「かまかけたんすけど……マジすか……」
緋美は膝から崩れ落ちた。
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