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第48話

___ 「古い歌を聴くと若返る」という人がいる。私はそうは思わない。19の頃に親しんだレコードを36になって引っ張り出してきたところで、若い身体が返ってくるわけではない。頭は固くなるし、酒は翌日に残る。別れた恋人も、辞めた仕事も、犯した過ちも元に戻らない。それでも人は古いLP盤に針を落とす。 先日、一度限りの復活と銘打たれたThe Boogie Hayesのショーを観た。多くのアメリカ人にとってそうであるように、私もあの兄弟の声が街中で聞こえる時代を生きていたから、知人からの誘いは断らなかった。 デビューシングル『Midnight Boogie』のイントロで幕が開き、会場は割れた。比喩ではない、何千という人間が同時に叫ぶと空気は物理的に震えるらしい。照明が点き、かつてBoogie Hayesだった男達が浮かび上がった。 当時からのファンであろう私と同世代の者も、ディスコが隆盛を極めた時代を知らぬ若者も、一斉に高揚したように見えた。隣にいた一見場違いにも見える聖職者のような老人も、大きく手を叩き笑っていた。最後列では彼らの姿など豆粒ほどにしか見えないというのに。 私は音楽評論家ではないから、このショーの詳しい中身についてや音楽史的にどれほど重要かを書くのは専門の人間に任せたい。しかし、このショーがあまりにも特別なものだということは、体で感じ取れた。 "再結成"という言葉から連想するのは、往々にして懐古だ。観客は自分の若かりし頃を思い出し、演者は当時の笑顔を再現する。悪いことではない、金を払って幸福な記憶を買うのもポップ・ミュージックの正当な楽しみ方の一つだろう。だが、その晩のBHは若返ろうとしているだけではなかった。 カルヴィン・ヘイズは当時の記憶のまま、火花のようだった。 10年以上ステージに立っていなかったとは信じ難い。今は若いダンサーに教える立場だというから技術があるのは納得するが、それにしても驚くほど目を引く。客席へウインクと投げキッスを飛ばし、全身を使って会場を煽り、予定に無かったらしいステップを入れて兄に睨まれる。会場中を巻き込んでおきながら、本人が一番楽しそうなのだ。同時に自分が一歩前へ出れば誰を見るべきか、半歩引けば誰が輝くのかを理解している。長く裏側にいた年月が、そのままエンターテイナー然としたステージングに現れているようだった。 かつて『BHの火薬庫』などと書かれていた男は、今では火薬の量と置き場所まで計算している。 マーカス・ヘイズは昔ほど踊らない。 私はそう思っていたし、開演後しばらくはそうだった。代わりにコーラスが薄くなれば自然に声を足し、曲の終わりには2人を一つの場所へ集める。「この人がリーダーなのだ」と説明されずとも分かった。再結成にあたり最も難色を示すだろうと言われていた男が姿を見せ歌い、グループの統率を取っているというだけで、ファンには大きな喜びとなっただろう。 ところが中盤のヒットメドレー中だった。カルヴィンが兄を挑発するように指を動かし、マーカスが大きく息を吐いたのがスクリーンに映し出された。次の瞬間、長男は中央に躍り出て昔の振付をほとんどそのまま踏んだ。客席が爆発した。腰の位置、肩の切り方、最後にマイクスタンドへ戻るまでの間には間違いなくかつてのマーカス・ヘイズがいた。 ソロモン・ヘイズについて一つ言えるのは、彼は昔とずいぶん変わったということだ。 『夜の太陽』が、天使だの王子だのと書き立てられていた頃の曲を表現する。磨かれきった鉱石のようだった声は深く変化し、孤独と官能を滲ませていた。かつて「君を愛している」とカメラの向こうに笑いかけていた少年は、今では「愛していると言った先にも人生は続く」と知った上で同じ言葉を綴っている気がした。 だが不思議なことに、3人でハーモニーを作ると、彼の声に昔の軽さが戻ることがあった。兄が歌えば嬉しそうに後ろへ下がり、兄が踊れば観客と一緒になって拍手をする。その晩のソロモンは王などではなく、ただの末弟に見えた。 今では一人でキャリアを成功させた彼を見て、ふと考える。このスターにも帰る場所はあるのだろう。友人や恋人と呼ぶ人間と共に過ごすかもしれない、太陽が沈みまた昇るまでのための場所が。グループから飛び立ったとしても、BHのメンバーとしての彼にとってならば、そこはきっと兄と母と父の魂のある少年時代の家なのだ。 終盤、照明が落とされた。派手なホーンもベースも消え、3人は古いゴスペルを歌った。父親に教わった曲だとマーカスが話した。 私は教会という場所について何か知ったようには書けない。ただ、祈る人々が皆迷いのない人間ではないことくらいは知っている。人は神を信じながら恐れることがある。誰かを愛しながら、その愛が間違っているのではないかと疑うこともある。それでも時間は進む。古いレコードにまた針を落とせるまでに過ぎた時間そのものが、音の後ろに立っているように聞こえることがある。その夜にはそれがあった。男たちは、ただ歌うことを愛す少年たちだった。 「みんなのこと、よく見えるよ。もっと、もっと見せてみて」 ソロモンの妙に無邪気に聞こえる言葉が、この夜はあの苦く輝いていた70年代に帰って良いのだと、そう言っているかのようだった。 The Boogie Hayesの再結成は終わった。永遠に続くものだけが本物なのではない。一晩だけのダンスにも意味はある。夜はいつか終わり、レコードにも最後の溝がある。だから私たちは、時折馬鹿みたいに着飾り、音を大きくして、誰かの手を取って踊るのかもしれない。今夜が終わると知っているから。そして終わったあと、帰る場所があることを願いながら。 今夜はブギー・ナイト。少なくとも、あの夜はそうだった___ ペンを置き息をついたとき、ノックもなしに書斎のドアが開いた。ハグをしてきた彼を座ったまま受け止める。 「再結成のショーが終わってから抱き付き魔に拍車がかかってるぞ、きみ」 「ずっと兄さんが入り浸りだったんだもの。ねえ、まだ書くの」 「今日は終わりだ」 「じゃあもう少しこうしていよう」 香水の匂いも銀のアクセサリーの冷たさも無い、ただの彼の重さ。無防備な彼を胸に抱きながら目を閉じる。明日も来週もその先も、俺は彼の背中に腕を回しているのだろう。もう分かっている、何しろあの頃から続いていることなのだから。 「ソル」 「うん」 「肩越しに原稿を盗み見るなよ」 「だって、なんか良いこと書いてある」 「このままじゃ出せない。明日また直す」 「僕、これ好きだけどな。フレッドの書くものは買い物メモだって面白い」 「恋人贔屓をどうも」 「ふふ」 俺たちはキスをし、そしてまたしばらく抱き合っていた。夜がゆっくりと過ぎていった。

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