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8-3
「紅、入るよ」
初めてのときは、遠慮がちだったクロだけれど、今は違う。主導権を握られた紅は、嬉しくも切なくて腹の奥がきゅんとする。
「……うん」
紅の目を見つめながら、じわじわと芯が内壁を割り、押し入ってくる。昨日の今日なので、そこはまだ柔らかいのだろう。難なく受け入れ、粘膜が擦れると甘い痺れが背筋に走る。
「っあ、ぁ……く、ろ……」
浅いところにある好きな箇所を引っかかりで攻め立てられ、紅はのどをさらして喘いでしまった。
丁寧に思いやって責めてくれるクロのやり方は、体だけでなく心まで満たしてくれる。
なので紅も、クロを存分に満たしてやりたい。
「気持ちいい……?」
掠れた声が聞いてくる。シーツを握りしめながら、こくこくとうなずくと、よかったと言ってさらに腰を進めてくる。
内側を押し広げてくる芯の圧に逃げそうになるけれど、懸命に耐える。
「クロ、は?」
短く速い呼吸をしながら尋ねると、クロは苦しそうな表情になって内側に収まった芯がさらに膨れた。
「……すっごく、きもちいぃ」
揺すりそうになる腰を耐えているのがわかる。我慢しなくていいのに。
「ちょっと、動くね……」
切羽詰まった声がすると、ゆったりとしたストロークで抽挿が始まった。けれど、浅いところだけを行き来している気がする。
一度交わっただけなので確証はないが、遠慮されている気がする。
「クロ……全部、入った……?」
ぴたりとクロの体が止まる。
「え、と……半分、かな」
この圧でまだ半分かと知ると、紅は体が裂けるのではないかと思ってしまう。しかし、今度こそクロとは深くまでつながりたい。
「来てよ、もっと……」
「……紅、壊れない?」
クロがそう思うほど、自分の中は窮屈だろうか。クロ自身も狭くてそれ以上は無理なら、仕方ないのだけれど。
「クロが無理なら、やめたらいいよ」
「無理じゃないよ! 俺はもっと、入りたい」
本心を聞けて嬉しくなってしまう。
紅は押し拡げられる圧に耐えながらほほ笑むと、クロの腰へ足を絡めた。
それを合図に、クロはさらに腰を進めてくる。昨日到達したところよりも、さらに奥へ紅の様子を見ながら押し入ってきた。
(そこ、すごっ……)
ひとりで慰める好きなところを、クロの熱い塊が擦っていく。
けれど、紅が快楽を知っているのはその深さまでだ。その先までは、手持ちの道具では弄ったことがない。
「あ、あッ、ふか、い……」
「紅、紅………っはぁ」
大きなため息とともに、全て収まったと告げられた。
双丘にクロの腰が当たるのを感じ、本当だと気づき紅も嬉しくなる。
(これで本当に、全部ひとつに…)
クロへ向かって唇を突き出すと、かぶりつくようにキスが落ちる。頬は汗で湿っていた。
腰から伝う甘い痺れに耐えるように、深いキスで口内を貪ってくる。
「んっ……動いてッ……」
キスの合間にねだると、クロはようやく腰を打ち始めた。けれど気遣っているのか、ストロークが遅い。
「くろっ……」
「あぁぁッ、紅、ごめんね、もう我慢できないッッ!」
言ったかと思うと、突然強いひと突きに奥底を抉られた。
「ッッあぁぁ!」
速度と強さをあげて、紅の内側を抉ってくるクロは、望んだとおり自分の好きにしてくれている。
最も深いところでつながり、必要とされて求められたことが、紅は幸せでたまらない。
肉を打ち付ける音を何度もさせたあと、クロは最奥で精を放った。強力な突き上げに、紅まで高みへ押し上げられてしまった。
(これでクロの役に立てるなら……いくらでも……)
好きな人と愛し合うだけで役に立てるなど、紅にとってこのうえない。そんなことでクロを幸福な人生へ変えられるのなら、毎日だってしたい。
「クロ、穢れ払えたかな?」
まだ萎えない芯を内側へ収めたままで聞いてみる。
するとクロは不満げに口を尖らせた。
「紅が好きだよ。触れたくてたまらないから、してるの。紅は違う?」
「ううん」
よかったといって、満面の笑みを見せ、またキスをされた。クロはキスがかなり好きらしい。
「名前、結局どうやって呼んだらいい?」
クロには結局、サードや吽形といったものがあった。クロは紅が勝手につけたので、そのまま呼んでいいのかは気になっていた。
「クロだよ、紅がくれた名前が一番好き!」
額の汗をぬぐいながら、無邪気に言う姿のアンバランスさがまた魅力的だ。セクシーだしかっこいいと思ってうっとり見つめていると、クロが内側で反応しだす。
「……クロ、何で、また…?」
「俺、おっきくできるって言ったよね? だって紅とだもん、たくさんしたい」
眉尻を下げ、すっかり力を取り戻した芯で内側をとんとんと突いてくる。
「え、え、嘘だろ? だってもう二回出した…」
達して敏感になった内壁は、すぐに快楽を呼んでくる。けれど、また流されてしまいたい。
カーテンの向こうがうっすらと明るくなってきた。それでも一向に尽きそうにないクロの精力と体力に、紅は今日の授業は休もうと決めた。
どんな存在であっても、クロが好き。愛することを許してくれた。一緒にいたら、これから先もきっと幸せだ。
【完】
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