1 / 4
第1話 新しい生活
蜜にとって、愛する人との夢のような暮らしが始まった。シドと二人。
リキの家に逃げ込んできた時は、わけもわからず無我夢中だったけど、今度は初めて見つけた愛する人との暮らしだった。
今まで一緒に暮らしていたリキは大人で40才でそこそこ売れているギター弾き。
知る人ぞ知る犬遠藤力だ。コアなファンがいる。
蜜は一緒に暮らすリキを好きになったけど、それは何だか保護者の域を出ていなかった。
甘えて暮らしていたが、恋とは違う。シドと初めて会った時、その違いに気づいた。
シド、山岡士堂24才。蜜より四つ年上。ヤクザにゲソ入れした元暴走族。ケンカはめっぽう強い。
背中に観音様の和彫りを入れている最中だ。
別れは悲しいものだが、リキと蜜には、そんな辛さはなかった。
「なんか、簡単だね。
恋人を取り替えっこしただけか⁈」
「蜜を誰かにゆずったってことじゃないぞ。
蜜はモノじゃない。シドとお似合いだ。」
リキは昔から惚れていた恭司に愛を告白されて満足だった。大人な2人は、その後進展がない。
シドがゲソを入れているヤクザの永田組、
その組長の恭司から部屋住を解かれ、晴れて蜜と暮らす事になった。
物分かりの良い、むしろわかり過ぎる恭司は
蜜とシドの2人を祝福してくれた。
恭司の口利きで、ペットOKのアパートを見つけた。蜜の猫の力丸も一緒だ。
リキの家が近いせいもあって力丸はすぐにリキの家に戻ってしまう。
「猫は家に付くって言うからな。
力丸が家を気に入っているんなら、
ドギードアは開けておくよ。
力丸のお気に入りベッドもあるしな。」
そんなわけで力丸は自由だ。
「車に気を付けろよ。」
蜜はそれだけが心配だ。
恭司は、以前より頻繁にリキの家を訪ねて来ては酒を飲む。
ずっと胸に秘めていたリキへの思いを遂に吐露した事で益々気持ちが強くなった。
組を率いる組長ながら、リキに会いたい気持ちは止められない。
「リキはなんでそんなに、ほどよく冷めてる?」
神谷に聞かれた。蜜が
「僕にも執着が少なかったね。
冷たい男なのか?
誰かを愛したこと、ないの?」
リキはいつも浴びるほど酒を飲む。
悲しい男の恋歌を歌って、ファンが多い。
(何か辛い過去があるのか?
不思議だ。恭ちゃんと両思いじゃないの?)
いつも自分の気持ちのままに、好きな人の胸にまっすぐ飛び込んでいく蜜だった。
シドも真っ直ぐに愛してくれるから。
ともだちにシェアしよう!

