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第17話
彼は一体何を言うつもりなのだろうか。
「な、なに?」
「俺は、お前に初めて会った時から好きだった。一目見たその時から、お前が欲しかった」
それを聞いて、飛鳥は驚いた。
和音はずっと飛鳥に優しくしてくれていたし、助けてくれていた。
しかし、想いを寄せてくれているとは思わなかったのだ。
「そうだったんだ……」
飛鳥は恥ずかしくなってしまい、返す言葉が見つからない。
「あともう一つ。俺、ずっと前から同じ夢を見るんだ。その夢に出てくる人は、お前にそっくりだ」
「え!?実は、僕も和音さんにそっくりな人が出てくる夢を見てたんだ。ここに来る前から……」
二人はお互いに目を合わせると、その目を瞬かせた。
「そうだったのか……不思議だな。俺たち、前世で何か縁があったのかな」
「分からないけど……」
夢に出てくる人物が本当に和音なのか分からない。
でも、和音と何らかの縁があるなら嬉しいな、と飛鳥は思った。
「俺とお前は、もしかしたら出会う運命だったのかもしれないな。そして、愛し合うことも必然だった……」
そう言うと、和音は唇を触れ合わせてきた。
こんな場所に放り込まれても、和音がいるなら生きていける。
彼は、飛鳥にとって安息を与えてくれる存在だ。
それは、他の誰も代わりにはなれない。
政忠でも……。
飛鳥は和音にぴたりと体をくっつけ、首の後ろに腕を回してより口付けを深くした。
自分が深く和音を愛していることを伝えるように。
和音もそれに応えるように、舌を絡ませてくる。
あまりに気持ち良さすぎて、体が反応してしまいそうになる。
そして、このまま時が止まってしまえば良いとまで思えた。
しかし飛鳥たちはこれから仕事の時間となる。
香煌楼に戻り、客を迎える支度をしなくてはならない。
飛鳥が和音との口付けに没頭していると、突然に和音が唇を離した。
寂しさを感じた飛鳥はもっとして欲しいと縋るが、和音は続けてくれなかった。
「まだ一緒にいたい」
和音の着物の袖裾を引っ張ると、彼は困ったような顔をする。
「それは俺も一緒だよ。でもこれから仕事だろ?けじめはつけなきゃ駄目だ」
飛鳥はシュンとしながらも頷いた。
残念だが、和音を想いながら他の誰かに抱かれなければいけない。
寂しそうにする飛鳥に、和音はそっと額に口づけをくれた。
それだけでも、飛鳥は仕事を頑張れそうな気がする。
何とも自分は単純なのだと思うが、そうなのだから仕方ない。
「じゃあ、俺が先に行くから。少し後でお前も来いよ」
笑顔でそう言って和音は立ち上がり、建物の方に消えて行った,
あらゆる男たちを相手にすることは、互いに仕事だし嫉妬をするのはお門違いだと分かっている。
だから飛鳥は、和音の愛だけを胸にひたすらに奉仕をするのだった。
客からすれば、心がないと思われるかもしれないけれど……。
和音との恋は、許されないことだ。
もし東堂に見つかりでもしたら、どんな罰を与えられるか分からないだろう。
だから、こっそりと愛を育むしかない。
そんなある時、飛鳥が炊事場に水を飲みに行くと和音がやってきた。
会えたのが嬉しくて飛鳥が微笑むと、和音が何やら手渡してきた。
そして去り際に、「一人でこっそり読んで」と耳打ちしてくる。
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