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第43話
このまま飛鳥は、佐吉の餌食になるしかないのか……。
『助けて……』
叶わぬと分かっていても、たった一人を求めずにいられなかった。
「観念しなさい」
そう言って佐吉の顔が近づいてきた時……。
すると勢いよく襖が開き。何者かが部屋に入ってきた。
その者は飛鳥の方に近づくと、思い切り佐吉を蹴り飛ばした。
蹴られた佐吉は吹っ飛び、畳の上に体を打ち付けた。
「痛い……」
呻く佐吉の方に目をやる飛鳥だが、何が起きたのか分からず呆気に取られた。
「大丈夫か?飛鳥」
その声は、ずっと聞きたくて仕方なかった声だった。
「も、もしかして……」
「あぁ、そうだ。俺だよ」
飛鳥の目に映ったのは、愛しい和音だった。
「ど、どうしてここに?」
「それは後だ。まずはこいつを何とかしなければいけない」
そう言うと、和音は放心状態になっている佐吉に馬乗りになり、彼を思い切り殴った。
「うわっ」
飛鳥は思わず声を出してしまう。
こんな和音は見たことがなかったから。
「お前!何をしたか分かっているのか!?」
「何をするんだ!私にこんなことをして、ただで済むと思うなよ!?」
殴られた佐吉が和音を睨みながら言った。
「そもそもお前は誰だ!?」
「俺か?俺は、こいつと共に古道具屋をやってる者だ」
和音が告げると、佐吉は納得がいったように頷いた。
「あぁ、そうか。お前が、士郎くんの待ち人か」
「その通りだ。俺の大切な人に手を出すな!」
そう言うと、和音はまた佐吉を殴ろうとした。
それを見た飛鳥は思わず和音を止めようとする。
「もう止めて!」
「止めるな!こいつはもう一度殴ってやらなければ気が収まらないんだ!」
そう言って和音が拳を振り上げたので、慌てて飛鳥は彼の腕を掴んだ。
「駄目だよ!もし殴ったら、あなたの立場が悪くなるから!」
その言葉を聞いて、和音が拳の力を緩めた。
「僕は大丈夫だから……」
「大丈夫じゃないだろう!俺はこいつを許せない!」
「僕も迂闊だったよ。こうなる前に回避できれば良かったんだ……それに、僕は既に傷ものだから……」
和音も同様ではあるが、どうせ自分は香煌楼で客たちに既に汚された身……。
もう汚れてしまっているのだから、佐吉に触れられたとしてもどうということはないはず……。
そう考えると、飛鳥の目には涙が溢れてくる。
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