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3.勢い(完結)
「……くん、麻生くん、麻生くんっ!!」
身体を揺らされながら名を呼ばれて意識が浮上した。うるさいな、と抱き込んでいるものを更にきつく抱きしめる。
(思ったより固いな)
と思った途端一気に覚醒した。
「……あ。中山さん、おはようございます……」
昨夜そういえばお互い裸のままベッドに入ったことを思い出した(彼の服は勝手に自分が脱がした)。腕の中の中山さんは真っ赤で、まるでトマトみたいだと俺は思った。きつく抱きしめていた腕を片方外しベッドに頬杖をついてそんな中山さんを窺うと目をそらされてしまった。明らかに恥じらっているおじさんなんて幻滅ものだと思うのに彼の仕草が可愛く見える。
(眼科行った方がいいレベルだな、これ)
そう思いながらも、抜け出そうとしているのかもぞもぞしている中山さんを逃がしたくない。
「今……何時ですかね……」
「…………」
遮光カーテンの隙間からそれほど光が差し込んでいないことから、まだ早い時間なのだということがわかる。
(勃ってるな……)
起き抜けのせいか自身が立ち上がっているのがわかり、向かい合っている中山さんのを覗くと、果たして彼自身も立っていた。それを悟られたくなくて身体を離そうとしていたらしいことに気付き、俺はにんまりした。身体の位置を調整し、自分のと一緒に彼自身を掴む。
「っっっっ!?」
「っはー……朝勃ちつらいですよね、なかなかおさまんなくて」
「あ、麻生くんっ!?」
彼自身と一緒にしごくのはすこぶるやりにくいが腰が密着するのはいいかんじだった。
「やっ、やめっ……!!」
「あー、気持ちいい……」
足を絡めるようにして彼の身体を固定し、容赦なくしごきまくる。
「あっ、あっ、あっ……ああーーーっっ!?」
最近はそういうことを全然していなかったのか、中山さんはあっけなくイってしまった。
「はあ、はあ、はあ……だ、だめっ、やめっ……ああっ!!」
悪いとは思ったが俺はまだイってないのでそのまま萎えた彼自身ごと何度もしごいた。達したばかりの自身はとんでもなく敏感だから中山さんは半泣きになりながらびくびくと身を震わせる。そのさまにいきり立ち、俺はいつもより早くイってしまった。
「あっ、ひ、ひどっ……あ、あ……」
まだ震えている彼に詰られても嬉しさしかない。白濁をすくい、自身に塗り込めるようにしてやると一際大きく中山さんが震えた。
「すっげ気持ちよかったです」
そう耳元で囁いて、また立ち上がりかけた自身と萎えた彼自身を握った。
「あっ、麻生くんっ!?」
「中山さん色っぽすぎて耐えられません。もう一回」
「い、色!? ああっ!!」
全身を朱に染めて喘ぐ中山さんをもう一度イかせたりし、俺はたっぷり彼を堪能した。
ぐったりした彼の身体を濡れタオルで拭いたりと、こんなに甲斐甲斐しく誰かの世話ができるなんて俺自身信じられない。恥じらう中山さんに、「おとなしくしないともう一回ですよ」と脅すように言ったら彼は身体を固くした。それはまるで生娘のようだったが、また欲情しそうになって困った。
「な、なんでこんなこと……あの、麻生くんはゲイだったのかい?」
「いえ、違うんですけど。中山さんのこと、ヤりたいなって思って」
「ヤ……!?」
中山さんは絶句した。
俺だってよくわからないのだ。なんでこんなに中山さんをあんあん喘がせたいと思うのか。
ただ、カラオケで歌っていた時のそらされた顎とか、色っぽい声とか、意外とキレイなうなじとか、それら全てに欲情したことは間違いなかった。
「つーわけで俺たち付き合いませんか? 中山さんのこと何も知りませんけど、誰にもくれてやりたくないって思ったんで」
あっけらかんと言うと、中山さんは苦笑した。
「……僕はもう45だよ? それに男だし……」
思ったより年はいっていたらしい。だからなんだ。
「知ってます。俺、中山さんがいいんです」
「じゃあ……君が飽きるまで、ね」
中山さんがまた苦笑しながら言う。俺はむっとしたが、まだ将来の約束はできないのでそれでいいことにした。
さすがに二回イったせいか腹が減った。スマホを見るとちょうど朝食の時間になっていた。
「これからよろしくお願いします。とりあえず朝飯食いに行きましょう。ここのバイキングけっこううまいらしいですよ」
「それは楽しみだ」
昨日の服を着て移動する。シャツとズボンというラフな格好の中山さんは幾分若く見えた。
(まずはヤるのが目標だな。覚悟してくださいよ?)
組み敷いて彼を犯すことを想像して俺はまた欲情しかける。根拠はないが、中山さんに飽きることはないような予感が―した。
Fin.
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