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01選ばれし者

 それは生まれ育った孤児院にいた時の出来事だった。珍しく全員風呂に入らされ新しい衣服を着ることを許された。僕シルバは銀色の髪と金色の瞳を持つ、僕はそんな孤児院の職員たちの態度が変だと思っていた。そうしたら翌日見たこともない立派な馬車が孤児院にやってきた。貴族が養子を求めてきたのか、僕は十歳だしその養子に撰ばれる確率は低かった。だから何も気にせず孤児院の仲間と遊んでいた。 「こいつだ、こいつを王妃にする」 「陛下、この者は男でβです。お世継ぎを産めません!!」 「煩い、こいつに俺は決めたんだ」 「…………おおせのままに」  僕はいきなり自分を指さした男の人を見ていた。十五歳くらいで黒い髪に僕と同じ金色の瞳をもっていた。 「俺はアルジャン、お前の名前を教えてくれないか?」 「えっと、僕? 僕はシルバ」 「じゃあ、シルバ。お前はこれから俺の王妃だ」 「え!?」  こうして僕は男でβなのにアルジャンの王妃として王宮に連れて行かれることになった。長い間、親友でいてくれたシックとは抱き合って涙のお別れをした。金の髪に青い瞳をもつαのシックは言った。 「俺もいつか王宮に仕える、それまで元気でいろよ。シルバ」 「うん、シック。いつかきっと王宮で会おうね」  そうして他の子どもたちともお別れを済ませると、僕はアルジャンが待っている立派な馬車に乗せられた。ふかふかの椅子に僕は慣れなかった、僕をじっと見てくるアルジャンにも慣れなくて居心地が悪かった。そうして僕が王宮に連れ帰られると、アルジャンとその母親である皇太后が大喧嘩をした。皇太后は金の髪と青い瞳をしていた。 「王妃に男でβを連れ帰ってどうするのです!! 子どもが産めないじゃないの!! アルジャン!!」 「母上は煩い、俺はシルバを王妃にすると決めたんだ」 「そんなことは許しません!!」 「ほうっ、王である俺の言うことが聞けないなら母上であっても追放しますよ」 「っ!! そこまで惚れたの、いいわ。好きにしなさい」 「シルバ、お前は俺の王妃だ。今は十歳で成人していないから仮の王妃だが、いずれ本物の王妃になるんだ」  そう言ってアルジャンは僕に王宮を案内し始めた。図書室、謁見の間、政務室、食堂、いろんなところを案内された。そうして与えられた僕の部屋はアルジャンの部屋の隣にある王妃の部屋だった。 「皆の者、シルバは俺の王妃だ。彼を俺だと思って仕えろ!!」 「ハッ!! おおせのままに。偉大なるキング」  それから僕は勉強をすることになった、王妃にふさわしい身のこなし方、知識、剣の技術、ダンスや食事の仕方などそれぞれ家庭教師がついた。最初は文字さえ読めなかった僕だったが家庭教師たちが根気よく教えてくれたので、文字が読めるようになり所作も随分と優雅になっていった。そんなある日のことだった。リッシュ・グレルという少女がいきなり僕と家庭教師がいるところにのりこんできた。真っ赤な髪と茶色い瞳を持つ彼女はこういった。 「アルジャンは私の婚約者よ、それを横から奪うなんて許さないわ!!」  そう言って彼女はいきなり僕の頬を叩いた、それからありとあらゆる悪口を言った。家庭教師はいつの間にか消えていた。僕は対応に困ってこう言った。 「そういうことはアルジャン本人に言ってくれないか?」 「煩い、卑しい男妾!! さっさとこの王宮を出て行きなさい!!」 「だからアルジャンの許可がないと僕は出て行けない」 「やかましいわ!! 自分から出ていかないなら衛兵に追い出させるわ!!」  そうやって僕たちが言い争っていた時だった。さっきいつの間にかいなくなった家庭教師がアルジャンを連れて戻って来た。アルジャンは僕たちを見て言った。 「リッシュ、お前との婚約は正式に破棄するという文章がいったはずだ。シルバに対して失礼な態度をとるな」 「あ~ん、アルジャン。貴方騙されているのよ。私は貴方を救いたいだけ」 「あいにくとお前に救って貰う必要は無い、そうだお前そんなに王宮にいたいならシルバの侍女をしろ」 「婚約者の私に卑しい男妾の侍女をしろですって!?」 「だから婚約は破棄されたと何度言えば分かるんだ、嫌ならでていけそして二度と城に来るな」 「………………侍女としてシルバ様にお仕えします」 「よしそれでいい」 「――――――ッ!!」  こうして僕にはリッシュという侍女ができた、でも僕は彼女が怖かったから一番下の仕事を任せた。それがリッシュのプライドを更に傷つけていることに僕は気がつかなかった。 「いつか絶対に殺してやる、男妾!!」

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