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【後編】 シアワセ

【登場人物】 ・青山コウタ(あおやまコウタ) 鉄道会社の車掌。 箱根旅行で響に想いを伝え、正式に付き合うことになった。 木田の元彼。 響からは「コウタくん」と呼ばれている。 《FiVE DrinK》 ・響ワタル(ひびきワタル) FiVE DrinKのセンター。 ずっと想い続けていた青山と、ついに恋人同士になった。 BLドラマ「フタツノ ヒカリ」で主演を務めた。 青山からは「ワタル」と呼ばれている。 ・黒川ジン(くろかわジン) FiVE DrinKメンバー。 長く響を想い支えてきたが、 今では青山を“推し”として慕っている。 ・押部リョウタ(おしべリョウタ) FiVE DrinKのリーダー。 明るくノリの良いムードメーカー。 騒がしいが、何気に周囲をよく見ている。 ・緑川コウヘイ(みどりかわコウヘイ) FiVE DrinKメンバー。 冷静そうに見えて、実は天然で子供っぽい。 メンバーの暴走に巻き込まれがち。 ・楓ユウサク(かえでユウサク) FiVE DrinKメンバー。 距離感が近く、人をイジるのが大好き。 特に黒川をからかって遊ぶ策士。 ・木田アスカ(きだアスカ) FiVE DrinKの敏腕マネージャー。 青山の元彼女で、 メンバーと青山を誰より理解している人物。 ・黒崎零(くろさき れい) 芸名RAY-K。 Crest Aster社長。 過去に青山に助けられており、 再会をきっかけに良き友人となった。 ・兎波奏(となみ かなた) VIRESTのセンター。 「フタツノ ヒカリ」で響とW主演。 共演をきっかけに響と親しくなり、 恋愛相談もする仲。 ━━━━━━━━━━━━━━ ザーッ……、ザーッ…… 青山「穏やかだね……」 響「こんな時間が いつまでも続くといいなぁ……」 青山「そだね」 響「でも、いつもこういう時に 楓とかジンくんとか 黒崎さんとか来るよね?」 青山「フフッ……そだね。」 そして二人は辺りを見回した。 青山、響「よし!いない!」 青山、響「ハハハッ」 曇り一つない笑顔で笑い合う二人。 ストン 響の肩に青山の頭がもたれかかる。 響「どしたの?」 青山「ちょっと疲れたから 少しのあいだ……、このまま居させて……」 青山の手を握る響。 響は黙って前を向く。 青山「ありがとう……」 ザーッ……、ザーッ……。 ━━━━━━━━━━━━━━━ --木田が運転する車中 緑川「グー……、グー……、グー……」 窓に頭を付け、 疲れきった様子で爆睡する緑川。 押部「…………」 イヤホンをし、 音楽を聴きながら外を見ている押部。 タタタタタタタタタタタタ スマホで誰かと メッセージのやり取りをしている兎波。 楓「…………」 つまんなそうに、 前席に身を乗り出し、前を見る楓。 黒川「……帰り……、帰り……」 スマホの待受画面を見ながら、 何かに取り憑かれたかのように呟く黒川。 木田「帰ってー、衣装合わせの段取りー、 黒川と楓のオーディション探しー、 LIVEの打ち合わせー、 んーー、 やる事目白押しじゃん! コウちゃん早くマネージャーになってよね!」 ブツブツと呟きながら運転する木田。 ━━━━━━━━━━━━━━ --その頃、黒崎は? ザーッ……、ザーッ……、 プシュッ カチャッ グビグビ……グビグビ…… コンッ アスファルトに置かれた缶コーヒー。 芦ノ湖を眺められる観光客向けの 小さな駐車場の一角に車を停め しゃがみ込んだ黒崎。 黒崎「あの二人、上手くやってるかな……? ま、オレが心配することでもねっか。 これ吸ってから戻るかな……」 ゴソゴソ…… サッサッ 黒崎「ちっ、ラスイチかよ……」 ヨレヨレのタバコを咥える黒崎。 カチカチッ ボッ チリチリチリチリ…… 黒崎「スーー、…………、ハァー…………」 上を向き煙を吐き出す黒崎。 空に思い浮かぶ今日のみんなの顔。 青山の笑顔、 兎波の寝癖ぐちゃぐちゃの顔、 黒川の拗ねた顔、 楓の明るい笑顔、 押部の温かさ、 緑川の謙虚さ、 木田の誠実さ、 そして響の真っ直ぐさ。 兎波「バーベキュー!」 緑川「バーベキュウッ!」 楓「蚊がいるけどバーベキュー!」 押部「バーベキュー!」 響「バーベキュー!」 青山「バーベキュー!!」 黒川「ばーべきゅーー」 黒崎「うっせぇわ。お前ら……、フッ……」 タバコの煙が黒崎の顔を隠す。 黒崎「幸せ……。 ってこんな感じなのかなぁ……」 空を見ると雲一つない青空……。 黒崎「だとしたら……、オレ……、 今…………、幸せなんだ……」 とニヤける黒崎。 グビグビ…… スーー……。 無くなる缶コーヒー。 黒崎「さてと……、 そろそろ戻るかーーー!」 背伸びをする黒崎。 ヒュッ! 空き缶を投げる黒崎。 カンッ! コロンコロンコロン……。 黒崎「ヨッシャーー!!」 ゴミ箱に入った空き缶。 ルンルンで鼻歌を歌いながら車に戻る黒崎。 黒崎「フンフンフ〜ン、フーー♪♪」 ビシッ 黒崎「離さないから……!」 空気に向かって決めポーズを取る黒崎。 黒崎「決まったッ♡」 ピッピ ガチャ ハンドルを握る黒崎。 黒崎「さて、そろそろ戻りますか」 ━━━━━━━━━━━━━━ --別荘の駐車場 ピッピ ウィーン ガチャ 楓「着いたー!!」 兎波「聞いてた話より広い……」 ガチャ 木田「荷物下ろすの手伝ってよー!」 黒川「あれ?黒崎さんの車がない……」 押部「鍵取りに行く。 って言ってなかったっけ?」 ガチャ トランクからそれぞれ荷物を取り出す。 押部「おい、緑川まだ寝てるぞ。」 黒川「そのままほっとけば?」 押部「せっかくバーベキュー、 バーベキューって言って 楽しみにしてたんだから それは可哀想だろうが……。」 黒川「チッ……、めんどくせぇなぁ……」 黒川「緑川!手伝え!肉無くなるぞ!!」 バッ!! 緑川「それはヤダ!!」 ━━━━━━━━━━━━━━ ジュ〜〜 網や鉄板で焼かれる 肉、ウインナー、肉、肉、肉。 黒川「おい、野菜は?」 緑川「そこ。」 テーブルに放置された キノコ、ピーマン、サンチュ、キャベツ。 黒川「楓!野菜切るの手伝って!」 楓「了解しました!野菜隊長!!」 黒川「野菜隊長じゃねぇわ……。」 響「ジンくん!オレも手伝おうかぁー?」 黒川「頼む。」 響「じゃぁ、オレピーマン切るね!」 黒川「おぉ……。」 そして目線を青山に向ける。 青山は、黒崎と談笑していた。 黒川(何やってんだろ……オレ……。) 青山「レイはいつ帰るの?」 黒崎「明日から仕事だから今日中には。」 青山「ちょっと話したいんだけど。」 黒崎「ここじゃぁ……ダメか?」 青山「出来たら。」 黒崎「じゃぁ、少し抜けるか。」 頷く青山。 サッと動く黒崎。 黒崎「ちょっとビール貰ってくわ。」 ビールを二缶手に取り立ち去る黒崎。 黒崎「あと、ちょっとコウタ借りてくー」 ビールを持った片手を上げ離れていく黒崎。 黒崎「お待たせ。」 別荘の中へと入って行く黒崎と青山。 楓「ねぇねぇ……」 響の肩を叩く楓。 響は気付かずに肉を焼いている。 響「なにー??」 楓「今、黒崎社長とコウタくん、 別荘に入っていったけど、 アレ怪しくない?」 響「あの二人歳も近いし仲が良いからねー。」 楓「あれ?!ワタルは心配じゃないの?」 響「大丈夫。もう彼氏だから……。」 楓「え?!いつから?! ねぇ!いつからよーー!!」 押部「なんだよそこ! 話してないで手動かせ手を!」 楓「響とコウタくんが……、 付き合った。って……。」 カチャン……。 トングが鉄板の上に落ちた。 押部「嘘だろ??いつからだよ……。」 緑川「え?お前ら気づいてなかったの?」 押部「お前は気付いてたのかよ。」 緑川「お前ら童貞と一緒にすんなよ。」 押部「みどりかわーー!!」 緑川「黒川は知ってた?」 黒川「もちろん……。 誰よりもあの二人の近くにいるんで。」 緑川「だよなー。」 黒川「奏は?」 兎波「付き合った。 とは聞いてないけど、 いずれそうなるだろう。 と思ってたからなんも驚きはないかな。」 テーブルに皿を用意する木田。 木田(ちゃんと言えたんだあの二人。 良かった……。) ━━━━━━━━━━━━━━ --30分後 黒崎と青山は別荘から出てこない。 楓「まだ出てこないね。あの二人。」 響「さすがにちょっと心配……かな……。」 黒川「オレ、行ってくる。」 木田「ダメよ。大人の話なんだから。 邪魔しちゃダメ。」 ガチャ 別荘の扉が開いた。 黒崎「ハハハハッ!」 黒崎「心配すんなって!」 パンッ 肩を強く叩かれる青山。 黒崎「ほ〜ら、 FiVE DrinKと兎波奏が待ってんぞ!」 黒崎「奏のフォローも頼むな……。」 黒崎「肉、余ってるか?!」 木田「あ!はい。どうぞ。」 焼かれた肉が乗った皿を差し出す木田。 黒崎「コウタ決めたよ。 中尾のおっさんにはオレから話しとくから。」 木田「え?!」 ポンポン 木田の肩を叩く黒崎。 黒崎「そういうこと……。」 徐々に笑顔が溢れ出る木田。 木田「これで私は自由になれる!!」 両手でバンザイをする木田。 黒崎「自由にはなれない。 寧ろここからが大変だぞ。」 木田「あ、すいません。」 輪の中に入りみんなと笑顔で語らう青山。 黒崎「始まるぞ、伝説が。」 木田「楽しみです。」 黒崎「ウチの事務所も うかうかしてらんねぇな。」 木田「私、VIRESTの曲やダンス 好きですよ。」 黒崎「そんなこと言っていいのかぁー?」 木田「今はプライベートですから。」 黒崎「ありがとう。 なら、オレもプライベートだし言うか。」 黒崎「オレもFiVE DrinKが好き。」 木田「たまにLIVEも行ってるんですよ?」 黒崎「そうなの?!」 木田「黒崎社長も今度、是非。」 黒崎「堕とされるの怖いんだよなぁ。」 木田「大丈夫。もう堕ちてますから。」 黒崎「バレた?」 楓「あそこも仲良さそうね」 押部「意外と気が合うんじゃないか?」 兎波「なんか、社長変わった……」 押部「コウタくんのおかげだな」 楓「コウタくんが現れてから、 みんな変わっちゃったよね。 オレもだけど」 押部「オレも……」 楓「という本人はー?」 押部「イチャイチャしてるな」 楓「してるね」 楓(コウタくんが現れてみんな変わった。 ワタルが明るくなり、笑顔が増えた。) 押部(グループも活気づいて、 みんなコウタくんに惹かれていった。) 緑川(不思議だよなぁ。 なんだろ?あの暖かさ) 兎波(そりゃぁ、 みんなコウタくんのこと好きになるよな。) 黒川(ムカつくけど、応援したくなる。 だから、あの二人ムカつく。 けどなぁ、安心もする。) 黒川「良かったな、ワタル!」 響「なにがーー??」 黒川「なんもねぇよ」 響(コウタくんと出会って色々変わった。 変われた。 みんなも変わったし、オレも変わった。 ホント、コウタくん、だーい好き!!) 青山と腕を組む響。 恥ずかしそうな青山。 ━━━━━━━━━━━━━━ --帰りの車の中 青山「アスカ、運転変わろうかぁ?」 木田「大丈夫。ヤバかったら言うね」 周りを見渡す青山。 緑川「ぐーーー」 押部「スヤスヤー」 楓「ジンちゃん、アーーン♡……」 響「コウタくんダメだよぉ〜むにゃむにゃ」 黒川「………………」 青山「結局、疲れて寝てるんよね」 黒川の頭をポンポンする青山。 ━━━━━━━━━━━━━━ --響の家 ピッ ガチャ 響「ただいまーーー」 青山「ただいまー」 響「おかえり」 青山「ワタルもおかえり」 腕を広げる響。 バサッ 抱き締める青山。 青山「もう誰にも邪魔されないよ」 響「だね」 見つめ合う二人。 自然と唇が重なり合う。 離れる唇。 青山「もう終わり?」 響「んな訳ないじゃん。」 響「無限で♡」 青山「喜んで♡」 重なり合う唇。 漂うカーネーションの香り。 ブッブ、ブッブ…… 《 着信 楓 》 響「もう、うるさい」 青山「大丈夫」 《拒否》 ピッ 二人の唇は離れなかった。 fin

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