2 / 2

第2話 檻の中

「朝だぞ、ルーカス」  大きな熱い手に肩を揺すられて目を覚ますのはもう慣れてしまった。上質な広いベッドの上で、ルーカスは薄い寝着をまとって上掛に包まっていた。 「ん……」 「朝飯ができた。良い匂いだろう」  ベッドのヘッドボードに凭れて座ったオルガが、ルーカスの身体を引っ張り起こして足の間に座らせる。サイドボードに置いてあったトレイを二人の膝の上に置くと、そこには朝食が並んでいた。  柔らかいパン、スクランブルエッグとカリカリに焼いたベーコン、オレンジとリンゴ、温められたミルク。簡単なものばかりだが、オルガがルーカスのために作ったものだ。 「何から食べる?新鮮なフルーツもある」  火傷しない程度に温められたミルクのカップを手に取り一口すするルーカスの背後から、オルガが問いかけてきた。背中から尻にかけて感じる体温を、この期に及んでもルーカスは不快に思ったことがない。  昨日の夜の無体が嘘のように、オルガは甲斐甲斐しくルーカスの世話を焼く。 「なあ、何回も言うけどさ、自分で食べられるしそっちにテーブルあるだろ」 「俺が食べさせたいんだ。ほら、今日はスクランブルエッグが上手くできた。トロトロだ」  スプーンですくって口元へ近づけられ、ルーカスは不承不承唇を開く。オルガの言うとおり、スクランブルエッグはトロリと濃厚で塩加減がルーカスの好みだった。 「ん、……」 「美味いか?」 「うん、美味い」 「そうか」  そうか、の一言でオルガがどれほど喜んでいるかが分かる。ちぎった柔らかいパンを差し出されてそれを口に入れると、つむじの辺りにキスを落とされた。 「あ……」  パンは程よく温められ、中にバターが仕込んであった。噛み締めるとじゅわ、と口中に芳香と塩気が広がる。 「バターを中に押し込んでから温めてみたんだ。ルーカスはトーストに乗ってる溶けたバターが好きだっただろ?」  思わず振り返ると、オルガは噴き出すように笑ってルーカスの頬を撫でる。咄嗟に口の中のパンを飲み込んでしまい、ごくり、とやけに大きな音がした。 「なん、だよ」 「美味しいって顔全体が言ってる」  あからさまに感情を顔に乗せるのははしたない。貴族たるもの、いつでも冷静に鷹揚に構えていなければならない。  そう教わっていたルーカスは、オルガの指摘に羞恥を覚える。 「ルーカスは、素直でかわいいな」  なのに、オルガはことさら嬉しそうに笑う。子供の頃に見せてくれた、蕩けるような笑みを浮かべて。 「お、大人の男にかわいいってお前……」  素直でかわいいなんて、本当に小さな子供の頃に言われたきりだ。それもオルガ以外の人から。  オルガから、そんな風に言ってもらったことはなかった。別に不満はない。  公爵家の次男として、ルーカスは貴族的な立ち居振る舞いを身に付ける必要があったから、素直だのかわいいだの、言われるのは貴族らしくないと言われているようで不服だったからだ。 「ずっと思ってたよ。昔から」  とはいえ実際に言われると、何だか面映ゆい気持ちになる。オルガの表情がそうさせているとルーカスは思う。  愛おしさが溢れんばかりの瞳が、ルーカスを、ルーカスだけをじっと見つめて言う。それが、妙に甘くて暖かくて、落ち着かなかった。 「じゃあ、俺は少し買い物に出かけるから」 「あ、オルガ、俺も……」 「ルーカスはここで待ってろ」  トレイを持ったオルガが、柔らかい口調ででもはっきりと拒絶する。そうして出ていく背中を、ルーカスはベッドの上でただ見つめているしかなかった。  扉はオルガだけを通し、ルーカスの前で閉じる。ガチャリ、というカギのかかる音も添えて。 「…………」  部屋はさほど広くない。キングサイズのベッドと、小さなテーブルと椅子が二つだけ。それで部屋は一杯だ。主寝室ではないのかもしれない。  けれど、そろえられた調度品はどれも一級品だと分かる。実家にあるものに近いからだ。 「カギは……」  ルーカスはベッドから降りると、室内履きの柔らかい革靴を履いて部屋の扉にそっと近づく。  ドアノブに内から鍵を開けるための仕掛けはない。こちらに鍵穴があるということは、本当に外から閉じ込めるための部屋なのだろう。  隣の部屋がバスルームで本当に良かった。排泄の自由まで奪われていたら、頭がおかしくなっていただろう。  ルーカスはオルガによってこの部屋に閉じ込められていた。  念のためにドアノブを捻ってみてもやはり扉は開かない。引っ張ってみてもドアは揺れることすらしなかった。 「はあ……」  もう何度も確認した。ここの鍵はオルガが持っていて、許可がなければ決してルーカスを出しはしない。  最初は、オルガが入ってきたときを見計らって逃げようとした。横をすり抜ける前に捕まって、ベッドに放り投げられた。  扉の陰に潜んで、隙を突こうともした。同じ結果だった。  部屋に唯一ある窓へ向かう。オルガの手によって開けられたカーテンの向こうは、鉄の格子が嵌められていた。  どうやらこの部屋は二階であるらしい。窓の下は土がむき出しの地面だ。例え格子がなくても、飛び降りるには勇気がいる。  景色は木々だけ。遠くに山々が見える。一方向からしか見えないので断定はできないが、森の中のようだった。 「なんで俺がこんな目に……」  実家を追い出されそうになっていたとき、オルガが気晴らしに酒でも奢ると言ってくれてついて行ったらこのざまだ。  ルーカスの記憶は、オルガと二人で街にある酒場で飲んでいたところで止まっている。気が付いたら、この部屋にいた。  この部屋で、最初の記憶はオルガに犯されたことだ。  彼はルーカスの目が覚めるまで待っていたという。初夜を酔っぱらって記憶のないまま終わらせるのは嫌だから、と。  ルーカスは手足を縛られ、訳も分からないままオルガに好き放題された。  その時のことはあまり思い出したくない。脳裏にちらりと浮かぶだけで、羞恥で体が熱くなる。 「くそっ……!」  腹立ちまぎれに鉄格子を殴りつける。もちろんそんなことで鉄格子が外れるわけもないが、ギシ、と鉄格子と木の枠の継ぎ目が軋んだ。  古い建物なのか、木の枠が傷んでいるようだった。 「…………」  ルーカスは痛む手を擦りながら、その部分をじっと見下ろす。  振り返った先には、オルガによって整えられた部屋。部屋に物は少ない。  ルーカスが持ち上げられそうなのは、イスぐらいのものだ。 「イスで殴ればいけるか……?」  だが大きな音が鳴るだろう。  オルガは買い物に行くと言っていたが、もう家を出たのかは分からない。部屋は玄関と反対方向にあるのか、出入りの音は全く聞こえなかった。  椅子で鉄格子を殴れば大きな音が立つ。オルガにバレて、修復されるのはまずい。 「これは、機を伺う必要があるな」  言ってみたものの、差し当たってやることはない。ルーカスは寝着のままぐるりと部屋を見渡し、本棚に近づいた。  どうやって集めた本なのか、ルーカスの興味を惹くものばかりだ。この国の歴史書から、外国の文化や風俗の書かれた本、世界各地への旅行記、珍しい生き物図鑑、役に立つ植物図鑑。そうかと思えば、ミステリー小説や荒唐無稽な冒険譚もある。 「俺に作家にでもなれって言うのか……」  ぶつぶつとぼやきながらも、ルーカスはその中の一冊を手に取る。  一人の男の旅行記だ。若い男は、失恋を機に旅に出た。そんな書き出しから始まる。 「…………」  ルーカスは本から顔を上げないまま、狭い部屋を移動してイスに座る。足を組み、頬杖をついてテーブルの上の本を捲った。ページを押さえる指先でトン、トン、と紙を軽く叩くのは集中しているときの癖だった。  部屋には時計がない。それが逆に、ルーカスの集中力を高めた。 「……ーカス、ルーカス」 「っ!?」  声をかけられて初めて、ルーカスはオルガが目の前に立っているのに気づいた。朝と同じトレイを持って、彼はそこにいた。  鍵を開ける音も、部屋に入ってくる音も聞こえなかった。それぐらい、ルーカスは集中していた。 「びっ、くりした……」 「ずいぶん集中してたな。もう昼だぞ」  本をテーブルの上から退けると、そこへトレイが置かれる。  肉と野菜がゴロゴロ入ったシチューと朝と同じ柔らかいパン、それからフルーツがそれぞれの器に盛りつけられていた。  朝からほとんど動いていないはずなのに、よく煮込まれたシチューの匂いを感じると途端に空腹感が湧き出てくる。 「何を読んでた?」 「旅行記。けっこうおもしろいよ」  若い男は貴族の三男坊だった。婚約者を他の男に取られ、傷心を癒すために旅に出た。最初は、国の端にある港街。潮の香りと快活な市場の様子に元気をもらい、街には出回らない海産物に舌鼓を打ち、酒場の女性と打ち解けた。早朝の砂浜を二人で歩くシーンは、恋愛小説のようだった。 「魚を生で食べるらしい。生臭くないんだろうか」 「どうだろう、今度やってみるか?」 「嫌だよ。これは獲れたてだからできることだ。こっちの魚じゃ腹を壊す」  ルーカスの座る側に、カトラリーはない。朝と同じように、オルガが使うスプーンで一口ずつ食べさせられる。パンをちぎって口に入れるとき、太い指先が触れて指先と爪の硬い感触にドキリとした。 「……、街娘っていうのは、ああも簡単に靡くもんなのかな。一晩酒を飲んだだけで」 「何か通じるものがあったんだろうさ。金や得じゃない、二人の間にしかない何かがな」 「わからないなぁ……、なんだよオルガ」  偶然出会った二人。とはいうが、夜に酒場で一人で飲んでいる女性などルーカスはお目にかかったことがない。そういう女は決まって商売女だが、旅行記には女性は市場で働いていると書いてあった。つまりは平民だ。  二人はどんなことを話したのか。本文には夜通し語り合ったとしか書いておらず、内容は分からない。どんな会話をすれば、朝に寄り添って砂浜を散歩する仲になるのか。しかも仲睦まじく、手を繋いで、だ。  ルーカスが考えている間にも、オルガはせっせとルーカスの口に食事を運ぶ。歯ごたえのある鹿肉は香辛料で煮込まれて柔らかく、濃厚な味がする。パンによく合う濃い味で、一緒に煮込まれている野菜なんかはトロトロだ。 「いや?お前が夢中になってて楽しそうだから、俺も楽しい」 「そうか……?」 「ああ」  確かにオルガの言葉通り、久しぶりに読む本は面白かった。内容は面白おかしい失敗談や珍道中といったものばかりだが、それはそれで息抜きになる。  実家では常に何かしらを学ぶための本しか読んでいなかったルーカスにとっては、とても久しぶりのことだった。 「っ」  ぽん、と頭の上に手が乗せられる。そのまま梳くように髪を撫でられて、ルーカスは俯いてシチューを飲み込んだ。  オルガに触れられるのは慣れている。小さい頃から頻繁にしていたので、それが当たり前になっているだけだ。オルガから触れられれば、ルーカスはそれを拒否することはなかったし、逆も然り。 「ッ」  けれど今はいつもと違う。オルガの触り方にあからさまな甘さがある。髪から滑り降りた指先が、ルーカスの首筋を撫でて鎖骨をくすぐった。指先の熱が移ったのか、体がじわ、と熱を持つ。 「っオルガ」 「何だ?」  何でもないようにオルガはルーカスに問う。何でもないわけがないのに。この触り方は、夜、ルーカスの身体を弄り回すときの手つきだ。散々に慣らされた体は、ルーカスの意思と関係なくその動きに反応した。  朝が来る回数を数えて今日で9回目。多分ではあるが、この部屋に閉じ込められて9日ほどが経っているはずだ。オルガは毎日、夜になるとルーカスを抱いた。最初の夜に犯されてから、ルーカスは毎日体を開かれた。  この鎖骨に触れている指先が、どんな風に肌をすべり、急所を見つけ出し、または思ってもみない場所で快感を得られるようにしたのかを、まざまざと思い出してしまう。 「ッ……♡」 「ルーカス、フルーツがまだ残ってる」  薄っぺらな寝着の上から乳首を撫でられ、ルーカスの身体が僅かに揺れる。細められたオルガの目に、薄暗い欲が見え隠れした。  そのままルーカスから手を離したオルガが、小さなフォークに刺したリンゴを唇に触れさせる。口内に押し込まれ、皮ごと噛んだ。甘酸っぱい果汁が広がり、唾液と一緒に飲み込む。 「うまいか?」 「うん……」  緑色の瞳にじっと見られている。欲を覗かせた緑色の瞳が、ちょっと触られただけで、ツン、と立ち上がった乳首を見ている。ルーカスにも分かるようにそうされて、意識してしまう。気を散らそうと大きく息を吸ったら、布が擦れて乳首に刺激が走った。 「食べたら散歩に行こう。あまり閉じこもるのも良くないだろう」 「ん、うん……♡」  じっとりと湿った視線で見てくるくせに、オルガは素知らぬ顔で言う。どの口が、と頭の隅では思うのに、ルーカスの口は果物を咀嚼するだけだ。  確実に作り替えられている、そんな思いが浮かんですぐに消えていった。 *  昼食を食べた後、少し休んでからオルガは本当にルーカスを外に連れ出した。  さらりとしたシャツとズボンを着せられたルーカスは、靴さえオルガに履かされた。幼い子供ではないのだから、着替えぐらいは自分でできると言ってもオルガが引かなかったからだ。あまり怒らせて外出がなしになっても困るなと思って、それ以上強くは言えなかった。 「今日は天気がいいな」 「……あぁ、そうだな」  ルーカスの部屋はやはり二階で、屋敷はそれほど大きくない。周囲は深い森で間違いないようだった。踏み固められた砂利道が屋敷の玄関の前から森の向こうへ続いており、そばには厩もある。  オルガは砂利道ではなく、屋敷の裏に回って森の中を進み始めた。こちら側は砂利道ではないものの、人が通る場所だけは草木が刈られているようで、柔らかい草を踏みしめて歩く感触がなかなか面白い。辺りは背の高い木に囲まれて、枝や葉の隙間を縫って落ちてくる日の光が心地よかった。 「なあ、オルガ」 「ん?」  散歩はいい。環境も悪くないし、気温も最適だった。けれどルーカスは、うんざりした顔で手を持ち上げて見せる。  ジャラリ、と自然の中に似つかわしくない音がして、手首に重さがかかった。手枷だ。繋がっている鎖の先はオルガが握っている。 「何だよこれは」 「ルーカスはすぐにあちこち行くだろ?危ないからな」 「あのさ……」  そこで、ルーカスは言葉に詰まった。どう答えたらよいのか、どう答えるべきなのか。  手枷を付けなくても逃げたりしない、なんて、明らかな嘘だしオルガも信じないだろう。オルガに嘘をつくのも気が引けたし、意味のない嘘をつく気にもなれなかった。 「ルーカスはあの時も大丈夫だと言って湖に落ちただろ?」 「そ、そうだけど……そんな子供の時のこと」  オルガがルーカスを閉じ込める目的でここへ連れてきたのは明らかだ。言葉にしてオルガがそう言ったことはないが、行動が物を言っている。  散歩に連れ出すのも、ルーカスのご機嫌取りだというのは分かる。ルーカスがこの生活に納得していないのは、オルガも知っているだろう。 「結局、あの後もルーカスは泳ぎを覚えなかった」 「っ、泳ぎなんていらないだろ!街には泳ぐようなところはないんだから」  湖に落ちて溺れかけたことで、ルーカスは今でも泳げない。水に入るのが怖いのだ。息ができなくて、どんなにもがいても沈んでいく、あの日浮かんだ死の気配を振りほどけないでいる。  だがそれを人に知られるのは癪で、いつもそうやって泳ぎは必要ないと切り捨ててきた。オルガ相手にそれをやっても、通じないと分かっているのにだ。 「そうか?あぁ、この辺りはあの湖の近くなんだ。暑くなったら傍まで行ってみてもいいな」 「へえ、そうか」  夏の暑さに負けたルーカスが療養として過ごした日々は、溺れかけるという事件もあったが楽しい日々だった。  母親と乳母、そしてオルガ。四人だけの生活は、父親の目も使用人の目もなく誰にも振る舞いを咎められない。次男とはいえ公爵家としての自覚を求められてきたルーカスにとってひと時だけの自由な日々だった。  水は怖くても、あの湖のことはよく覚えている。今と同じように、木漏れ日の差し込む森を抜けた先、開けた場所で日の光を跳ね返してキラキラと輝く水面。 「懐かしくなってきた。なあオルガ、今から行こう」 「また今度な」  はぐらかすオルガに、ルーカスは唇を尖らせる。別に逃げようと思っているわけではない。本当に、あの湖が懐かしくて、また見てみたくて言っただけだ。けれどそれを口に出すのは、この生活を受け入れたと思われるようで嫌だった。 「さあ、そろそろ帰ろうか」 「え?もう?」 「ルーカスは久々に外に出ただろ?あまり長くいると疲れてしまうし」  もう屋敷は見えないぐらいに離れており、辺りは木々に囲まれている。日が傾いてきているのか、木漏れ日は赤みを強くしていた。 「もうちょっとだけ、なあオルガ」 「ダメだ」  手枷がついていても、やはり外というのは室内とは違って開放感がある。少しでも引き伸ばしたくて言い募るが、オルガは首を横に振った。  幼い頃も、我儘を言うルーカスを突っぱねるのはいつもオルガの役目だった。こういうとき、彼は絶対に引かない。 「でも」 「ルーカス、ほら行こう」 「ッあ……!」  ぐい、と手枷を引かれて、オルガの方へ倒れそうになる。危なげなく抱きとめたオルガの腕が腰に回って、さらに体を引き寄せられた。  受け止めてくれたオルガの身体は硬くてしっかりとしていた。腰に回った腕も太くて、ルーカスが身を捩ることもできずに密着させられる。ルーカスのほうが背が低く、臍の下辺りに触れるモノに気づいてしまった。 「あ……」  オルガのチンポはまだ萎えたままだが、その大きさは十分だった。皮膚の下、腹の奥に収められるそれの感触を思い出して、触れた下腹からぞくり♡と疼きが込み上げる。  そうなるともう、なし崩しだった。腰に回るオルガの手が腰を掴んで後ろから突き上げられたことや、その大きな体に組み敷かれて全身でオルガの素肌を感じたことを思い出してしまう。 「ルーカス……?」  腰に回っていた手が背中に這い上がり、抱き合うような姿勢で耳元に声を吹き込まれた。さっきまでの声とは違う、湿り気を帯びた声だ。 「こんな外で……思い出した?」 「あ……♡」  柔らかい唇が耳元に触れて、ルーカスは肩を竦める。くすぐったいだけだったはずなのに、漏らした声は甘さが混じっていた。  オルガの両手がルーカスの頭を挟む。上向かされて、唇を押し付けられた。息苦しくなったところで口を開けた隙間から、ぬる、と舌が口内に入り込んでくる。 「っんぅ、ん、……ッ♡ん、ふ……ぅ♡♡」  顔を固定した手が耳を塞いでいて、口の中で舌の絡む音が響く。ぐちゅ♡ぬちゅり♡と生々しい音が直接頭の奥に届いて、抵抗しようと胸についた手に力が入らない。  音がするたび、舌同士が擦れ合うたびにうなじの辺りをぞわぞわとした感覚が走った。脳髄に溶けたそれが腰に滑り落ちて熱を持つのがもどかしく、膝を擦り合わせて耐える。 「ぅ……、っん、ぁ゛……♡」  熱い舌が出ていっても、ルーカスは薄く口を開いたままだ閉じられない。熱にぼやけた頭でオルガを見上げ、その唇から自分を貪っていた舌先が覗くのを見つめているだけだった。 「発情した顔してる」  二人の唾液塗れの唇を親指で拭われて、笑みを含んだ声で言われる。揶揄われていると分かっているのに、頭は働いてくれなかった。 「こんなところでしたら、誰かに見られるかもしれないな」 「っ……」  そこまで言われてルーカスはようやく思い出した。そうだ、ここは外だった。深い森の中ではあるが、どこかにルーカスたちの住む屋敷と同じような建物があって人が居るかもしれない。 「お、おい」 「大丈夫だ。誰もいない」  狼狽えて引こうとする腰を、オルガの腕が捕まえる。逃げられなくなったルーカスの足を割って、オルガの膝が股座へ割り込んだ。そのまま膝を股間に押し付けられる。 「っやめ、オルガ!あ……ッ♡」  ぐり♡と膝で圧し潰されたチンポに堪らず上げた自分の声がやけに艶めいていて、ルーカスは慌てて片手で自分の口を覆った。  今までオルガに触れられ続けていた身体は、連日の行為の記憶でルーカスの意思に関係なく体を昂らせる。 「ふふ、声出してもどうせ誰も来ないさ」 「んんっ♡」  爪先立ちになっても、オルガは容赦なくルーカスのチンポを圧し上げる。自分の身体とルーカスの硬い太腿に挟まれ、ごりゅ♡ぐりゅ♡と揉みくちゃにされると堪らない愉悦が込み上げた。 「ん、ん゛っ♡ふ、ぅ゛……っ♡♡」  口を押さえる手の下で、声がこぼれる。上がった息の間から漏れるそれは、興奮した男のそれというよりは羞恥と媚の混じった嬌声だった。 「こんな外で、興奮して……はしたないな」 「っん゛♡ん゛♡ぁ……っ♡」  詰るような言葉も、欲情を秘めた低い声に喜色が混じっている。オルガは、外で抱かれた記憶を思い出して発情した自分を喜んでいる、そう思うと羞恥と共に胸の奥が熱くなるのも感じた。 「ん゛っ♡ぃ、ぅう……っ♡♡」  オルガの両手が、ルーカスの尻を掴む。布地の上から大きな手で掴まれ、拡げるように揉みしだかれる。強く握られると同時に太腿でチンポを圧し潰され、痛みにも似た強い快感にルーカスの腰が震えた。 「あっ……!♡♡」  ビク、と強張った腰が、オルガの太ももにチンポを擦り付けるような動きをする。腰から頭に劈く刺激に、ルーカスはオルガに両手でしがみついた。 「っ……ぁ゛、う♡」  じぃん……♡と痺れるような余韻を残して、快楽が引いていく。下着の中で勃起し先走りを滲ませたチンポが、脈打っていた。 「ん……♡っぅ゛♡」  余韻はすぐにもどかしさを連れてきて、ルーカスは熱いため息を零す。気が付くと、オルガの手も足も止まっていた。 「お、るが……♡」  伏せていた顔を上げて見上げる。視線が絡んで、それだけで胸の奥に期待が膨れ上がる。 「ルーカス」 「ぁ……♡」  緑色の瞳と目があったまま、ゆっくりと唇が重ねられる。顔を背けないと、と理性が叫ぶのに体は動かなかった。 「ん♡……ッん、ぐぅ♡♡ん゛♡ふ、ぅ゛♡ん゛♡ん゛♡」  柔らかい粘膜同士が擦れる。ザワつくような感覚が、ルーカスを突き動かした。  最初は遠慮がちに、へこ…♡へこ…♡と腰を揺すって、チンポをオルガの太ももに擦り付ける。オルガに舌を吸われ、口内を貪られながら拙い腰振りでチンポを擦っていた。 「んっ♡ン゛♡ぁ゛は……あ゛っ♡ぅ゛ん♡♡」  足りない、もどかしい、もっと、と脳裏に欲求が閃く。ぬと……♡と唾液の糸を引きながら唇が離された後も、ルーカスはオルガの首に手を回してより密着するようにしがみつき、つま先立ちの足は逃げるためではなく押し付けるように体重をかけた。 「っふ♡っふぅ゛、うッ♡ん゛ぅ♡う゛っん♡♡♡」  オルガの指先が口内に差し入れられ、熱く蕩けた粘膜を掻き回す。その硬い感触すら気持ち良くて、ルーカスは自分からも舌を絡めた。そうしながらオルガの太ももに腰を叩きつけるようにして激しくチンポを擦り、グリュ♡グリュ♡と捏ねる。どんどん大きくなっていく音は、卑猥な水音に変化していった。 「ん゛っ♡ん゛♡お゛っ、ん゛っ♡ぉ゛ん゛ッ♡♡♡」  膝に力が入らなくなって震え始めたルーカスの背中を、オルガの大きな手のひらが支えた。口内を掻き回していた手がウエストの隙間から入り込んで、尻肉の奥へ伸びてきた。 「ふ、……♡ぉ゛ッ……♡♡♡」  滑った指でアナルをなぞられ、ぞわぁっ……!♡と全身を抜けていく愉悦に身体が強張る。下半身から駆け上がってくる気持ち良さにルーカスの思考は持っていかれ、もう射精のことしか考えられなかった。ヒクつくアナルを押し拡げられる感覚すら、どうしようもなく気持ちいい。 「~~っっ!!!!♡♡♡」  オルガにしがみつく腕に力を込めて、ルーカスは足をぴん♡と突っ張らせる。声にならないアクメ声を上げ、オルガの鍛えられた太腿にチンポを押し付けて射精した。  強張った全身が何度か痙攣するのと同じタイミングで、腰の奥から電流のような快感が迸った。チンポが下着の中でピュク♡ピュク♡と小さく弾けて、ザーメンを噴き上げる。噴き上げるタイミングに合わせてアナルが収縮し、オルガの硬い指を締め付けると得も言われぬ悦楽が腰を蕩けさせた。 「お゛、……ぅ゛、ッ♡♡♡」  オルガの腕の中で力が抜けたルーカスは、情けなくチンポをオルガの太ももに擦り付けながら小さく震えていた。指でアナルを掻き回されて、絶頂感を長引かされているせいだ。 「ッ……ほ、ぉ゛……!♡♡♡お゛、っぐ……♡♡」  ブルッ♡と背筋を震わせて、また腹の中の指を締め付ける。体勢のせいで、オルガの指はアナルの浅い場所をほじくるばかりで奥までは到達しない。当然、オルガのチンポとは長さも太さも雲泥の差で、それがルーカスの腹の奥を疼かせた。 「ふぅ゛、ぅ゛……♡♡ぅ゛、あ゛……♡♡」 「……こっちにまでザーメンが垂れてきてる。ほら、音がこんなに」 「んぃ゛っ♡あ゛ッ♡ぁん゛っ♡♡あ゛♡」  ちゅぶ♡ちゅぼ♡と音を立てて、アナルに指が出し入れされる。服の下で噴き上げたザーメンが流れて、ルーカスのアナルを犯すオルガの指に絡んでいた。ヒクヒクと収縮しながらオルガの指を締め付けるが、それだけでは足りるはずもない。腹の奥が、もっと大きな、圧倒的な質量を求めていた。 「お、おるが……♡ぁ、っあ゛♡」 「ん?」  射精したばかりのチンポを太ももに擦り付けながら、ルーカスは切羽詰まった声でオルガに訴えた。遠慮がちに、そっとオルガの股間に手を伸ばす。  そこが自分と同じように勃起しているのを布地を圧し上げる硬い感触で悟り、全身が甘く痺れるような期待に震えた。 「な、ぁ♡ぁ゛♡ッんひぃ……!!♡」  オルガの指が二本に増え、ルーカスのアナルを拡げる。自分のザーメンを使って中を擦られ、引き攣った悲鳴が漏れた。 「ん゛ぉッ♡♡ぉ、ほ……♡♡」  肉壁を擦られる愉悦にルーカスの体が震えたのは一瞬のことで、すぐに奥が切なくなってしまった。抜けていこうとする指を、アナルの縁がキュッ♡と締め付ける。  堪え切れず、大胆にもオルガのチンポを服の上から握り擦り始めてしまった。その大きさに触れて、さらに体が飢えを訴える。 「ぁ……、あ゛♡オルガ♡おる、がぁ♡」 「外で男のチンポ握って扱くなんて、誘い上手になったな」 「だってぇ♡あ゛ぅ♡っんん゛♡」  外にいるにもかかわらず、オルガに抱かれたのを思い出しただけで発情した。我慢しきれずに自分よりも逞しく鍛えられたオルガの太ももにチンポを擦り付けて、アナルをほじられながら無様に射精し、満足しきれずにオルガのチンポに触れて扱いてしまってさえいる。  頭の冷静な部分がやめろと叫ぶのに、火のついた身体はもう止まりそうもなかった。 「ここじゃあルーカスの望みを叶えてあげられないから」 「んぁ゛っ♡♡」  じゅぷ♡と引き抜かれた指先は、ルーカスの体液で濡れそぼっていた。目の前でそれを見せつけられ、感じるザーメンの匂いに興奮が煽られる。 「さあ、そろそろ帰ろう。な?ルーカス」  先ほど言われたのと同じ言葉に、今度は抗えなかった。  オルガに抱えられ、ルーカスは屋敷に連れ帰られた。そのまま元の部屋に連れ込まれ、ベッドの上に放り出される。  乱暴に落とされたのに、目の前のオルガが見せつけるように下衣をくつろげるから、そこから目が離せなくなった。 「誘われてるのは俺の方だな……」  下着をずらして出されたチンポは、血管が浮き立つほどに勃起して先端から先走りを滲ませていた。マジマジとそれを見下ろして、見慣れないのはなぜだとふと引っかかる。 「お、おるが……」 「ん?」  上の服も脱いだオルガが衣服をベッドの下に放り投げる様も、全て見えている。  これまでは夜だったため、燭台の灯りしかなく薄暗かったせいだ。夕暮れ近くではあるがまだ外が明るく、カーテンも開け放したままの部屋ではオルガの身体も自分の身体も全てが晒されている。鍛え上げられた肉体美を目の当たりにして、ルーカスはゴクリと喉を鳴らした。 「あぁ、すまない。忘れてた」  サイドボードの引き出しに手を伸ばし、ガラスの小瓶を取り出してボードの上に置いたオルガがルーカスの腕を掴んで手枷に手を伸ばす。鍵で外されたそれもベッドの外に追いやられ、ガチャンと床にぶつかる音がした。 「明るい、から……」  ぎゅ、と身を縮こまらせるルーカスの腰に手を伸ばしてウエストの紐を緩め、オルガは下着ごと下衣を引き抜いてしまう。日に焼けない白い肌が晒され、自分の足がオルガの腕ぐらいの太さしかなく筋肉の隆起すらないことに恥ずかしくなった。 「明るいと、ルーカスが全部見えていい」 「ッお、おれは……!ぁ♡」  拒否する前に、ルーカスの膝を大きく割ったオルガが腰を寄せてくる。硬く張った亀頭がアナルに押し当てられると、もう何も言えなかった。 「大丈夫だ」 「っ~~……っ♡」  サイドボードの上に置かれていた小瓶を取ったオルガが、見せつけるように中身を垂らす。ツ……、と細い糸のように落ちたそれは、淡い花の香りを伴いながらルーカスの会陰の辺りに触れる。冷たい香油の感覚に身を竦めたが、そこをぬ゛りゅん♡とオルガのチンポがぬめりをなじませるように擦った。 「あ゛ぅ♡ッう゛ぅ……♡♡」  膝裏を両手で押さえルーカスの足を開かせているオルガが、腰の動きだけでチンポを擦り付ける。アナルだけではなく会陰を圧し上げ、睾丸を押し退けて、チンポを擦った。ゆったりとした官能的な雄臭い動きに、ルーカスの興奮が煽られていく。 「ぁ、♡ふ、ぅん゛♡おるが♡ぁ゛、あ゛♡」  圧倒的に大きさの違うチンポに刺激されて、ルーカスのチンポはピクピク♡とのたうちながら勃起し始めた。ザーメンと香油が混じり合い、ルーカスの下腹を濡らしていく。 「お゛♡お゛♡ぅ、ん゛♡」  焦れて腰を揺すろうにも、オルガの手で押さえ込まれた足と伸し掛かられている腰で上手く動けなかった。  同じ男であるはずのオルガの身体はルーカスより一回りは大きく、しっかりと分厚い筋肉が全身を覆っている。明るい場所で見てみればあちこちに傷跡もあり、彼が騎士としての職務を忠実に全うしていたのだと分かった。  その鍛え上げられた身体が、ルーカスに伸しかかってくる。ヒクついてチンポを求めるアナルに狙いを定めた亀頭が、ぐ、と押し当てられた。 「ぅ゛、♡ひぃ……♡おる、が……ッ♡」  にゅぐ♡と硬い亀頭が肉輪を押し拡げる。ぞわぁ……♡♡♡と尾てい骨から震え上がるような快感がせり上がってきた。指とは比べ物にならない太さに開かれ、無意識に腰が逃げようとする。 「ッ……――ぉ゛、お゛ぉ゛……ッッ!!♡♡♡」 「……ッ、ふぅー……」  ゆっくり、ゆっくりとチンポが入ってくる。オルガは夜毎の行為でも、挿入だけは殊更に時間をかける。それは柔らかな粘膜を傷つけないように、というよりは己のチンポでルーカスの隘路を開いていると実感させるためのように思えた。 「お、る……が♡」  硬いチンポに肉壁を擦り上げられ、じっくりと拡げられる。オルガの思惑通りに、少しずつ開かれる肉壁は絶え間なくルーカスに快感を与えた。 「あ゛ッ♡あ゛ッ♡そこッぉ゛♡♡」  張り出したカリ首が前立腺を抉る。チンポの裏側を擦られ、ぴゅく♡とルーカスのチンポから先走りが飛んだ。待ちきれずに媚肉がチンポにしゃぶりついて締め上げてはそこから広がる愉悦を貪り、チンポをピクピクさせる。 「おるがっ♡おるがまって♡」 「ん、っ……?」  込み上げる射精感を堪え切れなくなりそうで、とうとうルーカスがオルガの腕を掴んで制止した。止めてほしいと言いたかったのに、ルーカスの膝裏を押さえたままのオルガの顔が性欲に歪んでいるのを見てしまった。 「あ゛……ぁ♡♡」  蕩け切った肉にチンポを扱かれ、時折息を詰めながら堪えている。少し潤んだその目が、うっとりと細められていた。そんな陶酔した顔を見せるのに、息を詰めるたびに鍛えられた腹筋が隆起し、大きな手でルーカスの足を押さえて開かせている様は雄の力強さがあった。 「痛い?」 「ちが、ぁあ゛……♡♡♡」  オルガが自分に興奮している。明るい室内でまざまざと見せつけられ、ルーカスの胸の内を満たしたのは紛れもない悦びだった。じゅわ、と溶けるように体が解け、チンポを締め付けていた肉壁が奥へ誘い込むように蠢動する。 「奥まで入れるぞ」 「っまって♡ま、ッあ゛♡♡あ゛、ッぃ゛……♡♡」  半ばほどまで入っていたチンポが、ずぐうぅ~~……♡♡♡と押し込まれた。同時にオルガの上体がルーカスの上に覆いかぶさってきて、体重をかけられる。 「ぐっ♡♡♡ぅ゛♡い゛ぐぃ゛…ッぐ、ぅ゛う゛……!!!♡♡♡♡」 「ん゛ッ……!!」  びゅびゅっ♡とルーカスがチンポから噴き上げたザーメンが、二人の腹に散る。顔を真っ赤に茹らせてブルブル震えたルーカスが全身を強張らせ、ろくに身動きも取れないまま、アナルにチンポを挿入されただけで射精した。反動で絞り上げられたオルガが、ルーカスの足を押さえつけたまま唸る。 「ッ……♡♡ッは♡あ゛ッ♡あ゛ッ♡……ッひ、ぐゥ♡♡」  体が跳ねるたびに肉壁がチンポを食い締め、絶頂感の波を齎す。射精してもなお、アナルを埋めているチンポがルーカスのアクメを長引かせた。 「はあ゛ッ♡は、ぁ゛♡おるが♡♡」 「……入れられただけでイったのか」  チンポを挿入されただけでザーメンを噴き上げたルーカスの醜態に、オルガの顔が雄臭い笑みに歪む。ルーカスのチンポを易々と包み込む大きな手に撫でられ、下腹に散ったザーメンを擦りつけられる。射精直後の敏感なチンポを嬲られて、ルーカスの内側が媚びるような動きでチンポを締め付けた。 「お゛、ほぉ゛っ?!♡♡」 「っ……堪え性までなくなったか?ん?」 「や゛め♡ぇ゛あッ♡あ゛、ぅ゛♡」  ずり♡ずり♡とチンポを擦られ、先端を親指で捏ねられる。びりびりと強烈な刺激は苦痛さえ伴ってルーカスを襲い、オルガの腕を握っていた手に力を込めた。 「っお゛♡おまえが♡ッやめないからだ♡ぁ゛♡もっと加減しろぉ♡」 「へえ?」  ひいひいと息を乱しながらついた悪態を、オルガは鼻で笑い飛ばした。そうして、上体を倒して覆いかぶさると膝裏を押さえていた手でルーカスの身体を抱え込み、身体を反転させて上下を入れ替えてしまう。 「何ッ♡や、っう゛…♡♡ぉ゛お゛ッ……!♡」 「ならルーカスが上になって動けよ」  突然下から串刺しにされ、自重でチンポが奥を叩いた。入れられただけで射精するほど欲していたチンポでみっちりと開かれ、ルーカスは腹の奥の重たい快楽に陶酔する。狭い肉の隙間を割り開き、腸壁を圧し上げる太い亀頭に思考が鈍る。 「ひッ♡ぃ゛ッ♡あ゛……ぁ♡♡う゛♡う、ぅ゛~~……♡♡」 「自分で加減して動けよ、ほら」  くにゅ♡と腰を擦り付けるように揺らすと、オルガのチンポが奥を捏ねた。染み出るような気持ち良さが腰からせり上がって、つい何度も腰をくねらせる。 「お゛♡お゛ぉ♡お、るが♡ぁ♡あ♡」 「なあルーカス、そんなので俺が満足するとでも思ってるのか?」  オルガの胸元に両手を置いて、控えめに腰を振るルーカスに挑発的な言葉が投げられた。同時に、中途半端に閉じられた膝を割り開かれ、ザーメン塗れのチンポもオルガのチンポを咥え込むアナルも曝け出された。 「ッオルガ♡」 「っしっかり、腰を振れ」  文句を言おうとした声が途切れる。オルガの手が腰を掴んで持ち上げたからだ。抜けていくチンポに肉筒を強く擦られ、文句は獣のような喘ぎに変わった。 「んん゛っ♡♡ぉ゛お゛……ッ♡♡♡」 「抜いたら入れる」 「ッ、お゛ん゛ッ!!♡♡♡お、っほ……ぉ♡♡♡お゛ッう゛!!♡♡♡」  どちゅん♡と腰を押し下げられ、オルガのチンポを一番奥まで迎え入れさせられる。下品な悲鳴が止められないまま、次の動きに備えて力を込めようとしたルーカスだが、それより早くオルガの手が再びルーカスを持ち上げた。 「ま、ぁ゛あ゛……♡♡」 「待たない、自分で動けるだろルーカス」  ルーカスの両手はオルガの両手に握り込まれ、指を絡められる。そのせいで少し前屈みになったルーカスは、それでも言われるがまま震える膝に力を込めて腰を上げた。 「ッほ♡ぉ゛お゛♡ッ……んぉ゛ッ!!♡♡ぉ゛お゛……♡♡お゛♡♡♡おっ!!♡♡♡」  またゆっくり腰を下ろそうとしたのを咎めるように、下から突き上げられる。  奥を叩かれるたび、頭の中まで快楽に沈められるようだった。オルガのチンポは抜けるときも気持ちいい場所を擦ってくるのもあって、もはや自分で腰を落としているの突き上げられているのかも分からなくなる。 「お゛っ♡あ゛ぁ゛ッ♡おるがッ♡ひっい゛♡♡っぐ……ぅ゛!♡♡」  オルガと繋いだ手を支えに、膝を思い切り開いたルーカスは腰を上下に振っていた。さっきまでの恥じらいの混じった腰振りとは違う、ガニ股で杭打ちのようなピストンだった。アナルでチンポを咥え込み、快楽を貪る雌の動きだ。 「っんぅ゛!♡♡ぅ゛あ゛♡あ゛♡あ゛ッ♡」 「ルーカス、……ッ……」  オルガが下から突き上げるのを止めていることにも気づかない。ひたすら尻をオルガの腰に叩きつけ、ごちゅん♡ずちゅ♡と突き入れるチンポを肉壁が舐めしゃぶる。腹の内を満たす快感に夢中だった。 「ぎも゛ぢぃッ♡♡チンポ♡ごちゅごちゅ♡♡ぃい゛♡」 「もう腰止まらないな……」  するりと絡んでいた指が解かれ、ルーカスはオルガの肩に手をつく。さらに前屈みになり、膝が開いてチンポが奥を抉った。脳髄を溶かす悦楽に、ルーカスの声が裏返る。 「お゛♡ほォ゛ッ!!♡♡おるがの♡チンポ♡奥♡お゛♡♡当たって♡♡♡あ゛う゛♡♡」  チンポがどこまで入っているのか分かるように、オルガの手がルーカスの腹部を撫で、そこを示して指先が沈んだ。みっしりと内側を埋めているチンポの形が、外からも分かりそうなぐらいに下腹が盛り上がっている。肉棒を押し上げた手が、そこを押してチンポに圧をかける。 「お゛ッん゛♡♡ちがう゛っ♡おるがッ♡♡ぁ゛う゛ッ♡」 「何が違う?こんなに良さそうな声出してるのに」  気持ちいいのに、あと一歩が足りない。まだ自分の弱点を把握しきれていないルーカスは、ただ腰を振り下ろしてチンポで肉筒を擦るしかできない。そのせいで、ルーカスの求める絶頂に届かないでいた。チンポだけはビクビクと震え、先端から先走りを滲ませるばかりだ。 「お゛っほ♡ぅ゛♡♡おるが♡♡い゛ッ♡イけなぃ゛♡♡」 「ほら、ここだろ?」  腰に角度を付けて突き上げられ、チンポの角度が変わる。ごりゅんっ♡と抉られた場所から痺れ上がるような強い感覚が突き抜けて、ブルブルと膝が震えた。 「ひっぎぅ゛ッ♡♡……ッぉ゛♡♡♡ぞご♡ぞごぎも゛ぢぃ゛♡♡なんでッ♡♡♡」 「奥でしっかり感じてるな、いい子だ」  バチュンッ!♡バチュンッ!♡と突き上げられるたびに頭の中で火花が散る。あんなに腰を振っても自分では達することができなかったのに、オルガに数度突き上げられただけで体が昇っていく。 「い゛ぐっ♡イぐイぐっ♡ぅう゛っ!♡~~……ッッッ!!♡♡♡ぉ゛!?!っんぎぃ!!♡♡」  ぎゅうう、と身を丸めてメスアクメに達したルーカスの肩を、オルガが強く掴む。先ほど腹の上に乗せたときと同じように瞬く間に上下を入れ替えられ、上から押し潰すように押さえ込まれた。チンポが奥にまで入り込んでいるため、メスイキで限界まで敏感になっている肉筒が勝手にチンポを搾り上げる。 「ッお゛、ぐ!!♡♡ぅう゛……!♡♡♡ひぅ゛ッ!♡」  アクメも収まらないうちに腰を振られ、痙攣する肉壁を固いチンポが蹂躙していく。縋るものを探してさまよう手が、頭の下にある枕を強く握りしめた。快感から逃げようと捻る首筋に噛みつかれ、ピクンと体が跳ねる。 「ぃ゛、ぅ゛~~っ!!♡♡♡おるが♡ぉ゛あ゛ッ♡♡まらイッてう゛ッ!♡♡お゛ほッ♡」 「あぁ、かわいいな、ルーカス……」  耳元に情欲の蕩けたオルガの吐息がかかり、ルーカスは背筋を戦慄かせた。雄の興奮に濡れた低い声は、ルーカスに淫らな劣情を灯す。 「お゛っ♡お゛ん゛っ♡うッ、ぅぅ゛う゛~~ッ!!♡♡♡」  ビクビクと跳ねる体を抱き込まれ、全身で密着した状態で揺さぶられる。足まで絡みついているせいで、内側が押し上げられて圧迫感が増した。 「ぅ゛ッ……!♡♡ぉ゛ッ♡ぅう゛ッ……ッ…!!♡♡」 「またイく?」 「ま゛だいぐっ、う、ぅう゛……!!♡♡いぐいぐっいぐイぐ……っ!!♡♡」  蠢動する肉筒を撫で擦られると、腹の内に渦巻く愉悦が爆ぜる。目の前がチカチカして、下腹が収縮した。背筋を仰け反らせてまたメスイキに堕ちる。 「っほ……お゛ぉッ……!!!♡♡♡~~ッッ……!!!♡♡♡」 「っふ……!」  もう許して、とばかりに粘膜がチンポを締め付けるが、それを押し退けてオルガはピストンを続けた。直接頭の中を掻き回されるような快楽を次々と与えられ、ルーカスは泣きじゃくりながら何度も何度もアクメを繰り返す。 「んぉ゛♡お゛ッ♡♡お゛ッほ♡♡お゛ッ♡ん゛、ぅ゛う……ッ!!!♡ん゛ッ♡♡ひっ♡ひぃっ♡♡んぎッ……ぃい゛ッッ!!♡♡♡」 「っ、何度もイける、ようになったな……ッ」 「ッッひぐっ♡♡ぉ゛お゛ッ♡♡おるがぁ゛♡ぉ゛、ぅ゛っ♡♡ひぃ゛ィッッ♡う゛ぅう゛…ッッ!!♡♡」  どちゅっ♡どちゅ♡と肉と肉のぶつかる音が激しさを増していく。ルーカスの腰を強く掴み、連続メスアクメで蕩ける媚肉を突き上げた。 「ぉ゛!♡もっぉ゛♡やめてっ♡ぇ゛あ゛……!!♡♡おるが♡ひ、っあ゛♡おるが♡こしッ♡とめて♡ぁ゛あ゛う゛ッんん゛っ♡♡」  とうとう、ルーカスがオルガに懇願した。止めろと命令するのではなく、嫌だと拒絶するでもなく。主導権がオルガにあることを認めて、繰り返すメスイキに耐え兼ねてプライドを放り捨てて縋りついた。 「そうだルーカス、っ、ちゃんとお願いできてえらいな……っ」 「――ッッ♡♡また♡ぁ……ッ!!またぐる゛♡♡いぐ♡んっんんん゛……ッ!!!♡♡♡」  咽び泣きながら、ルーカスは絶頂を享受する。震える足も強張る身体も全身オルガに押さえ込まれていて、ルーカスの好きにできるところは何一つない。オルガにされるがまま、法悦に乱れるしかなかった。  オルガの手が乳首に伸びてきたときも、それは同じだった。 「ルーカス、ここでもイけるように練習しよう」 「ッひぎぃいい゛ッ!!♡♡♡」  指の腹で押しつぶすようにされると、電流が走ったような快感が突き抜ける。あまりの衝撃に耐えられずに、ルーカスは悶絶するようにベッドをのたうった。 「あ゛ッ♡あ゛ッ♡ぉ゛♡ちくびッ♡っんん゛♡や゛あ゛ッ!!♡♡ちくびやえ゛っ♡♡おるが♡おねがっ、いまッ、っいまぁ゛……あ゛ッ!!♡♡」  乳首を捻られ、引っ張られ、痛いほどの刺激を与えられる。乳首からも尻の奥からも強烈な快感が迸り、アクメの最中なのに何かが込み上げてくる。ルーカスは泣きじゃくりながら、乳首を弄るオルガの手を剥がそうとしがみついた。 「んぅッ♡ぅ゛……!!♡♡おるがぁ゛、っだめ゛……!!♡♡♡ぁ゛、だめ♡あ゛、ぁ゛あッッ!!!♡♡」  ぷしゃっ♡と萎えたままだったルーカスのチンポから潮が飛び散った。決壊してしまったそれは、オルガがチンポを突き上げるたびに噴き上がる。チンポから溢れ続けるそれのせいで、ルーカスの身体は水浸しだった。 「上手にできたな……ッ」 「ぉ゛、おるがぁ゛♡おるがぁ♡ぅっ……♡」  ルーカスの泣き顔を見下ろして、オルガは興奮に満ちた低い声で囁く。粗相をしてしまったと混乱してオルガの首に腕を回してしがみつくルーカスに覆いかぶさり、容赦なく腰を振り始めた。 「……おるが!!♡もぅやだ♡♡♡ぁ゛っあ゛♡♡だめっこれ、ッ……♡♡」 「ルーカス、ッルーカス……!!」 「――ッ♡――ッ♡♡――ッ♡お゛ほ、ッッ……♡♡…っ……ッ~~!♡♡♡」  組み敷いた身体を太い腕でしっかりと抱き込み、もがくルーカスの肩口に顔を埋めてオルガは腰を振りたくる。雄の本能をむき出しにした本気ピストンに、ルーカスは涙と涎を垂らしながら善がり狂うしかなかった。 「おるがッ♡もぅやめ゛ッ♡おんッ♡♡ぉ゛♡お゛ッ♡♡ッいぐっいぐっイぐイぐッいぐぅ゛……っ!!♡♡」  白く明滅するルーカスの目に映る景色は部屋の天井だけだ。耳元で獣のように荒い息を繰り返しながら、オルガが名前を呼んでいる。身体を締め付ける腕も突き上げてくる腰も、子供のころからよく知っているはずのオルガなのにこの時ばかりは別人のようだった。 「あ゛ッ♡♡あ゛あ゛ッ!!♡♡ッこわれう゛ッ♡ぉ゛ッ♡も、っぉ゛♡♡ひ、いッ……!!♡♡♡お゛がじぐなるッぐぅう……!!♡♡」  オルガの背中に爪を立てて縋り付く。それでも必死に懇願するが、オルガは聞いてはくれない。 「ッ、だめっおるがっだめっ、ぅう゛ッ……!!♡♡」  オルガはルーカスの尻が浮き上がるぐらいに身体を折り曲げ、体重をかけてチンポを奥に捻じ込んだ。これ以上入らないと思っていた奥に圧をかけられ、ぐうううう♡と押し上げられる。 「ん゛ぉお……!?♡♡♡お、おく……ッ!!♡♡もっぉ゛はいらな……ぉ゛う゛ッ!?!♡♡」 「ッ……、出る……ッぅ゛」  叩きつけるような勢いでオルガが射精する。腹の奥底が濃いザーメンで濡らされていくのを、ルーカスはピクピクと震えながら感じていた。耳元で聞こえるオルガの呻き声にすら煽られて、腹の中でオルガのチンポをしゃぶる肉壁が痙攣する。 「ルーカス……」 「ぁ……♡」  射精直後の蕩け切った声で囁かれ、食らいつくように唇が塞がれた。トロトロになったルーカスの口内を、オルガが舐めしゃぶって舌を絡めていく。そうしながらも緩く腰を押し付け、最後の一滴まで腹の奥でザーメンを出し切ろうとしていた。 「んぅっ……♡♡う、ぅう……♡♡」  孕ませてやると言わんばかりのその動きに、さんざんアクメを繰り返した腰がじゅわり♡と甘く疼く。まるで雄の子種を欲しがるような情動だが、ルーカスはまだそれを自覚できないでいた。 つづく ------------------------------ 完結編はFANBOX、DLsite、BOOTHにて順次公開予定です。

ともだちにシェアしよう!