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妖狐と亡国の皇太子は謎を解く【新版】 第12話 | 犬村汐里の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
妖狐と亡国の皇太子は謎を...
第12話
作者:
犬村汐里
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12 / 18
第12話
清陽
(
チンヤン
)
は執務室にいた。 執務室には彼と共に
春蕾
(
チュンレイ
)
がいる。彼は清陽の夫だ。 幼い顔立ちながら、清陽と同等の年月を生きている。 「清陽」 「機嫌が悪いな」 「うちの一族から鬼が出ているのはなぜだ」 「……明櫻と会ったのか?」 その言葉で、清陽はずっと前に知っていることに気が付いた。 なぜ、どうして。 「なぜだ? なぜうちから鬼なんか出ているんだ?」 「では、なぜお前は鬼にならなかった」 清陽の言葉で、明紅は言葉を詰まらせた。 「それは……死ななかったからだ」 「そうだ」 「もし、明紅、お前が死んでいたら鬼になったと思うか」 「……思う」 「そういうことだ」 そういうこと。 そういうことだ。 明紅は明櫻を悪く言うことはできない。悪く言うことも、一族の恥だと貶すこともできないのだ。 「鬼になった明櫻を悪鬼王に託したの?」 「ああ。鬼になった彼を見つけたとき、頼るべきなのは悪鬼王だと思ったからね。私は鬼の育て方など知らないから」 明紅は唇を噛みしめた。 すべての元凶は、分かっていた。 「あのクソ親父はどこにいる」 「私にも分からない」 クソ親父、それは明紅と明櫻の父親だ。 穏やかで真面目な明紅が唯一、憎しみ、恨み、懲らしめたいと思っている存在がいるとするならば、実父だった。 ふつふつと湧き上がる怒りを力に変え、こぶしを握り締めた。骨がきしむのを感じる。 「朱亮」 「はい」 「あいつを探せ」 「どうするのですか」 「それは兄弟で決める」 そこまで言うと、清陽が言う。 「やめなさい。あいつのことは放っておきなさい。やめるんだ」 「なぜ? おじいちゃんはいいの? あいつのせいで一族から鬼が出ているのに」 「鬼が出たことを一族の欠点など思わない」 「……あいつのせいで苦しむ兄弟を増やしたくはない」 明紅は黙った清陽の姿を見て、そして口にした。 「悪鬼王に会いたい」と。 「なぜ?」 「まず、明櫻と会いたい。それから裴王朝についても聞きたい。ダメ?」 「いや、それなら構わない。会えるか聞いてみよう」 清陽が目を閉じる。しばらく沈黙の時間が流れるだろうと思っていたが、口を開いたのは春蕾だった。 「紅紅」 「ん?」 「あの子は僕たちの孫だけれど、紅紅も櫻櫻も僕たちのひ孫。大事な子供たちだから。僕は紅紅と櫻櫻の選択を支持する」 意外だった。しかし、明紅にとっては傷付き、ボロボロになった心を包み込んでくれる言葉だった。 「ありがとう」 そう言って、明紅は笑った。 目の前の清陽が目を開く。 「今来るそうだ。応接室に行こう」 「速いですね」と朱亮が言う。 「あいつは執務仕事ばかりで暇なんだよ」と清陽が答えた。 4人で応接室に行くと、悪鬼王が椅子に座ってくつろぎ、明櫻がその後ろに静かに立っていた。 悪鬼王は男らしい見た目をしている。 凛々しい顔立ち、そして体格もいい。正直羨ましいほどだった。 「さっきは明櫻が世話になった」 「はい」 ツンとした態度で明紅は答える。 今までそうしていたせいで、これからの態度を変えるにはあまりにも難しい。 椅子に腰を下ろすと、悪鬼王が咳払いをする。 「君から話があると聞いていたんだが?」 「はい。月沈国、裴王朝との関係性をお聞きしたい」 「裴王朝、初代皇帝から『私を守ってほしい』と言われた。その流れで代々契約することになっている。まあ、16代目には振られたけどな」 「守るだけ?」 「ああ。魂を対価に守っている。命を奪えるのは私だけだ」 「……なるほど。だから17代目皇帝は化け物に」 そう呟くと、悪鬼王は足を組みながら笑った。 「化け物にしたのは俺じゃない。あいつは違うやつとも契約している。だから、俺は契約を破棄した。今は裴一族誰とも契約していない」 「何年前ですか?」 「んー……10年前だな」 10年も前となれば、16代目がまだ存命だったころから契約していたことになる。 しかし、16代目が契約していなかったのであれば、17代目と契約していてもなにもおかしくはない。 「ずっと昔から暗殺は考えていたのですね」 「ああ。だが、俺は“守る”だけだ。わざわざ殺すことはしない」 16代目に手をくだしたのはもう一つの人ならざる存在か、それとも17代目本人か。 しかし、今回の件に悪鬼王は関与していない。 振り出しに戻ってしまった。 明紅はズキズキと痛みだしたこめかみを抑えた。
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犬村汐里
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