6 / 27

第6話

待ち合わせのカフェを出た僕たちは、今評判ラーメン屋で夕食をとった。 黒いカジュアルなブレザーに細身のジーンズ、インナーに襟ぐりが少し大きく開いた白のカットソーを合わせた稔さんの爽やかな姿は、湯気と脂にまみれた暑苦しい店内で、ひとり別世界にいるようだった。 相変わらずの食欲で、モヤシを大盛りにした味噌ラーメンと一個一個が大ぶりな餃子を大きな口を開けて片付けていく彼を、僕も相変わらず惚れぼれと見つめていた。大食漢なのに身体はスリムで、本人はもう30歳だからそろそろ腹が出てくるかも、と言っているが今のところその兆候はない。4つも若い僕の方が、仕事が忙しくて生活が不規則になり、最近身体の線が崩れてきた気がする。僕は塩ラーメンの並に、今日は餃子は付けないことにした。 ラーメンを食べて火照った身体を冷まそうと、店を出て歩いて帰ることにした。稔さんは細いので、遠目から見ると小柄に見えるが、身長は175センチあり、182センチの僕と並ぶとすれ違う人が振り返る迫力になる。僕は隣りを歩く稔さんの、眼鏡と顔の間に見える長い睫毛を少し上の角度から見るのが好きで、気がつくと見てしまっているのだが、彼が僕の方を見てくれることは滅多にない。 コンビニでビールとツマミを買い、僕のアパートに通じる小道に入ると、ひと気が無くなった。僕はいつもここで稔さんの手を握る。稔さんも、ようやくフッと笑って握り返してくれる。 アパートの僕の部屋に入り、鍵を閉めると同時に、僕は稔さんを抱きしめキスをした。稔さんも僕の首に両手を回して情熱的に応えてくれる。キスをしながら、彼の華奢な腰に腕を回し抱き上げると、稔さんも足を僕の腰に巻きつけて、靴を蹴るように脱いだ。細い彼を軽々と抱いて部屋に運ぶと、ベッドに2人で倒れこむように横になった。

ともだちにシェアしよう!